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京都のハードコアバンド naiad〜.islea. Precious things,Another Dimension of Hardcore emotion -大切なこと-

naiadは2006年に解散した京都のハードコアバンドである。正直自分は全くこのバンドを知らなかった。きっかけは前の記事を参照してほしい。音源を聴いてもの凄く衝撃を受けてそれ以来大好きなバンドになった。

naiadのバイオがよく分からないけどおそらく2003年頃活動が開始された様で活動期間は3年程で、その頃自分はジャパニーズパンクにハマってた時代でハードコアに触れてないし京都のバンドだから情報も入らず、自分はかつての京都のハードコアシーンを知らないまま過ごしてきたんだと思う。

naiadは最初サブスクに入ってたから、試しに聴いてみたけど、あまりにも素晴らしくて、心が揺さぶられまくって気付けば涙が自然にボロボロ溢れた。心底感動した。音源は廃盤になっていたけど、これは絶対フィジカルで欲しいと思いネットを探しまくってなんとか中古で手に入れられた。それが「Hardcore Emotion」

Hardcore Emotion -naiad-

再生を始めると静かなインストから始まるのだが、その後にラウドなギターと地の底から湧き出るような魂の咆哮というべきVo.を聴いたときに震えた。世の中のハードコアやメタルコアには声量のある力強いヴォーカリストはたくさんいるけど、もうなんか次元が違う。熱量が半端なくて身体の細胞全体まで響き渡るその歌声に感動しまくりだった。

naiadは当時はニュースクールハードコアにカテゴライズされていたようだが、単にニュースクールでは終わらせられない音楽性を内包している。激情ハードコアの要素も多分にあり、ドラマティックな曲展開、メロディックなギターフレーズやクリーンパートも随所に盛り込まれていて、その音像に完璧無比な激熱のSeiyaさんのVoが重なって、心の奥底が揺さぶられ感動を引き起こすエモーショナルなハードコアなのである。

このHardcore Emotionを聴きながら涙したと自分は書いたけど、過去の色んな人のレヴューを見ると同じようにnaiadを聴くと泣けてくるという感想をたくさん目にする。やはりこの音楽は人の感情に訴えるとてもエモーショナルな音楽なんだな、自分の感性間違ってなかったんだって思えた。ハードコアって一般的には泣けるような音楽に思えないかもしれないけど、表現者の内なる感情が激しい熱量と共に放出される、とても人間味溢れる音楽だから意外と自分にとって心底泣ける音楽はハードコアなのかもしれない。

Hardcore Emotionにとても感動して、他の音源も聴きたいなって思って調べまくったけど、勿論サブスクやBandcampにもないし、フィジカルは既に廃盤になっているのでなかなか難しかったが、YouTubeでこの音源に辿り着けた。「Change it from ideal to real」

スプリット音源でnaiadはこのスプリットで3曲提供している。この中でも特に素晴らしいのは3曲目のprecious thingsである。エモーショナルな曲展開が素晴らしい感動的な名曲である。この歌詞の内容はタイトルの通りとても大事な事が綴られている。

Precious Thingsの歌詞(和訳)

このprecious thingsは20年前に書かれた詩であるが、まさにこの現代にこそ改めて思考すべき内容が綴られている。自分はnaiadでこの曲が最も好きである。

2006年に解散してしまったnaiadだが、京都のハードコアバンドといえば彼らの名前を挙げる者は多いほど、伝説的な偉大的なハードコアバンドだったのである。

naiadが解散した後にこのバンドのメンバーは今どんな活動しているのだろうと調べたら.islea.に辿り着いた。naiadのメンバー3人(ギター/ドラム/ベース)から構成される同じくnaiadの流れを汲むスリーピースの京都のハードコアバンドを始めていた。Seiyaさんはギター&Voになっている。

.islea.はサブスクもBandcampもYouTubeでも音源は聴けない。唯一聞く方法はフィジカル音源を手に入れる事だ。その音源は何処で購入できるのだろうと調べてたらiiirecordingsに辿り着いた。このレーベルはどうやらSeiyaさんが運営していることもサイトを見て分かった。そのサードアイから.islea.のまずは最新CDである、「ひかりのはしら」を購入した。

ひかりのはしら .islea.

届いたらCDと共にバッチやステッカーまで同梱されていて嬉しかった。肝心の音像だが、naiadのそれとは異なる。ギターの音はnaiadの様にメタリックで太い音で音圧で圧倒するのではなく、激情バンドの様なざらざらした質感で、アルペジオフレーズもあり、あまりカテゴライズするのは好きじゃないが音だけではエモ、激情寄りになった感じである。Seiyaさんの歌い方も変わり、叫んではいるが、その叫び方もnaiadの地の底から湧き上がる様な感じではなく、また違った表現方法で言葉を放出している。予備知識がない人が聞けばnaiadのVoだった人が歌っていると分からないだろう。

naiadとは異なり歌詞の言葉数も明らかに少ない。歌詞というより、短文のポエトリーといえば良いだろうか。インストの中に言葉が潜んでいる感じである。ひかりのはしらのタイトル通り、ひかりと暖かさを感じる音楽であり、天地を通すひかりのはしらと綴られているその言葉が表す通り、その音の世界観は壮大で大地と空が繋がり、宇宙までその光が真っ直ぐに伸びていく様な美しさがある音楽である。

.islea.は"Another dimension of Hardcore Emotion"とCD帯にも書かれている通りnaiadからの流れは受け継いでいるが、ハードコアエモーションを別の新たな次元で昇華して表現した音楽と言える。naiadの様な音を望んでいる人には肩透かしを喰らうかもしれないが、自分はエモ、激情、アンビエントも好きなのでこの.islea.の音楽も凄くいい音楽だなって素直に思えた。一時期は気に入り過ぎてこの音源ばかり聴いてた。

実はこのひかりのはしらは.islea.2作目の作品で最初の音源はこころのもりであるのだが、この作品はレコードのみのリリースだったので当時プレーヤー持ってなくて、ひかりのはしらを先に購入した。こうなると当然こころのもりが聴きたくなる。このLP1枚を聴きたいが為に自分はレコードプレーヤーを購入して、iiirecordingsから「こころのもり」を購入した。

こころのもり .islea.

久々にレコードを購入したが、やはりレコードは作品という質感をとても感じられるからよいものである。またもやバッチ、ポストカード、シールも同梱されていた。
久々にレコードに針を落として音が流れる高揚感を味わった。

"こころのもり"はひかりのはしらとは対照的な感じで、人間の内側、黒い部分と内に向かっていく内省的で緊張感が支配するヒリヒリした音楽性だが、壮大で美しい音像はひかりのはしらと同じ.islea.でしか出せないものであることは間違いない。ひかりのはしらとは表情は異なるがこれも凄く好きな作品だ。

自分はひとりのアーティストやバンドマンが好きになるとどんどんその人の創造するもの全てが聴きたくなるからiiirecordingsから出ている音源は続けて全て購入した。

.meltoo. / chaotic_balance mix CD
.daydreamnation. / DAYDREAM_STEPPERS

meltooは90~00’のカオティックハードコア・エモバイオレンスを中心に選曲されたmixだが、正直自分はこのジャンルは全く知見がないのだが、そんな知らない自分でも1枚通して楽しめるとても質の高いmix CDだ。

daydreamnationはスピリチュアル・アンビエント/エレクトロニカで幻想的なメロディーと、大自然のようなビートが美しい癒しの音楽だ。自分はアンビエントも大好きなのでこの作品はスッと心に入ってきた。

meltooもdaydreamnationもSeiyaさん自身そのもので、活動によって名義を変えているだけだ。.islea.以外のSeiyaさんの作品を聴くと音楽に多様性を持ち合わせている人だと分かり、それがしっかりと.islea.にも内包反映されているのがしっかりと感じられる。

自分は大好きになった表現者には直に想いを伝えたいという気持ちが湧き上がってしまう人間でサードアイの音源購入の際に入金した事を報告する時に、思い切ってSeiyaさんにnaiadと.islea.にどれほど感銘を受けたかメールで綴ったらなんと、Seiyaさんから真摯にお返事を頂けた。その内容は自分にとって宝物だから全ては書かないけど、Seiyaさんから「20年前に本気で残した音楽が今も誰かに鳴り響き、naiadやisleaをきっかけに新たな何か変化が起きてくれたのは嬉しい」という内容だった。自分の想いが届いて凄く嬉しかった。

今年11/24の新月にislea.の新たに曲間SEが2トラック追加して完成されたひかりのはしらのレコード作品が限定でリリースされた。ジャケットも厚みのあり、レコードもゴールドとシルバーから選べ、歌詞カードも芸術性があり、特典もたくさん付く.islea.ファンは是非とも持っていたいレコードだ。当然自分も購入した。パッケージングが豪華な作品でシリアルナンバーも付いているので所有している特別感も生まれる。

.islea.ひかりのはしらLP


ゴールドの盤面が美しい

ひかりのはしらは先にCDでリリースされたけど、レコードで聴くと繊細だった音が良い意味で粗さが出て音の粒となって立体化して聴こえるのがまた違いを感じられて良いものである。

SeiyaさんはひかりのはしらLPをリリースする際に以下の言葉をインスタで綴っている。

Seiyaさんコメント

ここで前記したprecious thingsの歌詞を読んでみて欲しい。Seiyaさんがnaiad時代に叫んだprecious thingsの言葉がこの時代にも輝き放ち、人類一人一人に大切なこととは何かを自問して欲しいと投げかけている。

この世界は便利になり物は溢れて、それによる恩恵もある。でもそれによって失われたものもたくさんある。大事なことを忘れてしまっている。それを思い出さないと、取り戻さないと取り返しがつかなくなる、やがて人類さえもいなくなってしまうと警笛を鳴らしている。

naiadのprecious thingsのライヴ映像を貼っておきます。17年前の映像です。これを観て歌詞を読んで、あなたが思う大切なことを自問自答してみては如何でしょうか。



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