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クロアチアの驚異的な勝負強さ~2022カタールW杯QF クロアチア1-1(PK4-2)ブラジル

pic. by Getty Images

決勝トーナメント1回戦、PK戦で日本を下したクロアチアが準々決勝でも優勝候補のブラジルをPK戦で退け、ベスト4に進んだ。

優勝候補ブラジルを破ったクロアチアのしたたかさ

試合は、スコアレスのまま、前後半90分経過。
試合が動いたのは、延長前半のアディショナルタイム。
敵陣中央でパスを受けたネイマールは、ロドリゴとのワンツーでペナルティエリアに迫る。
更にパケタとのワンツーでゴール前に侵入し、クロアチアGKリバコビッチと1対1。
最後はGKを右に抜き去ると、スライディングしてきたクロアチアDFソサをあざ笑うが如きシュートを、ゴール天井に突き刺した。

流石ネイマールは、違いを産み出せるスーパーな男だ。
ペレの記録に並ぶ、セレソン歴代1位のゴールをこういう試合で決めるとは、見事な千両役者っぷり!
あまりに遅かった先制点だが、この時点でブラジルの勝ちは、確実だと思われた。

しかし延長後半12分。
クロアチアのペトコビッチが、左からのセンタリングに左足を振りぬく。
少し当たり損ねのシュートは、ブラジルDFマルキーニョスの足に当たり軌道を変え、ゴール左隅に吸い込まれていった。

120分の死闘を経て、スコアは1-1。
もうこうなると、すっかりクロアチアのペースである。

PK戦に突入。
ブラジルは、1人目のキッカーを務めた若きロドリゴと、4人目のキッカーを務めたマルキーニョスが失敗。
対するクロアチアは、4人全員が成功。
しかも、1人目も2人目もド真ん中に蹴るだなんて、ちょっとアタマがおかしい。というか、強心臓にも程がある。
クロアチアは、前回2018ロシア大会決勝トーナメント1回戦のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦、そして今大会の日本戦と合わせ、W杯のPK戦4試合で全勝である。

この結果、ブラジルは2大会連続でベスト8で姿を消し、クロアチアは2大会連続でベスト4に駒を進めた。

クロアチアは、日本戦のコンディションの悪さが嘘のように、この日はずっとブラジルを苦しめてきた。
ずっと一本調子で動き続けているのではないが、ここぞという時にギアを上げ、狭い局面でもギリギリのタイミングとコースでパスを繋いで切り抜けたりして、互角以上に中盤を制していた。
旧ユーゴ各国は、かつて「東欧のブラジル」と称されていた時代もあった。
その名のとおり、クロアチアの確かな技術の高さに、しばし唸ってしまった。
本当にどちらが勝ってもおかしくない、いいゲームだった。

彼らの戦いぶりを見たら、徹底的に「弱者のサッカー」を実践し何とか食らいついていた日本のレベルでは、ここ(ベスト8)で戦うのはやっぱりまだ早かったな、と思ってしまう。
ちなみに、ツイッター上で「そりゃ日本」がトレンド入りしたとのこと。
つまり、「そりゃ日本勝てないよなぁ」とか「そりゃ日本負けるわ」というつぶやきの「最大公約数」、である(笑)
みんな、感じていることは同じかも。

次の相手はアルゼンチン

同日、4時間後に行われた準々決勝のアルゼンチン×オランダ戦は、やはりPK戦にもつれ込む死闘の末、アルゼンチンが勝ちぬけた。

前半35分、メッシの針の穴を通すような絶妙なスルーパスからモリーナが決めて先制。メッシは更に後半28分にPKを決め、アルゼンチンが2点のリード。
しかし後半33分、オランダのエグホルストがヘディングで1点を返し、2-1。更に後半アディショナルタイム(11分台!)のペナルティエリアすぐ外のフリーキック。コープマイネルスがグラウンダーの縦パスをつけ、壁の中に居たエグホルストが反転しゴール右にシュート、これが決まり、オランダは土壇場で同点に追いつく。
2点のビハインドを追いつく粘りを見せたオランダも素晴らしく、緊迫した好ゲームだったが、審判が試合をコントロールできず、結果的には18枚?ものイエローカードが飛び交って、後味の悪い試合となってしまった。
PK戦では、オランダのファンダイク主将やベルフハイスをストップしたアルゼンチンGKマルティネスの殊勲もあり、4-3でアルゼンチンが勝ち抜けた。

ともあれ、絶好調のメッシ。
パサーとして若手を活かしているし、フィニッシャーとしても切り込んで打つよりボックスギリギリからDFの股を狙うシュートが目立ち、円熟の極みに達しようとしている。
メッシから目が離せないし、バランスのいいアルゼンチンは、楽しみなチームだ。
唯一南米でベスト4に残ったアルゼンチンが、老獪なクロアチアとどんな準決勝を戦うのか、準決勝も面白い試合になるだろう。

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