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起立性低血圧とは

起立性低血圧とは

起立性低血圧とは、立位をとった際に生じる過度な血圧低下のことです。

定義として、20mmHgを上回る収縮期血圧の低下、10 mmHgを上回る拡張期血圧の低下、またはその両方が起こる状態です。

症状

症状としては意識の遠のき、ふらつき、めまい、錯乱、などが起立数秒後から数分以内に起こり、臥位により速やかに消失します。

患者によってはギャッチアップや、座位保持でも症状が出ることもあります。

原因

自律神経の障害・失調
血圧のコントロールは自律神経が担っています。
通常であれば、体位が変わるとそれに順応して自律神経が自動的に血圧が上下しないようコントロールしています。

この自律神経の機能がうまく働かないと血圧コントロールが効かなくなり、起立性低血圧の原因となります。


下腿の筋の機能低下
寝ている状態から起き上がると重力によって脳の血流が減り、下肢の方に血流が流れます。

これを阻止しているものの一つが下腿の筋肉なのですが下腿の筋の筋力低下が起こると下肢の血流が増えて、脳への血流が不十分となり起立性低血圧となってしまいます。

水分不足
水分が不足していると、血流量が減ってしまい起立性低血圧になりやすくなります。

起立性低血圧の起きやすいタイミング

食後
食事を摂取すると消化管の血流が急速に増大するために血圧が低下しやすくなります。

血糖の上昇につれて血圧が低下するデータもあり食事開始後しばらくしてから、食後1〜2時間程度は注意が必要です。

排便後
便を出すためにいきむと副交感神経が優位となり血管の収縮反応が起こりにくくなり起立性低血圧が起きやすくなります。

排便に時間がかかる人は座位時間が長くなることも一因と考えられます。

就寝後
就寝中は、副交感神経が優位に働きます。長期臥床していることも、血管調整能力を低下させます。

入浴後
浴槽に浸かっていると身体に水圧がかかるため手足の血液が押し戻されて相対的に血圧が高くなります。

お風呂から出ると、水圧が解除されるため手足に血液が流れようとします。更にお風呂に入って温まると末梢の血管が開くため血管の調節能力が不十分だと急激に血液が手足に移動して血圧が低下します。

副交感神経を刺激する動作
眼や頸部を強くマッサージすると副交感神経が刺激され血圧の低下を招くことがあります。


症状を出さないために出来ること

臥位の状態から、体位変換する前に深呼吸や、ふくらはぎの運動などを行う。

起立性低血圧の起きやすいタイミングを避ける。

日中過ごしてもらう時に頭よりも足を高くあげておく。

寝たきりの時間を作りすぎない。

臥位から座位や立位へ移る前段階としてギャッチアップを行うなどがあります。


起立性低血圧が起きてしまったら

起立性低血圧は予防処置が大切ですが完全に防止することは不可能です。従って、低血圧が起きた時の対処法も熟知しておく必要があります。

対処法は速やかに横になって頭を低く保つことです。

横になれない時でもしゃがみ込んで頭を低くします。

失神して意識を失った状態で転倒すると外傷や骨折が起きやすいので、我慢して座位や立位を保つことはやめましょう。

患者さんが失神した場合、慌てて抱え起こすことは逆効果になるので、脈が触れること自発呼吸が確認できれば、次に血圧を測定し低血圧によることが確認できれば臥床位を保って意識回復を待ちましょう。


今回は起立性低血圧について書かせてもらいました。

言葉は聞いたことがあっても対処の仕方など頭に入っていないと対応できないことがあると思うので参考になると幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。


感謝・謙虚・敬意
意志堅固
西條 貴則




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