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マティア・バザール:Matia Bazar "Red Corner" "The Best of"

これまでイタリアの素晴らしいミュージシャンも何人か記事にしたが、ジャズにしろ歌謡曲にしろ、オリエント・地中海の雰囲気はそれほど強く感じさせず、そしてアメリカの最近のヒット曲とは一味も二味も違う大人でオシャレなポップな感じが楽しいと感じている。

イタリア語は不明なので歌詞を聞き取れないが、発音が柔らかく、イントネーションが滑らかなせいだろうか、全体的に丸くて柔らかい感じがする。

1989年にマティア・バザールの "Red Corner"がリリースされたときに、たまたま京都か神戸かの輸入レコード店で見かけて、ジャケットのデザイン、とくに裏ジャケの写真に魅了されて買ってきたのだった。

Matia Bazar "Red Corner" ジャケット
Matia Bazar "Red Corner" 裏ジャケット
オシャレなメンバーの写真に魅了されて手にとった

Spotify やそのほかで、この Red Corner を見つけられず、気軽に視聴できないようだが、大好きな一曲目の "Stringimi" はライブ動画が YouTube に上がっていた。オフィシャルではないし、TV番組をそのままあげたもののようなので画質もイマイチだが、大目に見てほしい。

なんと、AmazonでCD版が中古で 8000円以上で出ている。

バンドの音作りもギターとリズムセクションの軽快なバックに乗って、キーボードを効果的に使ったアンサンブルもポップでいい。その上に明るくのびやかに乗るAntonella Ruggiero (アントネラ・ルッジェーロ) のボーカルもマッチしている。

1975年にグループが結成されたというから今年で47年になるわけだ。今回、この記事を書くにあたって調べて初めて知ったのだが、オリジナルのメンバーは、ピエロ・カッサーノ (key), アルド・ステリータ (b), カルロ・マラーリ(g, vo), ジャンカルロ・ガルジ(dr) 、そして紅一点のアントネラ (vo).,このうち マラーリ は1989年に脱退、アントネラは "Red Corner" を最後に1994年に脱退して、それぞれ独立、ベースの ステリータ は1997年にがんで死去、ドラムスの ガルジ は2015年に死去、カッサーノは2017年に脱退、ということでメンバーは全員入れ替わっている。

2015年の 結成40周年記念コンサートを聴くと、バンドの音や曲作りも大きく変わっていることもなく、メンバーが入れ替わっていることがわからないくらいのように思うが、どうだろう。私が1980年後半から聴き始めたからそう思うだけかもしれない。

このときのボーカルはSilvia Mezzanotte (シルヴィア・メザノッテ)だと思うが、アントネラと声質も歌い方もよく似ていると思う。

2012年のアルバムもいい。


さて、マティア・バザールを引っ張り出してきたのは、この最近になってベスト盤がリリースされて、毎週 Release Radar に引っかかって来るので、この1か月ほど、わりあい頻繁に懐かしく聴いていたからだ。

2. Solo Tu, 4. Souvenir 5. Vacanza Romane (ローマの休日 )、6. Stasera che sera (夜をとどめて) 7. Cavallo Bianco 10. Ti Sento (失われた島) など、イタリアのポップスにあまり興味のない人でも、「あれ?これ、どっかで聞いたことがあるぞ」ということがあるのではないか。その昔、日本でもCMで使われたこともあったり、少しヒットした曲もあるらしい。

3. Elettroschoc も軽快で曲の展開も単純ながら面白く、 11,Messaggio d'amore や、13. C'è tutto un mondo intorno も気に入っている。

2017年からボーカルが Luna Dragonieri に、2021年からギター、ベース、ドラムスを入れ替え、新生マティア・バザールとなったらしい。実は、今、調べているうちに知った。我ながらうっかりしていている。たぶん、このベスト盤は以前のヒット曲を、現在のマティア・バザールが演奏したものだと思う。デジタルで聴いていると、昔のLPやCDのように、解説もコメントもなくパーソネルも出ないので、そこが難点だ。少し粘って調べてみたがすぐにはわからなかった。違うかもしれない。

Lunaの声は、アントネラやシルビアの声よりも音域が高く、張りがあってより力強い声で、バックの演奏とともに全体的にシンプルでタイトな音作りになっているように思う。

そういえば、バンドのロゴも新しくなっている。アルバムのジャケ写も、全体が黒のベタを基調としていて、赤いドレスと口紅に「THE BEST OF」がくっきりとコントラストのあるデザインで、バンドの音の雰囲気の変化がよく表れていると思う。

2022年のプロモーションビデオとベスト盤一曲目の Non Finisce Cosi (この曲はたぶん新曲?情報不足。。)が、5月に YouTube に上がっていた。

メンバーが完全に入れ替わった新生バンドの最初のアルバムがベスト盤、というのは考えてみれば面白い。過去を大切にしつつ別れを告げるという強い意志が現れているのかもしれない。ひょっとしたら来年に新しいアルバムが出るかもしれない。そして、これから、全然違ったバンドに変わっていくのだろうか。

これからの活動が楽しみだ。


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