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海外営業で新規顧客を開拓するために大切な3つのポイント

以前の投稿で、「中小企業診断士と営業」というテーマで書いたことがあります。

一言でいえば、中小企業診断士の営業と本業(製造業)の営業は似て非なるものである、という内容なのですが、本業における営業についてちゃんと解析したことがなかったので、今回の投稿ではそれを書いてみたいと思います。
 
ドイツに赴任する前から営業はずっとやっていたのですが、日本にいたときは何でも屋さんの色合いが強く、営業というよりは事業企画や営業管理に近いキャリアを過ごしていました。よく言えば幅広く色々やれた一方、どっちつかずになっている側面もあって、ドイツに来ることが決まったときに、真っ先に思ったのは「果たして海外営業として自分はやっていけるんだろうか・・」ということでした。
 
実際に赴任してからも、想像した通り、ほぼ100%に近い工数を営業にあてることに対して戸惑いがあったのは事実です。
かつての同僚や友人から、「海外と日本での営業は違う?」とよく尋ねられるのですが、私は、常々「正直あんまり変わらない」と答えています。これは会社や個人によって全然違う答えになりうると思っているので、あくまで私の場合は・・という前提付きではあるのですが、例えば新規顧客を開拓して売上を伸ばす、適切な価格に設定して利益を増やすといった最終ゴールは同じであり、対峙するお客様が外国籍であるだけ、という見方もできるためです。例えが正しいかは分かりませんが、Jリーグからブンデスリーガに移籍したとしてもやっているスポーツはあくまで”サッカー”である、というの近いと思います。もちろん、フィジカルが強いとかパススピードが速いとかそういう違いはもちろんあります。ビジネスでも同様に、日本ではいなかったような強いトーンや超ロジカルに議論を吹っかけてくるような相手はいますが、根本的に仕事のやり方を変えるといったことはしていなくて、あくまでこちらの文化や作法に合わせて調整しているという感覚の方が私の場合は近です。
 
それをすごく実感したのがテレアポ営業をしたときでした。
テレアポ営業とは、ツテはないけれど自社のお客様になり得る会社に電話をかけて面談や商談のアポイントメントを狙う営業手法の一つです。
 
テレアポ営業自体は日本にいたときにちょこちょこやってはいたのですが、まさか海外でテレアポ営業をすることになるとは、赴任前は想像していませんでした。ただ、こっちにきて上述のとおり本格的に営業活動に取り組む中で、「自分で考えて打った施策で事業や売上が成長・拡大していく様をみてみたい」という願望が湧き上がってきました。そうなると、効率非効率はともかく、遅かれ早かれ避けて通れないのがテレアポだったというわけです。あとは、誰かと話をしたときに、「日本人が欧州の会社に営業しに行ったって相手にされるわけがない」と言われたことがあり、本当にそうなのか自分の目で確かめたい、という天邪鬼な目論見もありました。笑
 
これを読んでいる方の中には、「日本語でも難しいのに英語でなんて無理に決まってる・・!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。かくいう私も、赴任前はまさに全く同じことを思っていたから。
私は帰国子女ではありませんし、今でも英語がペラペラなわけではありません。なので、トライし始めた当初は、当然ながらほとんど相手にされませんでした。運よくつながったとしても相手の言っていることが正しく理解できず、ちゃんと会話ができないこともありました。段々、自信がなくなり、怖くなって自分で電話しておきながら、「電話にでないでくれ・・」と思うこともしばしばでした。
 
そんなどんよりした日々を過ごしながら、突破口になったのは、「慣れる」、「記録する」、「熱狂する」という3つの要素でした。
 
まず、「慣れる」については、その名の通り場数を踏むということです。大体30社を超えたあたりから耳も発話も慣れてきます。どんな言い回しをすれば相手が興味を示してくれる、もしくはライトパーソンにつなげてくれるか、そんなキラーフレーズが自分の中で構築されていきます。ターゲット先は必然的に同じような業界やジャンルの会社になるので、場数を踏むにつれてその業界の知識や自然と身についていくし話す内容や展開も大体パターン化されてくるという点も追い風になります。
 
次に、「記録する」。これはコンタクト先やその結果、数をちゃんと記録して活動を全て可視化して定量的に分析するということです。これをすると、進捗率やアポ率が全部数字で表れるので、逃げ道がなくなります。もう一つ重要なことは、徐々に上手くいき始めると自信につながって、好循環が生まれます。自分の場合は、目標件数を先に決めておいて、まずはその数をクリアすることを念頭に活動しています。アポ率を目標にすると難度が上がりすぎてしまうし、波があるので、例えば●月は20社あたるというノルマだけ設定しています。これを繰り返していると段々習慣化してくるというメリットもあります。
 
最後に「熱狂する」、これが最も大事なことだと思っていて、「慣れる」、「記録する」にも繋がるのですが、全力で楽しみながら取り組む、という表現が近いかもしれません。
どういうことかというと、ここまで読んでいただいてお気づきの方も多いと思うのですが、上記の活動は全て自分主体なのです。つまり、上司や会社など他者に命令されてやっているわけではない、ということです。自分の中で、「自分で考えて打った施策で事業や売上が成長・拡大していく様をみてみたい」という願望を叶えるための手段や過程であって、一歩ずつ前進していくのを何よりも楽んでいる。寝食を忘れて、ロールプレイングゲームでレベル上げしてダンジョンやボス戦をクリアしていく感覚が近いと思います。
 
 
これら一連の流れを通じて気づいたのは、特に海外ならではというものはなく、いずれも普遍的なものであるということでした。振り返れば、日本でテレアポしていたときも同じようなことを意識していたわけです。
もちろん、語学的なハードルがあることは事実ですし、逆の立場で考えたときに、「片言の日本語で突然外国人が営業してきたら相手にするか?」という意味で海外営業ならではの難しさがあることは否定できません。
それでも、顧客や市場が求めるニーズと自社の製品・サービスが合致して適切かつ的確に提案することができれば成約する、というビジネスの摂理・原則は同じなんだなと思ったのが、正直な実感です。
 
上にも書いた通り、トライし始めた当初はとても苦労したし、ここには書けないような失敗もたくさんありましたが、その甲斐あってか、今では日本でやっていたときよりも成功率は高くなってきたように思います。こればっかりは製品や市況など様々な要因もあって、売れる売れないは営業だけで決まるわけではなく、運の要素もたぶんにあるので、何をもって成功とするかは難しいところではあるのですけどね。。ただ、運を引き寄せるためには「熱狂する」ことが大切ということを身をもって学んだ次第です。
 
話があちらこちらに飛んでしまいましたが、今後も色々な角度から海外営業というものを解析してみたいと思った今日この頃でした。
 
 
それでは!

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