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知らないことを知るから、他者の思いに寄り添える #53

今日、この一冊を読み終えた。
『息が詰まるようなこの場所で』 著者:外山 薫

かれこれ生きてきて24年目となる歳だが、やはり東京という場所はすごいなと思った。本書は「タワマンに住む親子」の話であるため、もちろん東京を一括りにしたものではないにしても、ずっと田舎に住んでいる身としては、とてもおもしろかった。

タワマンで子育てするってこんな大変で壮絶なのかと思ったし、夫婦で働きながら東京で暮らすって大変なことなんだなと改めて感じた。

本書の中のこの二つの文章が印象的。

「頑張って東京に出てきて、毎日嫌な思いをしながら働いて、三十五年ローンで家を買っても、東京って上には上がいるじゃないですか。それも無限に。仕事でも先が見える中、自分が何者でもないという現実をつきつけられて、それでも惨めな自分を認めたくなくて、自分のアイデンティティをマンションや街に投影して承認欲求を満たす人の気持ち、わからなくもないですね。少しだけ。」

「世の中には人間の数だけ地獄がある。それは当人でないと決してわからないものだ。」

「隣の芝生は青く見える」

まさにこの言葉が当てはまる。

東京という街には、上には上がいる。比較すればするほど、嫉妬心や妬みが生まれるものなのかもしれない。この世の中、比較しないで生きるって難しい。でも、他者との比較は必ずや人を不幸に近づけると私は思う。

人にはからなず悩みはあって。それがどんな形であれ、その当人にとっては大なり小なり間違いなく「悩み」なのである。形は違えど、その人の解釈によっても異なるが、悩みというのは誰しも持つもの。

今回のタイトルにもある「知らないことを知るから、他者の思いに寄り添える」は、まさに今回の本書を読んで改めて感じたこと。こんな東京の暮らしがあるという事実、タワマンに暮らすことの難しさと悩み。贅沢で順風満帆に見えるあの人も、実は悩んでいるのかもしれない。

今回は「本」という媒体であるため、それが事実かどうかは別として、こういった背景や事実を「知っているか否か」はその人の価値観を広げ、大きな差となる。

例えば私なりの今回の得たことは
「人の悩みは表面だけには現れない」
「キラキラしているあの人も、実は深い悩みを持っているだろう」
「東京の街で暮らすことの大変さ」
「幸せの基準は他人では測れないし、他者と比べるものでもない」

このあたりである。

「知らないことを知る」からこそ、
「実はあの人もこうだったのかもしれない」とか、「あんなことに悩んでいるのかもな」といったことに思いを寄せる想像力が身に付く。私はそんな気がしている。実際に自分の実体験でもある。

好奇心。そして行動。そこから得られる学びと経験。それはきっと、自分だけではなくて、めぐりめぐって周りのためになるのかもしれない。

そう感じた土曜日の夜。

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