【創作大賞2024恋愛小説部門】泡沫の微熱35 相愛②
【前回のお話】
【1話目】
「おまえは真面目なくせに不器用で脇が甘くてもどかしいけど、羨ましいと思うところもたくさんある」
「なんだよ、それ」
「自分の欲しいものを手に入れようとするときに踏み止まれる堅実さって、つまんねえけどトップには必要な要素だよ。おまえには素質がある。器もある。心意気もある。足りないのは、勇気と勢いだ」
真夜中の薄暗いリビングに、兄貴の諭すような声が響いた。つい数日前までそこに座っていた愛おしい姿はない。可愛らしいルームウェアを着てキッチンに立ち、