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認知症と転倒

みなさん、おはようございます。
昨日は、久しぶりに町中に行ってみました。天気もよかったので、たくさんの人が出ていましたね。

さて、今日は認知症の人の転倒についてです。転倒は、様々な要因があると思います。自宅でもあることだと思いますが、施設で転倒を起こしても、どのように現場を改善していったらよいかわからないという声を聴くことがあります。この記事では、転倒の要因を見ましょうというテーマで書きたいと思います。

まず、重要なのは、転倒したときの行動と場所です。排泄しようとした、歩行していて声をかけられた、寝起きだったなどの要因がよくあります。場所は居室、食堂、トイレなのか、廊下なのか?

特にトイレの中での転倒は、移動の時のふらつきもありますが、神経調節性失神が原因のこともかなりあります。神経調節性失神とは、体の神経反射の過度の活動によって引き起こされる一時的な意識喪失です。この状態は、心臓の拍動と血圧の調節を担う自律神経系の一時的な誤作動によって生じます。一般的なトリガーとしては、長時間立っていること、感情的なストレス、痛み、急激な温度変化などがあります。発作時には、心臓の拍動が一時的に減速し、血圧が下がることで脳への血流が減少し、結果として意識喪失に至ります。失神は数秒から数分で自然に回復し、通常は深刻な健康問題を示すものではありませんが、繰り返し発生する場合や、高齢者、心血管疾患の既往がある場合は注意が必要です。

食後も、血圧が下がりやすいです。食餌性低血圧という言葉もあります。食後は腸管に血流が集中するため、自律神経系の調節がうまくいかなかったり、脱水が起きていたりすると、ふらつきを起こすことがあります。

あと、転倒しやすい人は、たくさんのお薬を飲んでいる人が多いともいわれています。特に気を付けるのが、向精神薬と呼ばれる眠剤や安定剤、統合失調症に用いる薬です。これらの薬剤は、平衡感覚の障害や反応時間の遅延を引き起こし、転倒リスクを増加させる可能性があります。また利尿剤や降圧薬もよくある原因です。

転倒しやすい病気というのもあります。例えばレビー小体型認知症は、パーキンソン病と兄弟のような病気です。足がすくんだり、すり足になることで転倒しやすくなります。また自律神経障害が起きて、起立性低血圧を起こすので、失神しやすくなります。レビー小体型認知症の症状には認知機能の変動、幻視、運動障害が見られ、これらが転倒に影響を与える可能性があります。
もちろん麻痺や失調をきたす要因となる脳梗塞や脳出血、血管性認知症も転倒リスクとなります。

まとめると以下のような要因があります。施設利用時の転倒予防のためにまず評価すべきことは以下の点です:

個々のリスク要因の評価:

利用者ごとの身体的、認知的機能の評価。これには筋力、バランス、歩行能力、視覚障害、認知機能の状態、診断などが含まれます。利用者の全体的な健康状態や生活スタイル(例:活動レベル、栄養状態)の評価も重要です。

薬剤の影響:

利用者が使用している薬剤のレビュー。特に、転倒を引き起こす可能性のある副作用を持つ薬剤に注意します。

環境的評価:

施設内の環境に関する安全性の評価。滑りやすい床、不適切な照明、家具の配置など、転倒リスクを高める可能性のある環境要因をチェックします。

過去の転倒履歴:

利用者の過去の転倒履歴の評価。過去に転倒した経験がある人は、将来再度転倒するリスクが高い可能性があります。

今日からできることとして、皆さん、まず転倒した人について血圧を測ってみませんか?いつもは寝て測っているかもしれませんが、立位の時も測ってみるとよいです。立位時の血圧測定は、起立性低血圧の検出に重要です。注意点としては上腕タイプの血圧計を巻いたまま、まずは寝た状態で計測して、そのあと立って測ってみましょう。心配な人は、病院や訪問看護師さんに計測してもらうとよいと思います。

今日もよい一日を!



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