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私は、見えた様にしか撮れないけど、関係性は写せる~被写体と語ってみて~

どうも、プロレスとか役者さんポートレートを撮っているたかはしです。

写真って光を記録するものです。
物理的には光以外の記録は残せません。

それでも「写真表現」というくくりに於いては、光以外の「何か」を記録しようとする試みによって、その芸術性が作られてきています。
その「何か」に具体的な答えが無いからこそ面白いし、沢山悩むものです。

そしてなにより、人を撮影するようになってからというもの、その「何か」に自分主体でないリクエストが混ざるようになってきました。
いろいろ悩ましいので、思い切ってモデルさんと語ってみたことを綴ってみようと思います。


〇作りたい世界観・雰囲気

私がポートレートで撮影しているのは、ほとんど役者さんです。

物語の中で、自分でない姿を作り込んでいく方々です。
形は違えど写真でも同じような考えに至る方が多いように思います。

「自分をこう見てほしい・見せたい」という願望やマーケティング的戦略がありつつ、「こんな世界のこんな人物」をその場で表現してくださるのが役者ポートレートの魅力であり難しさです。

そんなリクエストに対してカメラマンがすべきことは、その解釈と提案、表現に他なりません。
でも私は苦手なのです。すごく。芸術や表現の解釈だったり、感想を表現することが幼いころから苦手です。

一番は写真を見てくれた人に伝わるか否か。
私のガバガバフィルタを通した写真でそれが伝わるものなのか…
と思いつつもトライアンドエラーを繰り返して作品作りをしています。


〇ほかの誰かを”おろす”

先ほどの世界観に通ずるものですが、役者は自分でない姿をトレースするプロフェッショナルです。
そこにいない人の仕草や表情、果ては内面まで表現してくれます。

私の一番の悩みはここです。
世界観というか雰囲気は写真で表現できます。設定や画角を調整したり、レタッチで色をいじったり。

でも「そこにいない他の人物を表現した」という状態を、前情報なしに第三者へ伝達できるような写真、というのが難しい。
特に実在する(普遍的な写真の無い)誰かを、被写体そのままの姿で写真に収めることは、少なくとも私のレベルではできませんでした。

私には見えているようにしか写せません。
どう撮っても、私含め第三者からは役者さん本人にしか見えないです。
そうでないとファンが付かないですし、商品価値として成立しないからです。
でも「○○さんみたいな写真」「△△さんの空気感」をリクエストされることはある、というジレンマとせめぎ合っています。

この点に関しては本音を話した上で、「あなたにしかない魅力を引き出していきたい」とは伝えました。
役者さんそれぞれに私の目線で感じている魅力があり、それを私なりの表現で第三者に伝えつつ、ときに他の誰かみたいな写真が撮れたらいいな、と。


〇認知してほしい”自分”の表現

貰える役や言われる感想について悩んでいる役者さんと話した時です。

本来見てほしい「かっこいい」像に対して、求められたり感じ取られる「かわいい」像にギャップがあり、多くのストレスと戦っています。
写真でも見てほしい像に近しくなるよう、衣装や表情を工夫して発信しているものの、与えられる役は変わらないとのこと。

私個人から見れば、かっこいいもかわいいも混在する点に魅力があり、その両方を捉えられるよう工夫しています。
それ自体に不満はないとのことですが、なんにせよプロモーションを考えると、撮影の趣向を変えないといけません。

先ほど、第三者から見ればその人本人にしか見えないと述べました。
逆に言えば、そう見えるよう作り込みをして、見てほしくないカットを除いてしまえば、見せたい人物像を表現できるものです。

まだ始めたばかりですが、コミュニケーションを撮って作品作りをしましょうと話しました。


〇自分が撮りたいもの

ここ最近の私の悩みの話になってしまいますが。
何をもって私の作品であり、何か評価される要素を持っているのか、という点が見えていません。

何なら他の上手いカメラマンさんに撮ってもらった方が、機材も技術もクオリティの高い状態で、より良い作品が撮れると思います。
モデルの囲い込みはしたくないですが、いつか飽きられて離れてしまう不安との戦いを繰り広げています。

そんな自分にできることは、先ほどからちらほら書いているコミュニケーションです。
ステキな記事があったので参考に。

先ほどからリクエストの話ばかりしていて、受け身のカメラマンな表現になっていました。

ポートレートにおいての「撮りたい写真」を挙げるなら、自分と相手との関係性が見える写真かなと思います。
何かしら特徴的なアピールポイントを掲げることが差別化の基本ですが、明確な撮りたい写真を見つけられていないのが現状。
そんな中でも強制せずに継続して撮影させてもらうには、コミュニケーションをとって関係性を築き、それを写真に収めること。

恋愛感情を抱くとかいう訳でなく、信頼だったり安心感だったり、楽しさや苦しみといった感情が、見ている人に伝わったらな、と。
写心という「本人も気づいていない内面まで写す」な単語もあったりしますが、そこまで大それたものでもなく。。。
ファンの方にも、間接的に同じ目線で見てもらえるような写真を目指したいなと考えてます。


〇終わりに~一方で

「誰の目線か分からない」な写真も好きで。。。

たぶん、相手や場面によって作風を変えていくのが、私には合っているのかも。

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