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小説&ショートショート

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小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
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#ミステリー小説

冬色のカーテン|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「冬色のカーテンです。大切にしてね」  そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送ら…

トガシテツヤ
10か月前
79

キガラシの花|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「春と風に中てられたんだな。何とも運が悪い人だ」  診療所に運ばれてきた若い女性を見なが…

トガシテツヤ
7か月前
40

死人歩き|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 閏年――2月29日、実家に帰省した。  怪訝そうな顔で「なんで今日なん?」と言う母を無視し…

トガシテツヤ
7か月前
65

毒入りチョコレート|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「チョコレートは食べちゃダメよ? 一番毒を混ぜやすい食べ物だから」  僕が小さい頃、隣に…

トガシテツヤ
8か月前
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青写真と赤写真|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――青写真が撮れたら注意しろ。  あるSNSの、煽り感たっぷりの見出しに、「はいはい」と…

トガシテツヤ
8か月前
64

逝化粧|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「雪化粧をした富士山です。さすが静岡」  静岡に旅行に行っている彼女から写真とメッセージ…

トガシテツヤ
9か月前
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命の灯台|掌編小説

「よし。大丈夫そうだ」  じいちゃんは灯台を見上げながら、力強く頷いた。最近、じいちゃんは夕方になるとこうして灯台の光を確認する。その灯台はボロボロで、今にも崩れそうで、近くに新しい灯台が建てられたのに、なぜこんな古い灯台がまだあるのか、僕は不思議だった。 「灯台の役目って何だか分かるか?」 「船が迷わないように遠くを照らしてるんでしょ? でも、このオンボロ……古い灯台は海を照らしてるみたいだけど」 「それでいいんだよ。人は海から生まれて、いずれ海に還っていく。海の中は暗

紅葉鳥|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――紅葉鳥……か?  玄関先に紅葉鳥がいた。スズメより少し大きいくらいの体で、トテトテ…

トガシテツヤ
11か月前
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夜|掌編小説

 じっとりと汗をかいた首筋にハンカチを当て、熱気と湿気が充満した世界の淵に立つ。いつもよ…

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月めくり|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「月めくりっていう風習があってな……」  突然、ぼそっと喋り出したばあちゃんに、僕はお団…

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海を渡るひまわり|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ひまわりへ贈る言葉なんてない。  無事に海を渡ってくれれば、それでいい。  俺が住む島…

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夜を纏って|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――ただ歩く。  夜を纏って歩くことに、だんだんと慣れてきた。最初はまとわりつく夜がう…

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金木犀の香る家|ショートショート

 北海道に金木犀は自生していない。越冬できないからだ。  10月に入り、本州で金木犀が咲き…

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