子どもが絵を描かなくなったのは私のせい?
6歳の息子は、もともと絵を描くのが大好きでした。そして、私はそんな息子の描く子どもらしい絵が好きで、額に入れて飾っています。
ところが、今年になってから息子があまり絵を描かなくなってしまったのです。
最初はなぜだかわかりませんでしたが、ある日その理由を知ることになるのです。
子どもが絵を描かなくなったのは私のせいだった!?
ある夏の日。私と息子は、カブトムシの絵を一緒に描いていました。
私は、見たまんま、わりとリアル目にカブトムシを描きました。写真を見ながらなら誰しも描けるような、そんなさもない絵です。
一方、息子の描いたカブトムシはかわいい子どもらしい出で立ち。大人には描けない、独特の世界観です。
私は心のなかで「うちの子の絵は本当にステキだな~」と思っていました。そして、そのことを本人に告げようとすると、突然息子が泣きだしました。
「お母さんの方が上手!ボクの絵は下手!ぜんぜんうまく描けない!もう一回描く!」といって泣きながら新しく描きはじめたのです。しかし思うようにいかなかったのか「やっぱりボクの方が下手!もういい!描かないっ!」と泣き叫んでいました。
ここ最近息子が絵を描かなくなったのは、私の絵と比較するようになったからなんだそう。
しかし、全然下手じゃない!むしろステキすぎる!今すぐ全世界の人に自慢したいくらい。
そんな思いを息子に伝えるも、泣き叫ぶ息子に私の声は届きませんでした。
絵を描こう!と息子をさそってみたけど……
それから数日後、カブトムシ事件のことは忘れているかな?と思い、絵を描こうと誘ってみました。
すると息子は「お母さんの方が上手だから描かない。ボクは下手だもん」というのです。
もともと息子は、絵を描くのが純粋に好きだったのに。
かなり悶々としました。
「私が息子の絵を褒めすぎたから、絵を評価するクセがついてしまったのか?」「それとも私が上手すぎるカブトムシを描いてしまったのが悪かったのか!?」と突然の自意識過剰を炸裂しつつ、自問自答すること、数分。
「悩んでいてもしょうがない!自分の想いを素直に伝えよう」そう決心しました。
母、自分の想いを熱弁!!
「ねぇ、ちょっと聞いてほしいんだけど……」
おもむろに母の演説がはじまります。
お母さんもね、最近絵を描くお仕事をしているんだ。でもね、もっともっとステキな絵を描く人を見ると、落ち込むことがあるんだよ。
そういうときでも、お母さんは「自分の絵が下手だ!」っていわないようにしている。だって、お母さんの絵がいい!といって選んでくれた人がいるから!
お母さんもね、息子くんの絵が好きだから、息子君が自分の絵が下手っていっているのを聞くと悲しくなるよ。
それでもね、やっぱりうまく描けないって思うことはあるよね。そういうときはね、いっぱい練習すればいいんだよ。
演説が終わったあと「さらにこじれたらどうしよう……」と不安な思いで息子を見つめる私。
ところが、息子は意外な反応を見せてくれました。
ふたたび絵を描くようになった!
息子は目を輝かしていいました。「お母さんも、同じ気持ちになるんだ……」
あれ?これは、好感触か!?内心驚きつつ「そ、そうだよ!」と答える私。
「そうなんだ……ボク、もう一度描いてみる!」
息子は橋の絵を紙いっぱいに描いてくれました。
そして、照れ臭そうに「橋とね、あとおうちを描いたよ」と教えてくれたのです。
理想的展開に驚きつつ、キッチンの脇に息子の絵を貼りつけることに。「ここに貼っておこうね!」といって一緒に絵を貼る息子の横顔はとても自信にあふれていました。
誰かと比較して落ち込むことは、大人でもあること。私も息子も、楽しく成長しながら自信を持って進んでいきたいです。
息子に向けてした演説だったけど、私自身にもいえることだったな……としみじみ感じています。
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