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商業施設の巨大化について。

高校時代の友人に会うため、久しぶりに地元へ出向いた。
そして、新しくオープンした駅ビルのレストラン街をはしごしながら、いつものように居心地の良い楽しい時間を過ごした。

1年ぶりに訪れた地元の駅はもはや自分の知っている場所ではなくなっていた——。

JRが手掛ける駅ビルを中心に陸橋や連絡通路が次々と新設され、駅構内に点在していたショッピングモールや地下街すべてが繋がり、辛うじて昔の面影を残していたエリアの路面店も駅ビルに吸収されて、駅全体がひとつの巨大な商業施設に変貌を遂げていた。

レストラン、ベーカリー、カフェ、スイーツ、レストラン、ベーカリー、カフェ、スイーツ………。似たような店が延々と続く。どの店に入ってもよほど外れることはないけれど、特段当たりもない。とにかく万人受けするサービスを提供してくれる。
そして人々がどんどん店に吸いこまれていく。自動的に。

駅のホームが見える設計の、気の利いた観光案内所もできていた。人々が休憩するための巨大な長椅子には老若男女がひしめき合い、パーソナルスペースが狭く息苦しい。ここは日本か?人ごみに酔う。開放感のある閉鎖的な空間。

そんなテーマパークのような巨大商業施設を思う存分満喫し、電車に揺られながら帰宅した私は何かの違和感に気づいた。

これって千と千尋の神隠しの油屋じゃん。
レストランに群がる自分は豚じゃん…


そう思うとなんだかすごくホラーな場所に行ってきた気分になり、妙に怖くなった。

人間の感覚を鈍らせて欲を満たすだけの消費ランド。全国各地、似たような巨大商業施設がどんどん拡大していく。その背景の、世の中を動かしている何かの仕組みに知らず知らず取り込まれていると思うと怖い。

私が地元にいたころ、いや、つい数年前までは、どこかまだ地方都市のゆるさが残っていた気がしたものだけど、辛うじて残されていたB級感はすっかり消え失せ、完全なる巨大商業施設に仕上がりつつある。

別にB級感があったころの地元が好きなわけじゃない。
とにかく、今も昔もやたらに人が多すぎる横浜が、私はどうにも好きになれない。

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