見出し画像

女子高生をやりきれなかったわたしが最近読んだ漫画5作品

女子高生ゾンビである。

15年くらい前はわたしも女子高生をやっていた。3年間もだ。パカパカ開くケータイで絵文字をいくつも使ってメールをしていたし、件名のReを消すかすごく悩んだし、クラスメイトの視線ひとつに心をざわつかせたこともあった。それなのに、30代の折返しが見えてきた最近になって高校生のきらめきみたいなものをとてもうらやましく思うことが増えている。

思い返すと高校生のころ、恋と呼ぶに足りるものをしていなかった。男と杉が育たないで有名な田舎で生まれ育ち、それを真に受けていたわたしは「こんなところに自分と釣り合うような人がここにいるのだろうか(いや、いるはずがない)」と高まるのは自意識とプライドだけ。加えて、色恋沙汰よりも同性同士のすったもんだに心をすり減らす毎日だったので、それどころでもなかったのもある。

後悔があるというよりも、高校生の間に昇華させておくべき感情がくすぶり続けた結果、気づかぬうちにわたしは女子高生ゾンビになっていた。

「あー、女子高生したかったなあ」

高校生のキラキラを感じるたびに、そう呟いてしまう。特に恋愛方面。スタバに仲良く勉強している高校生カップルがいると気が散って仕方ない。

そして、ついに自分からそのキラキラを摂取するようになった。女子高生への憧れが募り、家での時間が増えた結果、漫画に手を出したのだ。決して漫画がいけないのではない。のめりこむと止まらないわたしの性格上、ゲームと漫画はハマるとやばいと自覚していた。わかっていたのに、手を出した。

ということで、この半年くらいで読んで女子高生を満喫した少女漫画を残しておこうと思う。

女子高生ゾンビの感想付きです。

ふつうの恋子ちゃん

恋多き母親と恋無き姉を見て育った主人公・恋子ちゃんは「ふつう」が幸せと信じて生きている高校生。そんな恋子ちゃんが学校一のモテ男・二宮くんと関わりだしてから普通で平和な世界が変わっていく……というストーリー。

物語のはじまりの恋子ちゃんは、とにかく普通というものに固執していてその頑ななところに10代の痛々しさとも取れるリアルさに好感が持てたし、お互い好きなのにくっつかないもどかしいところも、付き合ったあとのやきもきも現実味のある悩みもみんなひっくるめて好き。恋子ちゃんの言葉を借りるなら、ピュアピュアな漫画。

椿町ロンリープラネット

父親の借金のせいで家政婦として働くことになった高校生のふみちゃんとその雇い主となる小説家の暁先生のお話。年頃の男女がひとつ屋根の下にいるのに全然いやらしくならないし、ならなくても納得しちゃうキャラクターがとても好き。

誤解やすれ違いをひとつずつ解いていくのは大変だけれど、そのひとつひとつに意味があるんだろうなって思えるお話。そのどれもに愛が見えるところも好き。最終回もとてもきれい。

ちなみにやまもり三香さん最新作の『うるわしの宵の月』も気になる漫画のひとつ。5月に最新刊出るみたいでわくわくしている。 

キスよりも早く

「同情するなら結婚して!」という売り言葉に買い言葉で幼い弟を抱えて路頭に迷っていた高校生の文乃は、担任の尾白一馬と結婚することになり……というお話。教師と生徒モノは読まないと決めていたのだけど、まあフィクションとわかった上でならいいかなと読んだもの。癖が強めの設定だけど、テンポよく読み進められました。

LINE漫画で読んでいたら、「冗談でも胸が小さいことを笑いにするとか許せない」のようなコメントが多くある回があって、コンプレックスをいじるのは笑いにならない認識が浸透しているんだなあと。たぶん連載は2010年くらいで、当時はそれがギャグとして成立していたんだろうから時代って動くんだ……すごい! と別方向にも驚いている。(最終的にはそういう描写は少なくなるから、たぶん時代が動いているんだと思う。)

墜落JKと廃人教師

これも同じく教師と生徒もの。女子高生の扇言ちゃんが失恋を苦に自殺しようとしていたところを物理教師の灰葉 仁(通称・灰仁)に邪魔され「死ぬ前に俺と恋愛しない?」と先生に告白されるところから始まるストーリー。

扇言ちゃんはじめ登場人物が基本陰キャなのに変なところポジティブで、キュンとするところも笑いの要素もあるし、そのバランスが絶妙で毎話すごいな〜と思いながら読んでます。それでいてシリアスな設定もあるので続きが気になる漫画です。まだ完結してません。そして最新刊読めてません。早く読みたい。

ゆびさきと恋々

聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪ちゃんが困っているところを同じ大学の先輩・逸臣さんに助けてもらうところから始まるお話。すでに高校生じゃなくて大学生の漫画だけれど……!

耳が聞こえないことが重々しく描かれていないので物語にも入り込みやすいし雪ちゃんがかわいくて仕方ないし(周りの人に恵まれて愛情いっぱいに育ったんだろうなあ……)、全然偏見がない逸臣さんもクールでいいなと思った。手話を描くシーンも多いから必然的に文字数が少なくなるので、さくさく読み進められる。これも最新刊出たばかりでまだ読めてないから、気になる。

まとめ

少女漫画と呼ばれる部類の漫画を読んでいると、素直に自分の気持ちを認めて相手にも伝えて、わかり合おうとしていくのが人生の基本なんだろうなと感じる。

そこをめんどくさがって蓋をして生きようとしたって結局いつか同じような壁にぶつかるんだから、10代の若いときに痛くてもつらくても通っておけばよかったなと今なら思う。思うんだけどね、渦中にいるときは気づかないよね。

恋愛ってきっとそこの個人同士の感情のすり合わせを繰り返すもの。恋愛だけじゃなくて、若いときにできなかったいろんな人間関係の痛さやよろこびを追体験できるから、漫画は、物語は、楽しい。

大人になってからもう一度高校生になりたいなんて願望が叶うことはないし、同じ感性でいられないから叶っても楽しくないんだろうけど、高校生のころに避けてきたことやできなかった感情を漫画を通して静かに昇華していくよ、ゾンビは。




この記事が参加している募集

読んでいただきありがとうございました。ゆるやかなあたたかさで、これからもお付き合いいただけるとうれしいです。