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5mmの事など・・昔聴いてた音楽(4)

10代の頃聴いていた音楽・・・先ずはビートルズ(4)

アルバムごとに好きな曲、思い出深い曲をあげていきます(その3)
音楽用語などやや専門的な表現を使わざるを得ない部分、ご容赦下さい。

Revolver


1966年ビートルズが来日した時にはこのアルバムの音は出来上がっていたようですが、彼らが本格的に次のステップを踏み上がろうとしていた時に日本に来て演奏してくれた事、個人的に感慨深いです。

・I`m Only Sleeping

テープ速度を上げたかのようなジョンの声が好きです。大体、中期ビートルズの、テープ速度いじったジョンとポールの声、これは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが自分は大好きです。この曲のモワッとした湿度の高い音もいいですね。ポールのベースが素で聞けるのも好きなポイントです。間奏などのリバースギターも面白い。これは昔、レコードプレーヤーを逆に回してフレーズを確かめたことがありました。他にもリバース音が鳴ってる曲はほぼ全部それやりましたね。
コードも基本マイナーな雰囲気だけどメジャーとマイナー行ったり来たりの、センスを感じるもの。ベースのピックアップ部分はCM7だけど、ベースのフレーズはEmのアルペジオ、と言うのもなかなか興味深いですね。Aメロの冒頭はEmで始まるのだけど、大サビ(?)の後のこの部分はE7なのもセンス最高!です。なんともさりげないです。

・Here There And Everywhere

Yesterday路線(というと語弊あり?)を一歩押し進めた曲、かも知れません。
昔、某音楽専門学校の理論の授業でこの曲のコード進行をアナライズしたのだけど、そう言うアカデミックなところとポールの素朴なところが上手く混ざった出来上がりですね。Yesterdayと同じようなパターンのメロディで始まりながら雰囲気は全く別物で実に美しい曲です。理論の授業で取り上げるくらいではあるけど、だからこそある意味I`m Only Sleeping程の面白味には欠ける、けども充分魅力的な曲。

・She Said She Said

Ticket To Rideなどから続くジョンのサイケロック。この時期特有のインド臭が堪りません。めちゃくちゃカッコいいです。
大サビでフワッと3拍子になるのも面白い。リンゴのドラム、良いですね。キラキラしたジョンのギターと歪んだジョージのギターの対比がエレキバンドっぽくてカッコいいですね。

・And Your Bird Can Sing

A hard day`s night、Everybody`s got something to hide except me and my monckey、Whatever gets you thru the nightなどに通じる賑やかソングですね。ジョン自身としてはソウルミュージックのつもりかもですが、唯一無二の世界です。グイグイとドライブする8beat、カッコいいです。ポールのbassもリンゴのdrumも生き生きしています。ジョンの4部音符のストロークが漢(オトコ)らしいですね。

・Tomorrow Never Knows

これは特別な曲です。タンブーラによるCのドローン~カモメの声(Distギターらしい)などのS.Eとドラムパターンからのジョンのお経のようなボーカル。間奏はリバースギター(例によってレコードを逆に回してみました)。様々なS.Eを流すため、複数のテープレコーダーにセットしたテープループをミキサー卓に立ち上げ、数人でフェーダーを操作しながら録音したとの事。後に10ccの「I`m Not In Love」などに発展する方法。既にバンド・ミュージックからは逸脱してますね。恐らくジョージマーティンはじめアビーロードのスタッフなくてはこのアイデアは実現しなかったでしょう。何よりも重要なのはこれらのアイデアがこの曲が元々持っていた可能性を充分に押し広げるために決して無駄では無く、ぴったりはまっていた事と思います。アンソロジーでこの曲の最初のバージョンも聴けますが、これもまた凄いのだけど惜しげもなくボツにして最終バージョンにトライした事もまた凄いです。アビーロードスタジオを自由に使えたビートルズならではでしょうね。この曲が10代の自分に与えた影響は大きく、曲作りの時には常にこの曲を制作した時のビートルズのイメージがついて回ります。

Sgt.Pepper`s Lonely Hearts Club Band

ロックアルバムの金字塔と言われているこのアルバムですが、リアルタイマーでは無い自分にはそのインパクトは正直、リアルタイムで体験した方々よりは薄いのかも知れません。世間の評価も様々で、“最高傑作”と言ったような事も言われるせいか“それほどでも無い”もしくは“全く良く無い”とまで言われたりもするこのアルバム。恐らくこのアルバムは「ロック」と言うにはギターの比重がそれほど重く無く、他の楽器と共に曲の部品として機能している曲が多いから、ストレートにブルースやロックンロールな曲が皆無だから、と言う理由から物足りなさを感じた人も少なくなかったのかも知れないですね。単に音楽の内容だけで言えば1967年当時のロック、ポップ界を想像するにやはりかなり先進的でバラエティに富び、華があり、美しいものだと思います。自分的にはリアルタイムでは無いけど、10代の頃本当に何回も聴いたアルバムです。

・Lucy In The Sky With Diamond

この曲を初めてちゃんと聴いたのはこのアルバムででは無く、所謂「青盤」と呼ばれる2枚組ベストアルバムでした。それまでもラジオで聞いた事はあったけどフルコーラスでは無いものばかりで、青盤を買うまでずっと気になってた曲でした。英語の歌詞の内容は自分にはさっぱりでしたが、その音からも極彩色の世界が頭の中に広がりました。この曲もテープ速度を操作してありジョンの声がちょっとユニークな声になっています。印象的なイントロからしてもうそれ以前のロック・バンドから逸脱してますね。曲の構成、タンブーラやフランジャーの使用、ポールのベースも1音1音が意味ありげで素晴らしい。それらを上手くまとめ上げたジョージマーティンの手腕、凄いです。

・Within You Without You

これもまた凄い曲です。 ミクソリディアンのメロディが美しいですね。
インド楽器のアンサンブルと見事にマッチしています。素晴らしい。ビートルズと同時期~後にもインド風味の曲はいくつかあるけども、ここまでインド楽器とロック的ニュアンスが混ざり込んだ曲はないのでは?と思います。また、自分が10代~20代半ば位まではアナログ盤やカセットテープで音楽を聴いてたのですが、この曲ほどCD化で印象が変わった曲はありません。アナログ時代は音が厚く、大編成のイメージだったけどCDでは意外と小編成(こちらが正しい)に聴こえた、と言う事です。因みに、音楽を聴く時自分の好みで言うならCDの方が好きなのです。世間ではアナログ盤が評判がいいですが。

・Lovely Rita

この時期の、調子に乗ってるポール全開の曲ですね。きっと今後のHello Goodbyeなどに繋がるような曲だと思います。単刀直入で無駄の無いポップソング。テープ速度をいじったポールのボーカル、ケロケロしてて好きです。ガラクタをガチャガチャやってるようなドラムとパーカッションとアコギの雰囲気、そしてベースが素晴らしい。曲を支配するベースラインと音色。きっとこの曲は、後のテクノやニューウェイヴにも繋がるものだと思います。

・A Day In The Life

10代の自分に最も大きなインパクトを与えた曲です。先ず歓声の中からの静かで不気味な導入、正体不明なジョンのボーカル、地面を這いながら道案内をするポールのベース、洞穴の奥から響いてくるようなリンゴのドラム。その後のヒステリックな大小の正体不明な蛇みたい竜みたいなオーケストラの上昇~カットアウトからのピアノとベースの四分音符、目覚まし時計、ちょっと安心するポールのボーカル、再び怪しい世界に再び戻り、既に顔見知りとなった道案内のベースと洞窟のドラムの音を聴きながらまたまたヒステリックなオーケストラが登場し、今度は頂点まで上り詰めカットアウト、「なんでやねん」な数台のピアノによるEコードのフェルマータ、ひたすらフェルマータ。

なんちゅう曲や!

・Magical Mistery Tour


映画「マジカルミステリーツアー」のサウンドトラック
映画の評判は散々だったらしいですが、アルバムの方は良いですね。

・Fool On The Hil

地味に面白い曲。放っておくとずっとループする構成。例えばこの曲をライブでやる時、エンディングがどうしても“取ってつけた”ものになってしまう。フェードアウトの曲はどうしてもそうなりがちですが、この曲は特にそう思います。「丘の上の愚か者」はこれからも変わらず丘の上にいる、と言う感じでしょうか。
よく出来た曲。無駄の無いメロディとコードの組み合わせ、地味ではあるけどドラマチックな転調。リコーダーの使用も地味だけど、自由で画期的。バスハーモニカの使用はPet Soundsからの影響でしょうか。そして、地味に、「なんの音だかわからない」そんな音もあって、この音はいったいどこから出てきたものなのか?と言うものもある不思議な曲です。

・Blue Jay Way

インド色の濃い曲ですが、インド楽器は使われてないですね。本来インドの楽器がやるような事をオルガンやチェロなどでやっている様です。リボルバー~S.G.Tで本格的なインド音楽とロック、ポップミュージックのミックスをやった後、ジョージの中でのインドは徐々に表面では無く内面(本質?)へと変化していった様です。ビートルズ中期には不気味な曲がちょくちょくありましたがこれもそのうちの一曲。そう言う不気味な曲、好きでした。

・I Am The Walrus

ジョンの自由奔放なロックンロール、と言うかサイケロックですね。様々なエフェクトやS.Eがカッコいい。ジョージマーティンによる弦と菅が素晴らしいですね。ストリングスやブラスが完全にロックの楽器になっている。ジェフリンはこの曲に大きな影響を受けたのでしょう。きっとジェフリンは、ジョンが存命なら是非ともプロデュースしてみたかったでしょうね。この曲を初めて聴いたのはラジオのビートルズ特集でしたが、初聴は何が何だかわからなかったけど、2回目からは忘れられない曲になりました。ただ、ホリオ家の家族にはまったく理解してもらえませんでしたが。

・Hello Goodbye

ポールの最高傑作では無いか?と個人的には思っています。ここまでシンプルで分かりやすく、親しみやすい、のにこの時期のビートルズ特有のサイケ感もちゃんとあるし、ジョージマーティンによる管と弦がまた素晴らしいですね。このムードは後のデキシーミッドナイトランナーズの「カモンアイリーン」の様な曲に影響を与えたかもしれないですね。

・Strawberry Fields Forever

これもまた凄い曲。これは特にジョージマーティンの活躍が目立ってます。ジョンの無理難題を見事にクリアした手腕は大したものです。ただ、そう言う仕事をする気にさせるものがこの曲にはあったのでしょう。派手なサイケサウンドに隠れているかもだけど、メロディとコードが美しいのです。I`m The Walrusも同じことが言えます。そして、サイケサウンドとは言ってもこの曲は特に管と弦とパーカッションと言った通常クラシック音楽の楽器が大活躍していますね。ジョージマーティンの現代音楽への造詣の深さがロックとクラシックを結びつけた素晴らしい仕事です。ジョンの素晴らしい原曲があればこそですが、これはジョージマーティンによる歴史的な仕事だと思います。

・Penny Lane

これもまたポールの最高傑作1、2を争う曲ですね。効果的な2種類の転調。メジャーで始まりさらっと同主マイナーに転調し、またさらっとメジャーに戻る。その後、パーっと空が晴れた様な全音下への転調、からの可愛らしい元キーへの復帰。ポールの転調は割と教科書通りな手法が多いですが、それを上手く使っています。そして、この曲もいろんな楽器を使用したカラフルなアレンジが心地良きですね。特にピッコロトランペットの間奏は見事です。ポールの明るいボーカルと、ペニーレーンの道案内をしてくれてるかの様なベースライン、素晴らしいです。

10代の頃聴いていた音楽・・・先ずはビートルズ(5)に続く

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