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デスクワーク時の正しい姿勢と環境設定について

皆さん、こんにちは。
都内の整形外科に勤めている理学療法士の澤渡です。

今日は「デスクワーク時の正しい姿勢と環境設定」についてお話していきたいと思います。

以前、ツイッターでこのような投稿をした際、多くの方から反響をいただくきました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、ここ2年間で私たちの生活様式は大きく変わりました。

中でも、職場環境はオフィスから在宅に切り替わり、自宅でデスクワークを行うようなケースが増えているのではと思います。

しかし、慣れない環境下の中で行うデスクワークは首や肩の痛みを招く場合があり、私の勤める整形外科でもそのような理由で受診される方のケースが増えています。

そこで今回はちょっとした環境設定で首や肩に負担のかからない姿勢やストレッチについてご紹介していきたいと思います。


まずは、自分の座っている姿勢を確認してみよう!

まずは自分のデスクワーク時の姿勢を確認してみましょう。集中しているとなかなか自分の姿勢には気付きにくいかもしれませんが、PCモニターと顔の距離や、目線の高さ椅子の座る位置などを確認してみましょう。

※  資料をこちらから無料でダウンロードできます。

デスクワーク時のよくある不良姿勢について

ここからはデスクワーク時のよくある不良姿勢についてスライドにまとめてみました。(下図参照)

左の不良姿勢では、背もたれを浅く腰掛け、椅子にもたれかかるように座っているような姿勢をしています。

この姿勢はPCモニターと頭の距離は保たれていますが、椅子に深く寄りかかることで骨盤が後ろに倒れてしまい、頭を前方にして姿勢のバランスを取っています。

また、椅子に深くよりかかることで肘の位置がテーブルよりも低くなり、その結果キーボートを打つ際に手首が反りやすく、手首に負担がかかりやすくなります。

一方、右側の不良姿勢は一見して良い姿勢にも見えますが、椅子に浅く腰掛けていることで腰が反ってしまい、背中や腰に過度な負担がかかりやすくなります。

また、首を下に向きすぎることで首の後ろ側の筋肉が過剰に伸ばされ、首の負担がかかりやすくなります。

さらに椅子が高く、足が地面に接していないと太ももの前面や外側の筋肉が張りやすくなります。(身長が低い女性の方に多い印象)

左の不良姿勢は男性に多く、右は女性に多い印象を見受けられます。


ソファなどで作業する場合の正しい姿勢について

次はソファなどで作業する際に、意識して欲しい環境設定についてご紹介します。

ソファで作業をする際は、背もたれと腰の間にクッションなどを挟み、深く腰掛け過ぎないように注意しましょう。

パソコンを膝の上に置いてしまうと、モニターを覗き込む目線が下がり、首に過度な負担が掛かりやすくなります。

そのような場合、テーブルクッションなどを利用することでパソコンの高さを調整し、首や腰などに負担が掛からないようにすることが出来ます。


ノートパソコン使用時の正しい姿勢と環境設定

ノートパソコンを使用している場合は、パソコンとの距離を適切な間隔に保ちながら、椅子に背中を密着させて背中が丸まらないようにすることが良い姿勢を維持するポイントです。

また、首に負担が掛からないようにパソコンの角度を変えてみることも必要です。ネット通販などで「ノートパソコンスタンド」などと検索すると、沢山出てくるかと思いますのでご参考ください。

まずは、自分の姿勢がどのような状態に立っているかを客観的に確認しながら自分に合った腰や首・肩に負担の掛からない良い姿勢や環境設定を行ってみてください。


簡単ストレッチエクササイズの紹介

ここからはデスクワークの合間に出来る簡単なストレッチ・エクササイズについて紹介していきます。

全部で5つご紹介していきますが、すべてのエクササイズを行う必要はありません。エクササイズの目的や内容に合わせて自分自身が取り入れやすいものから是非チャレンジしてみてください。


▶ 01| 背骨の動きを高めるストレッチ

Seated Cat Camel|シーテッド キャット キャメル

 ■ 実施方法・やり方

  1. 椅子に腰掛けて両手を膝の上に置きます。

  2. 息を吸いながら骨盤を後ろに転がして背中を丸めます。

  3. 息を吐きながら骨盤を立てて背骨をしならせます。

  4. 一連の動きをゆっくり10回行います。


▶ 02|肩甲骨を動かすストレッチ

Shoulder Circles|ショルダー サークル

 ■ 実施方法・やり方

  1. 椅子に腰掛けて両肘を曲げてを肩に置きます。

  2. 呼吸が止まらないように肩甲骨から肩を大きく動かします。

  3. 10回程度行ったら反対側も同様に行います。


▶ 03|胸と背中の筋肉を伸ばすストレッチ

Hold & Around Stretch|ホールド アンド アラウンドストレッチ

 ■ 実施方法・やり方

  1. 椅子に腰掛けて両手を胸の前で組んで大きなボールを抱えこむように背中を丸めます。(息を吸う)

  2. 両手を離し、胸を大きく広げるように肩甲骨を寄せて3秒間保持します。(息を吐く)

  3. 一連の動作を10回程度行います。


▶ 04|おしりの筋肉を伸ばすストレッチ

Seated Gulte Stretch|シーデッド グルート ストレッチ

 ■ 実施方法・やり方

  1. 椅子に腰掛けて片方の足首を反対側の膝の上に置きます。

  2. 背筋を伸ばし、ゆっくりカラダを前に傾けます。(10秒保持×5回 左右)

  3. 反対側も同様に行います。


▶ 05|太ももの前面を伸ばすストレッチ

Standing Quad Stretch|スタンディング クワッド ストレッチ

 ■ 実施方法・やり方

  1. 立位になり、椅子の背もたれを支えにして足首を掴みます。

  2. 息を吸って吐きながら踵(かかと)とおしりに近づけるように膝を曲げて太ももの前側を伸ばします。(10秒保持×5回 左右)

  3. 反対側も同様に行います。


まとめ

今回はデスクワークの合間に出来る簡単なストレッチ・エクササイズについてご紹介しましたが、最近では悪い姿勢そのもが痛みや症状を引き起こすのではなく、持続した不良姿勢や動きのエラーによる力学的な微細損傷が痛みや症状を引き起こす原因の可能性が高いとされています。

リハビリでは痛みや症状の原因に対して評価し、最良のアプローチを提案していきますが、大切なのは適切な環境設定を行い、負担の掛からない姿勢を作ることです。

こちらでも簡単なストレッチエクササイズを紹介させていただきましたが、予防のために何かをやることをは大切ですが、何かに取り掛かる前に「やらないことを決める」ということが意外と大切です。

環境設定を行った上でより自分に合ったエクササイズを希望される場合は、「肩・首こり解消エクササイズ」を知るためにとりあえずやってみるフローチャートを作成していますのでそちらをご参照ください

少しでも多くの方がこの記事を通じて仕事や作業の生産性が上がり、お役に立てたことを願っています。

最後までお読み頂きありがとうございました。

いただいたサポートは読者の皆さまのお役に立てられるような形で使用させていただきます。この度はサポートいただき誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。