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ジェンダー平等のために必要なニュース

東京オリパラ大会組織委員会の森喜朗会長の発言を発端に、性差別、ジェンダー平等についての議論が熱を帯びています。
性差別の問題は多様化しており、最近ではセクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験を告白、共有する「#MeToo」運動が記憶に新しいですね。
今回の発言に対しても「女性蔑視を撤廃しよう」という抗議が目立ちます。「女性は声を挙げていいんだ」という共感は、運動の共通テーマとなっています。
なぜ、このような問題が尽きないのか。少しかみ砕いて考えてみたいと思います。

JRA女性騎手誕生

僕は競馬が好きです。2月10日付で「JRA女性騎手2人誕生」というニュースを知りました。藤田菜七子騎手に続いたか、と思いましたが、女性騎手誕生は意外にも5年ぶりだそう。まだまだ、門戸が広いとは言いにくい世界です。

これまでの女性騎手の成績を見ると、女性初(同期は3人)のJRA騎手となった増沢由貴子さんが17年在籍して34勝を挙げ、通算2位の成績。1位はもちろん藤田騎手で、約5年の間に128勝(9日現在)もしています。単純に、藤田騎手の実力がズバ抜けているのかと言うと、一概には言えません。

なぜなら、女性騎手の絶対数が足りないだけだと思うからです。
現在、140人前後いるJRA騎手のうち、新人を入れてたった3人しか女性がいません。藤田騎手が騎手免許試験に合格したときは、女性で16年ぶりというレアさ。要は、確率の問題だと思います。レースは男女で斤量差を設けていますが、男性でも勝てない騎手はたくさんいます。
一人の人間同士の競争と考えると、「女性なのにすごい」、「女性だから勝てない」という発想にはなりにくいと思います。
2020年12月には「ソダシ」という牝馬(メス)が白毛馬として初めてG1レースを勝ち、ニュースになりました。これも、白毛馬の絶対数が少ないから、珍しいだけなのです。

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歪んだ性のバランスを正すには

だったら、絶対数が少ないものはニュースの価値がないのか、ということではありません。事実としてニュースであることは間違いありませんが、その情報の受け取り方によっては、差別になるのではないか、ということです。男性社会の中で勝負している女性が、特別扱いをしてほしいと思っているでしょうか?惜しい2位なら1位にしてほしいと思っているでしょうか?

一方で、女性社会の中で活躍する男性もいます。これは僕の感覚ですが、「女性の中に男が一人」状態になると、恥ずかしいと感じてしまうことがあります。これは日本の教育(文化)の不十分さと、男性が関わることが好まれない世界がいまだに存在するからだと思います(男は男らしくあるべきだ的な)。そもそも、性別の概念をなくしていかなければいけない時代です。

性差別に関わる問題は、完全に解決されることはないかもしれません。
長い歴史の中で歪んだ性のバランス。
これを正すのに期待することは、「女性初」のニュースが減り、「男性初」のニュースが増えることです。


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