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新たな設備で実現する社内報のワンストップサービス

太平社の生産拠点「ちとせBASE」が2022年春に竣工し、新たな製本機材が導入され、生産がスタートしました。
2022年6月 それに伴い、これまで頑張ってきた製本機材を処分しました。その際感じたこと、製本という仕事について書いてみます

買うか、我慢するか・・・

2022年6月8日から3日間かけて、太平社ちとせBASE竣工に伴い新しい製本機材が導入されたことにより不要となった古い製本機材の処分を行いました。

古い製本機材搬出の様子

太平社は、広報ツールの制作会社ですが、製造部門を持っています。印刷会社として創業していますが、製本部門も持っています。その製本部門を支えてきた製本機材は、およそ30年強の年月を頑張ってきた機材です。すでに、メーカーの保守も切れていたり、部品供給も終了している機材ばかりで、次に不具合が出たら、修理、復旧ができないという状況の中、オペレーターの社員が何とか調整を重ね、動かしてきた機材です。

今回、ちとせBASEの建設にあたり、これらの機材を移設して使うか、新規購入で刷新するか検討をしました。悩むことなく結論は出ましたが…。
これまで使っていた製本機材を移設しても、ちとせBASEのスペースには収まらない…。さらに、機械によっては、一度バラシて、移設して組み立てても古すぎて元通りに動く保証ができない…という惨状で、これは買い替えしかないということになりました。

そもそも製本工程って・・・

製本ってどういう工程のことかわかりますか?
「製」「本」なので、本を作るというのは何となくわかると思います。
ほとんどは、印刷会社に依頼すれば本になって仕上がってくるので、クローズアップされることは少ないのですが、印刷とは全く別の工程です。
印刷会社に依頼をすれば本になるわけではありません。「印刷」はその名の通り、紙に絵柄や文字を「印刷」(プリント)するだけです。その印刷された紙を本の状態にすることが「製本」という工程です。
印刷機で印刷された紙(刷り本といいます)を本の形にするには、「断裁工程」、「折工程」、「綴じ工程」と主に3段階の「製本」工程を経て本の状態になります。それぞれの工程で専門会社がある程ですから、意外と複雑なんです。

A4サイズって何?

普段、会社や学校などでコピーをとると思います。そのコピー用紙の一般的なサイズは「A4」判(サイズ)だと思います。これは、A1判(サイズ)の大きな紙を3回折った(1/8)サイズということです。

製本工程の流れ

A4サイズの本を作る場合、印刷機は種類はいろいろですが、この「A1判」サイズの大きな紙に絵柄や文字を印刷をします。つまり、「A4」判(サイズ)が8頁分、表裏合わせれば、16頁分を一気に印刷しています。その16頁が印刷されたA1判サイズの大きな紙の不要な部分を切って(断裁)、16頁や8頁になるように折ります(折工程)。折った状態の紙(折本)を簡単に言えば、重ねて綴じる(綴じ工程)ことで、本の状態に仕上がのです。
工程がいくつもあり、結構複雑ですよね…

綴じの種類

さらに言えば、綴じ工程は、中綴じと無線綴じ(バインダー)の2種類あります。
中綴じは針金で綴じる方法で、バインダーは糊で固めて綴じる方法です。ヤングジャンプは中綴じで、ジャンプはバインダーってことです。

太平社の製本部門には、「断裁」「折工程」「中綴じ工程」「バインダー工程」と全ての工程ラインが設備されています。
基本的には、中綴じもバインダーも方法は違いますが、刷り本を折って、重ねて、表紙を付けて綴じることで本の状態にしています。
一言で「製本」といっても、複雑な工程を時間をかけて行っています。それぞれ分業化されるような工程を太平社では、印刷工程も含めて全て設備しており、業界の中では珍しい部類に入ると思います。

ワンストップサービスってやっぱり楽

太平社の主力商品の「社内報」は中綴じの製品が中心です。ページ数や用紙の厚さ、読みやすさや手軽さ等から中綴じが主流になっています。
バインダーでは、いわゆる「機関誌」(会員誌)や、論文集、整備書等を多く取り扱っています。

「社内報」をはじめとした製品を作りあげるには、
お客様との間で、打合せを行い、企画を練り、素材を集め、編集を行い、デザイン、データ作成(DTP)を行い、出来上がった印刷用データから、印刷を行い、製本をして本として完成させる長い工程を経ています。
もし、それぞれの工程ごとに業者と取引をしていると、企画は広告代理店と、デザインはデザイン会社と、印刷以降は印刷会社と、それぞれに見積もりを取ったり、打合せをしたりと結構面倒なことになると思います。しかし「広報ツール、創るくから造るまで」の太平社は、これらすべての機能を持っています。なので、お客様から見れば、企画のこと、デザイン的な内容、印刷以降の製造工程のことまで、担当営業に要望を言っていただければそれでOK。細かいスケジュール調整をはじめとした対応を、太平社の営業担当が全て窓口となって行います。古い表現かもしれませんが、ワンストップサービスで対応しているということです。これが、お客様から結構重宝されています。(やっぱり、一人でいろいろな業務を抱えるような時代です、お客様にしても楽なんだと思います。)

新たに導入した機材

これまでの製本機械

話を製本に戻しましょう
古いとはいえ、これまで現役で動いていた機材を手放し、新しい機材を購入しました。ただ、新しくなっただけではありません。
IT技術が発達したのはここ数年です。今回手放した機材が導入された30年以上前の時代は、電子部品は付いていますがかなりアナログな時代です。大型機械とは言え、B5サイズからA4サイズへの変更といった、機械を稼働させる前の準備作業は、ほぼ職人の腕で、工具を使ってボルトを締めたり緩めたりと一つ一つ調整を行ってから、本番の作業に取り掛かります。ざっくりですが、この前準備だけで、それぞれの工程で約60分前後かかっていました。つまり、断裁、折、綴じの3つの工程で180分ほど準備だけでかかる計算になります。下手をすると、本番の作業の方が時間が短かったりします…。

最新鋭のバインダーライン

最新鋭の製本機械

今回、ちとせBASEの竣工に併せて導入した、断裁機、折機、中綴じライン、バインダーラインの機械は、それぞれのメーカーさんが現在販売している最新型のモデルです。同じ機構で同じことをするのに、30年も経つと当たり前ですがものすごく進歩しています。
電子制御が進み、タッチパネルで操作!
多少、工具を使っての調整はあるものの、それぞれの工程で準備時間は30分もかからずに終わるとのことです。準備だけで、90分以上の時間短縮です!
さらに、稼働スピードも、これまでだましだまし使っていた機械とでは断然に早くなる…はずです。(飽くまでもスペック上ですが・・・)
ということは、今回の機材更新で製本工程は相当効率化が図れることになる…はずですし、機材更新を決めた理由の一つでもあります。

それだけ効率化ができるならば、もっと早く買い替えればいいのに…と思うかもしれません。
印刷機材も、製本機材も、簡単に言えばいわゆる装置産業です。その装置がやっぱり結構高いんですよね…。新しいモデルが出たから「ハイ買い替え!」という具合には、なかなかなれません…。「だって動くし、使えるし」。という感じで30年以上も頑張って使ってきたのです。
(今回はかなりの投資をしたってことですが…)

古い機材の搬出の様子

新しくするだけでは・・・

これまで使ってきた製本機材は、引き取り業者さんに買い取っていただきました。
30年以上も使っている古い機材でも、海外ではまだ需要があるそうです。もう使えない、動かなくなるといわれても、まだそれを買って使おうとするところがある…。買い替えを決断したこと自体に後悔はありませんが、なんか複雑な気持ちになります。
部品は無いといわれているのにどうやって修理するのか…。まっとうに動かせるのか…。もしかしたらもの凄い、技術を持った人たちがいてメンテナンスをしているではないか…。
そんな情報や技術を知ることができれば、機械寿命はもっと延びるのではないか…。
処分した機材を使っているところを見れば、太平社でも機械の使い方や、調整の仕方やポイント、トラブル対応等、参考になることがあるのではないかと感じました。
単に、時間短縮、スピードアップによる効率化という価値で終わらせるのではなく、機械寿命を延ばす、設備の使い方といったあたらなた価値にもつなげていかなくてはなりません。

新しい価値の創出

太平社の製造部門の基地である、「ちとせBASE」と、新たに導入された製本機材を活用し、今後は、さらなる業務効率化を行いつつ、新たな価値を生み出していかなければなりません。
太平社のキャッチコピー「広報ツール、創るから造るまで」のもと、企画・制作から、製造工程までワンストップで対応できる強みを活かして、より一層の、高品質と、スピード感でお客様の社内報をはじめとした製品を提供できるようにしていきます。
ちとせBASEについては、太平社のホームページや、ブログの中でも記載しているので、こちらも参照してください