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いいんだョ、グリーンだョ「搾り屋 935」本郷

つい先日まで搾り屋吉ゑ門と名乗っていた、本郷三丁目駅から水道橋方面に歩いて5分くらいのマンションの一階。人気の、知る人ぞ知るフレッシュジュースの店だ。

都内のフレッシュジュース店では、ここ数年、コールドプレスジュースが時流を牽引した。ゆっくりと時間をかけて、野菜を絞るという、あれ。昨年のことになるが、ヴィーガン界の某有名インスタグラマーが、本格的なコールドプレスジューサーを披露してくれて、ようやくその全貌を理解できた。人参や小松菜やデーツをゆっくりと低速ですり潰す機械にかけたものを、麻袋のような袋に入れて、圧搾するのだ。

麻袋からは得も言われぬ美しい緋色や翡翠色の液体が流れだす。そして袋の中には野菜の繊維だけが残っていく。

なるほど、むかしは食物繊維も一緒に食べると体によいなんて言われていたが、「今回は」野菜のパルプを極限までとり除くのだ。しぼり「汁」のみをいただくわけ。

なんだかクールですね。それでコールドプレスなんていうのかな。

搾り屋 935でも専用のジューサーを使ってこのコールドプレスジュースを存分に味わえる。パック詰めもしてくれるようだ。なぜにパックにわざわざ詰めるのか?それは週末を利用して、ジュースクレンズ・ダイエットに励む意識高い系の人々にも対応しているからだと考えられる。

ジュースクレンズの過酷さにお気づきになっただろうか。このコールドプレスジュースは、極限まで食物繊維を取り除いている。そんなジュースをいくらか腹に入れたからといって、しょせんは水である。腹持ちのしようもない。おそろしい。

こちらでは、コールドプレスジュース以外にも通常のフレッシュジュースも頂ける。いわゆるグリーンスムージーの類だ。また、神田の名店から仕入れている甘酒もおいしい。私がいつも注文するのは超濃緑とネーミングされた、まったく甘くないグリーンスムージーである。グリーンスムージーの代名詞ともいえるケール、たっぷりの小松菜やパセリなどを中心に、あえての果物なし、レモンがちょっと加えられているだけとみられる緑色の液体。あなたがもしも小学生なら間違いなく飲み干せない代物だ。

季節によって、野菜の味に変化が表れて…店の方には悪いが、正直に言うと10杯に一度くらいは口が曲がりそうに苦いものが出来上がることがある笑

しかし、935に訪れるのは、旨さを求めているのではない。日常のアルコールにまみれた肉体を多少浄化してくれるのではないかと淡い期待を抱いて、薬代わりに頂くものだ。苦いの上等。

店内にはプチ断食のやり方が小さなラミネートカードに書かれて貼られている。3日コースとか、5日コースとか、体に無理な負担をかけることなく、なんなら朝と晩は普通の食事をとっても良いというような、安全に配慮した方法をわかりやすく説明してくれる。

しかし、私はコールドプレスジュースというものが、どういったものか学習したわけであり、「プチ」の文字に隠された、この過酷な修験道に参加するつもりはない。

おすきなかたはどうぞ。



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