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「冬色のカーテンです。大切にしてね」 そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送ら…
「春と風に中てられたんだな。何とも運が悪い人だ」 診療所に運ばれてきた若い女性を見なが…
閏年――2月29日、実家に帰省した。 怪訝そうな顔で「なんで今日なん?」と言う母を無視し…
「チョコレートは食べちゃダメよ? 一番毒を混ぜやすい食べ物だから」 僕が小さい頃、隣に…
――青写真が撮れたら注意しろ。 あるSNSの、煽り感たっぷりの見出しに、「はいはい」と…
「雪化粧をした富士山です。さすが静岡」 静岡に旅行に行っている彼女から写真とメッセージ…
「よし。大丈夫そうだ」 じいちゃんは灯台を見上げながら、力強く頷いた。最近、じいちゃんは夕方になるとこうして灯台の光を確認する。その灯台はボロボロで、今にも崩れそうで、近くに新しい灯台が建てられたのに、なぜこんな古い灯台がまだあるのか、僕は不思議だった。 「灯台の役目って何だか分かるか?」 「船が迷わないように遠くを照らしてるんでしょ? でも、このオンボロ……古い灯台は海を照らしてるみたいだけど」 「それでいいんだよ。人は海から生まれて、いずれ海に還っていく。海の中は暗
――紅葉鳥……か? 玄関先に紅葉鳥がいた。スズメより少し大きいくらいの体で、トテトテ…
じっとりと汗をかいた首筋にハンカチを当て、熱気と湿気が充満した世界の淵に立つ。いつもよ…
「月めくりっていう風習があってな……」 突然、ぼそっと喋り出したばあちゃんに、僕はお団…
ひまわりへ贈る言葉なんてない。 無事に海を渡ってくれれば、それでいい。 俺が住む島…
――ただ歩く。 夜を纏って歩くことに、だんだんと慣れてきた。最初はまとわりつく夜がう…
北海道に金木犀は自生していない。越冬できないからだ。 10月に入り、本州で金木犀が咲き…