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パーキンソン病の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。


パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、神経変性疾患の一つで、主に運動機能に影響を与える疾患です。この病気は、中脳の黒質におけるドーパミン生成の障害によって引き起こされます。ドーパミンは、運動を制御し調整する神経伝達物質であり、その不足は運動機能の障害を引き起こします。

パーキンソン病が起こる原因は?

中脳の黒質に異常がおこる。

私たちは、大脳皮質からの指令が筋肉に伝わることで動くことができます。この指令を調節して、体の動きを円滑にするのがドーパミンです。パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が減少することによって引き起こされます。

ドーパミンが足りなくなると、体の動きが鈍くなったり、振戦が起こりやすくなったりします。通常、年齢とともにドーパミン神経細胞は減少しますが、パーキンソン病ではその減少が速いペースで進行します。

ドーパミン神経細胞が急速に減少する理由は完全には分かっていませんが、パーキンソン病の発症には、ドーパミン細胞内でαシヌクレインというタンパク質が凝集することが関与していると考えられています。特定の原因はわかっておらず、食事や職業、居住地などは影響しません。

一部の場合には家族性が見られ、特定の遺伝子が関与することもありますが、ほとんどの場合、パーキンソン病は突発的に発症し、遺伝性はありません。年齢が上がるにつれて、パーキンソン病を発症する割合が増えますが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病の例もあります。

パーキンソン病の所見、症状は?


パーキンソン病の症状は、次のような特徴があります:

振戦(ふるえ): 主に静止時に手や指などで現れます。始めは片側から始まり、徐々に両側に広がることもあります。

筋肉のこわばり: 筋肉が硬くなり、関節の動きが制限されます。特に休止時に顕著です。

動作の遅さ: 意図した動作の開始に時間がかかり、動きが鈍くなります。歩行も緩慢になることがあります。

姿勢の不安定さ: 前かがみの姿勢やバランスの悪さが見られ、転倒のリスクが高まります。

表情の減少: 顔の筋肉が硬くなり、表情が乏しくなります。笑顔や驚きなどが少なくなります。仮面様顔貌とも呼ばれます。

声の変化: 声が小さくなったり、モノトーンになったりします。話す際に言葉を飲み込むこともあります。

姿勢の変化: 前かがみの姿勢をとります。突進歩行などが起こります。

非運動症状: 認知機能の低下、睡眠障害、うつ症状、便秘、嗅覚の変化などが見られます。

これらの症状は、個々の患者によって異なり、病気の進行に応じて変化することがあります。初期段階では、振戦や動きの遅さが顕著ですが、進行するにつれて他の症状も現れる可能性があります。

パーキンソン病の診断方法は?

脳神経内科、神経内科の受診

パーキンソン病の診断は、まず脳神経内科・神経内科での受診に始まります。医師が患者にさまざまな質問をし、その回答と症状を基にパーキンソン病の疑いが生じるかどうかを確認します。もし疑いがあれば、さらに詳細な検査が行われます。

脳や筋肉などの異常を探るために、画像診断や血液検査、尿検査などが行われます。これらの検査結果を厚生労働省が定めた診断基準と比較し、基準を満たしていれば、最終的にはパーキンソン病と診断されます。

パーキンソン病の一般的な治療法は?


パーキンソン病の治療には、いくつかのアプローチがあります。

まず、薬物療法が一般的に使われます。これには、レボドパ(L-DOPA)やドーパミン作動薬、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤などが含まれます。これらの薬は、症状の改善や進行の遅延に役立ちます。

手術療法も選択肢の一つです。深部脳刺激(DBS)手術は、脳内の特定の領域に電極を埋め込むことで神経回路の活動を調節し、症状を軽減する方法です。

さらに、理学療法やリハビリテーションも重要です。運動療法や話し方のトレーニングは、筋力やバランスの改善、声の問題の管理に役立ちます。日常生活のアクティビティの改善や障害への対処方法を学ぶことも大切です。

栄養療法も重要な役割を果たします。高繊維食品の摂取や水分補給など、便秘や嚥下障害などの副次的な問題を管理するための栄養指導が必要です。

最後に、精神的・感情的なサポートも重要です。心理社会的なサポートやカウンセリングを受けることで、病気のストレスやうつ症状を軽減し、患者と家族の生活の質を向上させることができます。

パーキンソン病で気をつけるべき事は?

パーキンソン病を管理するために気をつけるべきことはいくつかあります:

定期的な医師の診察: パーキンソン病の治療は専門医による定期的なフォローアップが重要です。症状の変化や治療の効果を評価し、必要に応じて治療計画を調整します。

薬の適切な服用: 処方された薬を適切に服用し、定期的に医師と相談しながら治療を継続することが重要です。薬の効果や副作用についての情報をよく理解し、適切な方法で薬を管理します。

適切な運動: 運動はパーキンソン病の管理に非常に重要です。運動療法や理学療法を通じて筋力やバランスを改善し、日常生活の動作に支障が出ないようにします。

栄養バランスの保持: パーキンソン病の患者は、便秘や嚥下障害などの問題を抱えやすいため、栄養バランスの良い食事を心がけます。高繊維食品や水分摂取を増やし、栄養士の指導を受けることが役立ちます。

安全対策の確保: 転倒や怪我を防ぐために、住環境の改善や支援具の利用など、安全対策をしっかりと行います。

ストレス管理: ストレスや不安は症状を悪化させる可能性があるため、ストレス管理技術やリラクゼーション法を取り入れて心の健康を保つことが大切です。

社会的サポートの利用: パーキンソン病の患者とその家族は、サポートグループやカウンセリングなどの社会的な支援を受けることで、病気に対するストレスや孤独感を軽減することができます。

これらの注意点を守ることで、パーキンソン病の管理がより効果的に行えます。

パーキンソン病の予後は?

適切な治療を受けることで、通常、パーキンソン病が発症してから約10年間は普通の生活を送ることができます。その後は個人差があり、介助が必要になることもありますが、生命予後はそれほど悪くありません。一般的な寿命は一般の人よりも2〜3年短くなることがあります。

高齢者の場合は、脱水や栄養不良、悪性症候群などに特に注意する必要があります。また、寝たきりの状態になると合併症のリスクが高まります。特に、誤嚥性肺炎などの感染症が直接の死因となることが多いため、注意が必要です。

パーキンソン病と東洋医学。


パーキンソン病における東洋医学的な考え方は、体のエネルギーのバランスが乱れることで引き起こされるとされます。具体的には、体内の気(エネルギー)の滞りや、腎臓の機能低下、肝臓の気の上昇、そして血の滞りが症状の原因とされています。

パーキンソン病の症状は、これらの要因が脳や神経系に影響を与えることで現れると考えられています。東洋医学では、これらの要因を改善し、体内のエネルギーのバランスを整えるために、鍼灸療法や漢方薬、運動療法などが用いられます。

東洋医学を取り入れるメリットは?

シェーグレン症候群において、東洋医学を取り入れることにはいくつかのメリットが考えられます。ただし、東洋医学は西洋医学とは異なる視点やアプローチを持つため、個々の患者によって効果が異なる可能性があります。

個別化されたアプローチ: 東洋医学は全体的なバランスや個々の体質に注目します。患者の症状や体調を総合的に評価し、その人に合った治療法を提供するため、個別化されたアプローチが可能です。

症状の根本原因へのアプローチ: 東洋医学では、症状だけでなく、その背後にある根本原因にも焦点を当てます。体のエネルギーの流れやバランスが乱れていると考え、それを整えることで症状の改善を目指します。

予防と健康維持へのアプローチ: 東洋医学は病気の治療だけでなく、健康維持や病気の予防にも注力します。生活習慣や食事、ストレスの管理など、総合的なアプローチを通じて全体的な健康を促進することが目指されます。

身体と精神の一体性へのアプローチ: 東洋医学では身体と心のつながりが強調されており、精神的な状態と身体の調和を取ることが重要視されます。パーキンソン病で出る症状がストレスや精神的な要因に由来する場合、このアプローチが有益とされています。

ただし、個々の状態によって適したアプローチを見つけるためには、医師や東洋医学の専門家との相談が重要です。自己判断せず、専門家のアドバイスを受けながら統合的なケアを検討することが大切です。


以上のような点から、東洋医学を取りれるメリットがあります。

東洋医学で考えるパーキンソン病にアプローチできるポイント


東洋医学で考えるパーキンソン病にアプローチする際のポイントは以下のようになります:

気の滞りを解消する: パーキンソン病では体内の気の滞りが症状の原因の一つと考えられます。鍼灸療法や漢方薬などを用いて、体内の気の流れを改善し、滞りを解消することが重要です。

腎臓の機能を補う: 東洋医学では、腎臓は体の根源的なエネルギーの源とされます。パーキンソン病の患者では腎臓の機能が低下している場合があるため、腎臓を補う漢方薬や運動療法を用いて腎臓の機能を改善することが考えられます。

肝気の調整: ストレスや感情の不安定さが肝臓の気の上昇を引き起こし、体のバランスを乱すことがあります。気功や太極拳などの運動療法や鍼灸療法を用いて、肝気を調整し、ストレスや不安を緩和することが重要です。

血の循環を改善する: パーキンソン病の症状は、血の滞りに関連していると考えられることがあります。血の滞りを改善するために、鍼灸療法や漢方薬、運動療法を用いて血の循環を促進することが効果的です。

食事と生活習慣の改善: 東洋医学では、食事や生活習慣が体のエネルギーのバランスに影響を与えると考えられています。バランスの良い食事や適度な運動、ストレスを減らす生活習慣の改善が重要です。

これらのポイントを組み合わせて、個々の患者に合った総合的なアプローチを行うことが、パーキンソン病に対する西洋・東洋医学的なアプローチのポイントです。

その他のパーキンソン病の治療法

鍼灸

鍼灸によって筋肉の緊張やこわばりを緩和し、運動障害や姿勢の問題を改善します。これにより、動作の滑らかさや体のバランスが改善されます。

次に、鍼灸によって体内のエネルギーの流れを促進し、神経系の調節や血液循環の改善を図ります。特定の経絡に鍼を刺激することで、症状の緩和が期待されます。

また、鍼灸療法では、単に特定の症状を治療するだけでなく、全身のバランスや調和を促進することも重視されます。個々の症状だけでなく、患者全体の健康状態を考慮して治療が行われます。

そして、パーキンソン病の鍼灸療法は、個別にカスタマイズされた治療計画が必要です。患者の症状や健康状態を評価し、その人に最適なアプローチを決定します。

漢方

パーキンソン病の漢方療法は、以下のアプローチで行われます。まず、補脾益気や疏肝理気の漢方薬で体のエネルギーを補い、肝気の調節を行います。次に、鎮痙安神の漢方薬で神経の安定を促し、温通経脈の漢方薬で血液や気の流れを促進します。治療には患者の個々の症状や体質に合わせた漢方薬が処方され、食事や生活習慣の改善も重視されます。

漢方治療は西洋医学の治療と併用され、総合的な医療ケアが重要です。よく使われる漢方には抑肝散などもありますが、漢方は患者の体質に合わせて組み合わせるため、漢方薬店などに相談してみると良いでしょう。

参考資料(北里大学:パーキンソン病 抑肝散を使い治療)
https://www.kitasato-u.ac.jp/toui-ken/dl/public/faq_92.pdf

パーキンソン病と漢方
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=10479

東洋医学的にパーキンソン病の治療を始める場合は?

東洋医学的治療は、体質の調査から始まり、陰陽のバランスを整える食事療法や漢方などを用いて体全体の機能を改善します。健康管理と生活指導も重要であり、個々の症状や体質に合わせたアプローチが必要です。そのため専門家への相談が重要になってきます。


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