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女子高生から遠く離れて

田んぼが青くなると、夏が来たなと思う。
わたしにとっての夏は、太陽まぶしい海辺でも汗が光るグラウンドでもなく、視界いっぱいに広がる緑の平野。それがわたしにとっての夏。

きっと田んぼに囲まれたところで育ったからなんだろう。
田植えが終われば春の終わり、田んぼが青くなれば夏、稲穂が黄金色に重たくなれば秋、一面真っ白になると冬。どんなに否定しても、18年で感じた季節感から未だに抜け出せない。

東京では「暑いな」と思っても、そこからもっと暑くなるのか、それとも寒くなるのか、わからなくなるときがある。そんなときは、自然が恋しくなる。

帰ろうと思えば帰れる距離。東京から2時間。
新幹線を通してくれたかつての総理大臣には感謝の気持ちを述べたい。

思いつきで帰省した新潟は、まさに夏を迎えようとしていた。
駅に着いた足でレンタサイクルをする。自転車で駆け抜けると風が気持ちいい。新潟を自転車で走り回るのは、高校生ぶり。懐かしさもこみ上げた。

気付けば女子高生を卒業してから10年以上経っている。
あのころやり残したことはたくさんあるけども、もう一度同じ高校生活をやりたいとは思わない。できるならパラレルワールドとか違う環境で、甘酸っぱくてきゅん♡がたくさんつまったキラキラの青春を送れたらいい。28歳は夢見る少女じゃいられないのだ。(見てたいけど。)

……話を戻そう。
「あ、帰ろう」と思いつきの帰省だった割に、たくさんの収穫があった。素敵なインタビュー誌を知ったこと、居心地のいいお店を見つけたこと、自転車で巡ると新潟って楽しいかもと発見したこと、風が気持ちいいと思えたこと。地元と距離を取って10年、素直に地元の良さに気付けるくらいには、わたしも大人になった。もっと言うと、その良さを誰かに伝えたいとさえ思っている。

女子高生を卒業して、いくつも時間を重ねた。
若さは失くしたかもしれない。でも代わりに手にしたものも、たくさんある。そんなふうに思えるなら、年齢を重ねるのも悪くないんじゃないかな。

それにしても、高校生なら全然平気だった距離なのに、自転車を楽しんだ直後から膝が笑っているというか笑いかけている感じがするんだよなあ。これはきっと年齢のせいじゃない。運動不足だ、きっと。

読んでもらえてうれしいです!とにかくありがとうと伝えたい!