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具のない楽しみ「浪花家総本店」麻布十番

麻布十番は好きな街だ。商店街ではおいしい有名な飲食店が目白押し。また、麻布十番のスタバなど、雰囲気がとてもよく、二階のソファに座った日には、4時間は暇をつぶせる(お店の方、スミマセン)。少し歩くと万華鏡の専門店や、有名なインテリアショップもあって、ちょっとした街歩きに最適だ。

それにしても、タイ焼き、「一匹ずつ」焼くやつ、あれがとてもおいしいということを、どうしてみんな知っているのか。浪花家総本店は、東京にいくつもあるタイ焼き店のうちでも筆頭の名店として取り上げられるようになって、もう何十年にもなるが、この「一匹ずつ」の旨さを世に知らしめた店の代表格といっていい。薄い衣に見え隠れするたっぷりの小豆餡。黄金色に色づいたそれが魚の金型から落としだされて、これが飛ぶように売れるのを店先で見ているだけでも楽しくなる。

カタンカタンというタイ焼きの金型のぶつかる音が止まることはない。同様に、店内ではタイ焼きを注文する電話が鳴りやまない。焼きたてを一つだけ頼むことが心苦しくなるほど人気店であり続けているが、それでもふとした時間に店の前を通りかかって、「とびきりのを一匹だけ」買い求めることができるときもある。そんなときは幸運に感謝だ。

店内に座れそうなときにはおじゃまして、頼むのは「焼きそば」と「ラムネ」となる。夏場はこれにかきごおり。焼きそばの具は何かしらキャベツや天かすなどの「破片」のようなものが少量はいっているだけで、ほとんどが麺、そして黒いソース。

この麺ばかりにみえる焼きそばが、旨い。

おかずとしての焼きそばではなく、おやつとしての焼きそばだ。黒いソースはお店の秘伝だろうか。少しだけウスターソースでも入っているのか、それとも醤油の色か。辛みのある東京風のいい味が口いっぱいに広がる。

この「おやつ」としての焼きそばは好き嫌いのわかれるところではあるが、わたくしは、このジャンクなメニューがお気に入りだ。まだ試したことのない方は騙されたと思って一度はチャレンジしてほしいものだ。ただ、この焼きそば、おやつ感覚で食べるものだから、タイ焼きと合わせて完食してしまうことも。気が付けば息が詰まるほど腹いっぱいになってしまうので注意が必要。炭水化物の塊です。

そんな時は腹ごなしのために、麻布十番の商店街を抜けて、六本木方面まで歩く。意外とすぐに森ビルの一群が見えてきて、街並みも様変わりする。なんていうか…テレ朝風になる笑

そういえば、麻布十番の代名詞だった銭湯、なくなっちゃったんだな…などと昔を思い出す。

ずいぶん前の話だ。いまはもう、「好い銭湯」があったということしか思い出せないのに。人間ていうのは、本当に勝手なものだ。



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