展示写真を語らせてほしい
前回記事からの続き。
自分用の備忘録がてら、写真についての考えを。
モデルを務めていただいた若葉さんのSNSもぜひご覧になって。
テーマ設定
あいも変わらず「自己愛」が中心。
ただ当初構想していたテーマがもろもろの関係でボツになってしまったため、数週間でテーマ変更→撮影を済ませる必要がありました。
そして展示までのスケジュールを考慮するに、撮影が可能だったのが若葉さんしかいなかった、と。
ひとつ留保すると、若葉さんで”妥協した”ということは一切ありません。
ただし若葉さんを撮るにあたっては大きなハードルがあり、それをクリアする自信が私になかった、と言うべきでしょうか。
自己肯定感との向き合い方
今回モデルを務めていただいた若葉さんと(勝手に)自己肯定感についてシンパシーを感じていまして。
改めて本気で考えて、単語と展示のテーマを組み合わせることにしました。
若葉さんは「自己肯定感が低い」とおっしゃる方です。
実を言うと役者さんにはこういった悩みを持つ方が少なからずいて、役やパフォーマーとして舞台に立つことで”自分じゃない姿”として見てもらうことにやりがいを感じていると言います。
自己肯定感が低い、にもさまざまな形があります。
自分が切り替えようと思えば表舞台モードになる人、シチュエーションやキャラクターが当てられないと難しい人、そもそも挑戦しない人etc…
若葉さんの場合は「若葉琴音として見られること」に苦手意識をもっていて、それはポートレートにおいて高い、とても高いハードルなのです。
撮影者たる私にとって。
言葉にして説明するのは難しいのですが。
端的に表現するならこのハードルを越えようを2年以上の歳月を費やし、なお未だにクリアできたかと言われると断言できない、くらい。
しかし逃げてしまってはもったいないと思えるほど、若葉さんには魅力を感じていることも確かなのです。
そこでとった行動は、考えを伝えること。
台本とか作ってないので、どこまで伝えたか、伝わったか、曖昧ですが。
若葉琴音という役者・声優・モデル”だから”求めるというよりは、一人の人間として尊重し好きだから”そこにいてほしい””素敵に見てもらいたい””あなただからカメラを向けているのだ”、みたいな内容。
自分へ無条件の肯定を向けられない者同士の、いびつな形ながらも真摯に向き合う挑戦を今回の展示に向けていました。
展示してみて:差別化はどこで図れるのか
今回初めてポートレート専門の展示をしてみて思ったこと。
他参加者さんとの差別化は如何にして図られるのか。
以前参加したUNTITLEDではノンジャンルであったがために、ポートレートという題材そのものが差別化要素になっていました。
一方で今回は全員ポートレート、それも虫ピンでの設置、4枚の組み写真と、かなり縛りがキツかったのです。
展示で一番凝っているなと感じたのは、プリントされたカンヴァスに写真を4枚貼り付けているもの。
その他には4枚の大きさを変えたり、外しのカットを入れてみたり、などなど。
ただ参加者さんが重視されているというか、評価されるポイントは「空気感」という抽象的なものだった気がしています。
その中で自分が自信をもって「ここが私のアピールするポイントです」と言えるものがあったか、という話。
個人的には色使いと文章ではあったのですが、それが鑑賞者さんに伝わっていたかというと不明。
なんせ感想をぜんぜん訊けなかった。
そんな中で一つ言えることは、「自分から見ればこの展示の中で自分の作品が一番好きだ」と言えること。
もし尊敬する方の写真があったらその限りではないのかもしれないですが。
若葉さんを自分なりに解釈して、自分なりのフレーミングで捉えて、自分の好きな色で彩る。
純然たる解釈一致であって、私にとっての”若葉琴音の表現とは”の一つの正解であるという自信は付きました。
これをノンジャンル展示へ転化していきたい。
振り返って、それと謝辞。あと次。
反省の多い展示ではありましたが、それは私個人に起因するもの。
写真の出来、プリントの具合、その他諸々トータルとして満足はしております。
あ、来場者数はとても大事だということも学びました。
今回の作品自体は満足のいく出来でした。
ひとえに若葉さんのお陰です。
普段はしないポージングの指示だったり、クセを直してもらうようなリクエストだったり、かなり無理を言ったなと思いつつ。
ずっとモヤモヤしていた若葉さんへの課題意識を一つクリアできた自覚がありますし、ご覧いただいた方にいいものをご提供できたと自負しております。
本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
さて次なるUNTITLED2024。
より難しい。
でもどうせやるならアートの領域も混ぜ込んでしまいたい。
難しいけどがんばる。
ご協力いただけるモデルさん募集中。
また素敵な場所でお会いしましょう。
それでは。
ご覧いただきありがとうございます! サポート頂きましたら、役者さんのコーヒー代、撮影機材への投資、資料購入費として使わせていただきます🙏