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焼肉の子は春陰を吹き飛ばす

朝から雨。
卒園の名残りもあって気分も曇りがち。
「もう一回、卒園式してほしいなあ」と私が言うと、
「また五年やるの嫌だよ」と妻子が声を揃えた。
そういう意味じゃなく……

当の息子は元気溌溂。
特に昼は、じいばあが焼肉キングをご馳走してくれるってんでテンション↑↑
小学生未満は無料なので、三月中に来れて良かった。

カルビを口に運びつつ、卒園話に花が咲く。
式後の庭で女の子といたことを指摘すると、息子は「急に連れて行かれたんだよ」口をとがらせた。可愛い。
文集でその女の子が「好きな絵はフェルメール」という才女だと知ると、ばあばが「その子と結婚するの?」と前のめりに。可愛い。

肉と話の80分はあっという間。
生涯で胃薬を飲んだことがないじいじ(75歳)は、締めにたこ焼きまで。
息子も負けじと並盛ご飯二杯にソーメンを。
見ているだけで清々しい気持ちに。

「明日もまた来たいなあ」と言う息子に妻が「これは卒園のお祝い」とたしなめると――
「また卒園したいなあ」


(やきにくのこはしゅんいんをふきとばす)

季語(三春): 春陰


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