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経営戦略で最も重要なのは撤退する事である。

最近、コロナ禍による倒産が特に飲食業界において増えていると感じます。なお、ここで伝えたいことは倒産自体が悪いものではなく、社会的要請によって生まれる企業と消える企業があり、新陳代謝のように入れ替わっていくことが自然の流れであると考えます。よって、どんなに素晴らしい経営手腕を持っていたとしても倒産は避けられないものです。

ただし、資金がショートして銀行取引停止処分による経営破綻(事実上の倒産)と債務者が債権者らと任意に協議して財産関係を処理する任意的倒産とでは経営者の資質が天と地ほどの開きがあります。



ポーターも「競争の戦略」の中で衰退業界の戦略として「刈り取り戦略」と「即時撤退戦略」を示していました。つまり、全力で戦うためにも撤退できる余力を残しておく事が重要だと思います。
投資で言えば損切り(ストップロス)です。


上杉謙信孟子の教えから「天の時、地の利、人の和」を尊んでいたとされ、天の時が得られない事を想定していました。

輝虎(謙信)公曰く。天の時、地の利に叶い、人の和とも整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なお有るべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も起こるべからず、敵対する者もなし
(北越軍談 謙信公語類)



なお、戦略的撤退の目的は次の戦いに備える事です。

小売・サービス業であれば、赤字の店舗を閉めるには、特別損失の計上が伴う。マクドナルドの場合では、今期営業利益の46%に相当する120億円をつぎ込まなければならない。閉鎖のために余分な時間を待つことができない。一年以内の短期決戦だからである。
 ふつうの経営感覚では、撤退はそれほど容易ではない。必要なのがタイミングの選択である。結論を言うと、儲かっている状態になければ撤退はむずかしいのである。JALが破綻した理由のひつとに、赤字路線からの撤退の決定が遅れたことがあげられる。
(法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科教授 小川孔輔)


撤退は定性的な判断は役に立ちません。行動経済学者の米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授によれば、人は行動バイアスよって損失回避傾向、近視眼的行動など不合理な判断をすることが証明されています。よって撤退する条件を決めて具体的な数値まで落とし込み、予め資金を調達する際にはステークホルダーに対して公約しておくことが理想です。
撤退の決断ができる経営者は、時が得られれば必ずや大成すると思います🔥

天国へ行くのにもっとも有効な方法は、
地獄へ行く道を熟知することである。
マキアヴェッリ


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