2020年の出演作品を振り返ってみる話
2020年もまもなく終わりですね。
どうも、後関貴大です。
先日、出演していた舞台が全日程を終えまして今年の役者としての仕事納めになりました。
今年の出演作品は全部で4本でした。
折角なので1本ずつ振り返ってみようかなって思います。今だから言える話も交えたりして。
①sleepwalk[スリープウォーク]×アクターズライフ〔ACTORS’ Life〕
「河西裕介」短編作品集 vol.1『人間賛歌』
〈男〉チーム『アフタースクール』
2020年2月19日 (水) ~ 2020年3月1日 (日)
@APOCシアター
……1本目からタイトルが長い!!
観てない方に簡単に公演の概要を説明しますと、同じ作家の方が書いた短編作品を3作品 × 3チームの全9作品(+α)で上演するオムニバス公演で、僕はそのうちの1つ『アフタースクール』という作品に出演していました。
数年前から作・演出の河西裕介さんのWSを受けさせてもらっていて、そのWSの延長線上という形で出演させてもらいました。他にもオーディションの人やオファーの人もいて、僕はWS生枠って感じですね。
高校生の演劇部の話で、出演者全員高校演劇出身という不思議なメンバーでした。
稽古のときに高校演劇あるあるをみんなで出し合ってそれが脚本に反映されたり、劇中出てくるファミレス「サイゼリヤ」へメンバーみんなで実際に行ったり、和気あいあいとしてて正直今年の中で一番楽しい現場だった。(勿論全部楽しいという前提で)
高校演劇は僕にとってある種原初の演劇体験みたいなものだから、それを取り扱った作品、それを分かち合える人達というのは、なんというか自分にとって特別な意味を持つように感じました。
その反面今だから言える話として、実は多分全作品の中で一番最後までダメ出しがあったチームでした。初日が始まるギリギリまで詰めに詰める感じだった。
河西さんの作品は、その場の空気をとても大切にする口語劇なので些細な芝居の嘘がバレやすい。バランスを調整するのが大変でした。
でもその結果、多くの人から好評をいただいたので良かった。つい最近、関係者用の映像をいただいたので久々に観てみたのですが、普通にめちゃくちゃ面白かったです。
映像配信してるらしいので良かったら観てください。個人的に2020年の後関の名刺的作品です。
ちょうど公演期間中、コロナウイルスが国内に入り始めていた時期でした。
当時、こういう世相になるとは露にも思っていなかったなぁ。
②劇団藤一色 脚色公演 紫
『デレラ~ クイーン・オブ・モンスターズ 〜』
2020/07/02 (木) ~ 2020/07/08 (水)
@下北沢OFF・OFFシアター
以前共演したことのあった同い歳の役者・演出家の加藤広祐から、声をかけてもらって出演することになった作品。
オファーをもらってすぐにコロナ禍に見舞われてしまい、最初はてんやわんやでした。
当時まだ僕が慣れていなかったZoomで顔合わせやディスカッションをしたり、読み合わせとかもやったけど、対面と感覚が違いすぎて大変でした。
緊急自体宣言が解除されて実際に対面で稽古するとなった時に、今まで画面上でしか話していなかった人達が目の前にいるという感覚がとても奇妙だった。でも同時に人に会えたという嬉しさもあった。
稽古が本格的に始まって印象に残っているのは、劇団の人達が徹底して稽古場のコロナ対策をしていたこと。
当時多くの団体が涙を飲んで公演中止や延期を決めていた最中、劇場の灯を絶やすまいと多方面に気を配っていたのをすごく感じました。
作品のことだと、僕の役がどういう状態で舞台上に居るのか、なかなか掴みきることが出来ず苦労しました。
そのことを演出の加藤に相談したら「どういうときの自分に近いか」という話になりました。
「多分ヤバいぐらいに酔ってる時なんじゃないかなぁ」と言ってみたところ、
「じゃあ一回飲んでやってみたら?」
と言われたので、酒飲んで通しやりました。
そしたらなんかわかってしまった。すげえなアルコール(?)
……この文章は誰かに怒られたらそっと消します。
通し稽古の時まではマスクを外さないで芝居してたんですが、いざ外してみると逆に違和感がありました。
新しい生活様式に身体が慣れてきてたんだろうな。
個人的にコロナ禍の影響を一番感じた公演でした。
③Manhattan96 presents
stayhome 一人芝居 at Theatre
『全ての名もなき脇役たち』
2020年8月8日 (土) ~ 2020年8月9日 (日)
@K'sスタジオ 本館
詳しくは以前noteにまとめたので良かったらこちらもどうぞ。
数年ぶりの一人芝居。
丁度藤一色の稽古をしているときに、出演が決まっていた公演の延期連絡があり、飢えた気持ちになっていたときに出逢った企画でした。
思い返してみると、台詞を覚えるのがめちゃくちゃ大変だったなぁという記憶が蘇ります。
家だとダラダラしてしまうので、普段は散歩したり一人でカラオケに行くなど、声を出せる環境で台詞を覚えるのですが、最終的には相手役の人と合わせて覚えることが多かった僕は「一人」という制約にとても悩まされました。
稽古日数もそう多くなかったので早めに覚えねばと思っていたけど、結局3、4回目の稽古でようやく全部入るという始末。
これはシンプルに反省点だなぁ。
あと、知り合いが誰一人としていない現場に入るのがとても久々だったのですごく緊張してたのを思い出しました。
演出のまりさんが優しくて本当に良かった……。
この作品も年内まで映像配信行っておりますので、よろしければ是非。
④井田ゆいか企画 レントルミン 古民家公演
『ワードローブ』
2020年12月18日 (金) ~ 2020年12月20日 (日)
@古民家asagoro
つい先日終わった公演です。故に記憶も鮮明。
一人芝居が終わったあと、何も予定がなくてモヤモヤしてた時期にたまたま井田さんが声をかけてくださり、出演に至りました。
『アフタースクール』と同じ、河西さんの作品で年内の出演を締めることが出来たのは凄く嬉しかった。河西作品大好きなんですよね。
個人的に初めてやるタイプの役柄で、超ざっくり説明すると、ミステリーものの探偵役、兼、サイコクレイジーストーカー野郎の黒幕、って感じでした。どんなマッチポンプだ。
人に歪んだ感情を持って接して、そのまま勝ち逃げするっていう役、今までやったことなかったので、すっごい難しかったけどすっごい楽しかったです。
共演者の一人が別の舞台で濃厚接触者に認定されてしまって、稽古始まって2週間くらい合流が遅れたりとコロナの影響をまだ色濃く感じる稽古序盤でした。(その共演者は陰性でした。良かった。)
今回会場が劇場ではなく貸し出している古民家で、実際に古民家に行ってみると、思っていたより「家じゃん!!!」って感じでした。観に来てくださった方にはこの感覚伝わると思います。
父方の実家をなんとなく思い出させる風情のある古民家。風通しがすごく良かったので寒かったなぁ。笑
舞台監督さんが設備にあったコタツを楽屋に用意してくれたので、気付いたらすぐその中に入って暖をとっていました。
観に来てくれた知り合いの中に、最近足を挫いちゃって松葉杖で来たお客さんがいました。
終演後にその人に「大丈夫?」とLINEを送ったら「足はバキバキだったけど、作品が面白かったので心は満たされました」と返事が来て、あー、そうだよな、それが嬉しいから役者やってるんだよな、って自分の気持ちを再確認出来た。
自粛期間中、何故自分は演劇を選んだのか、ぼんやり考えたことがありました。
今でもその答えは明確ではないけれど、僕は劇場で、誰かと出会って、時間と空間を共有出来るから演劇が好きなんだと思います。
2020年はとても良い年だった、って人は恐らくそんなに多くないんじゃないかなって思います。僕も少し息苦しいなと思ったし、悲しいこともたくさんあった。
けれどその中で確かに見つけられたものがあったのは、僕にとって収穫でした。
来年がどんな年になるかは全然わからないけど、今より飛躍していければ。そう思っています。
頑張るんで、これからもよろしくお願いします。
ではでは、ちょっと早いですが、良いお年を。
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