最果タヒ『十代に共感する奴はみんな嘘つき』を読んで

 最果タヒさんのお名前は聞いたことはあったが、作品を手に取ったのは初めてだった。
 「である・だ」調と「です・ます」調が混在する文体。読み手がどこで息をつけばいいかわからないような句読点の位置。乱文とも取れる文体で綴られる、少女の感情の奔流。
 物事を主観的には捉えきらず、たえずメタ的に捉えようとして、それだからこそ自己嫌悪にも陥ってしまう主人公の内面は、実に現代っ子らしい。ネット空間の発達によって、自己を常に他者に晒し、その晒す姿ですら他者のことを気にかけて形成しなければならない現代の若者がとりがちな思考回路を、鮮やかに描き切っている。


 気づいたら最果さんの世界観にハマってしまった。この間は『きみの言い訳は最高の芸術』を読んだし、今は『もぐ∞』を手に取っている。いつか、この二つの感想も文章に残そうかな。

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