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番外編(日本の歌姫たち):アニャンゴ Anyango "Nyatiti Diva"

世界の歌姫たち」という我ながらベタな名前だなと思うマガジンを作って、愛している女性シンガーばかり、愛している思いのたけを週1、火曜日に投稿している。15回目の今日は、2021年年末の番外編として日本の女性シンガーについて書こうと思う。

しかし、なぜ日本人の私が日本語で書いているこのシリーズで外国の女性シンガーばかり恋焦がれ、日本の女性ミュージシャンが番外編になってしまうのだろうか。

自分でもよくわからないが、手が絶対に届かない憧れみたいなもの、理解を超えて崇拝する対象としては、言葉がわからないくらいのほうがよいのかもしれない。

「第72回NHK紅白歌合戦」の出場メンバーを見ても、「第63回輝く!日本レコード大賞」の各賞発表を見ても、これまで取り上げて来た世界の歌姫たちと比較すると、少々もの足りない。まぁ、それはそうであろう。他国の歌姫たちはそれぞれ各国代表ともいうべき人達ばかりだ。会いに行けるアイドルというコンセプト、昔懐かしリメイクのコンセプト、成果主義・能力主義・功利主義まるだしのコンセプトや、情動を利用した商業コンセプトでは、理解可能な消費の対象にしかならない。だから比較することに無理がある。

仕方がないので、歌姫というにはかなり違和感があっても、今年によく聴いている日本の女性ミュージシャンを1人取り上げよう。だから今回は番外編となる。

今年の発見は Anyango (アニャンゴ) 、東アフリカはケニアのルオ族の伝統楽器 "ニャティティ"の世界初の女性演奏家である。

今年、2021年に新しいアルバム「Kanki」をリリースしてたのが初めて目にとまったのだった。ルオ語と思しき歌詞の響きもいいが、日本語の歌詞もよくリズムとメロディに馴染んでいい感じだ。

詳しいことは調べ切れていないのだが、竪琴のルーツのように見受けられる楽器で、東アフリカには他にも似た形の楽器のバリエーションがあると思う(*1)。

ニャティティは横に倒して、すなわち弦が地面に概略平行で、かつ、全ての弦を含む面が地面に概略垂直になるように構えて演奏するようだ。たとえば、2014年のライブの動画を見るといい。

明るい笑顔がいっぱいの表情もいい感じだ。衣装もおしゃれで美しい。ポロンポロンと素朴な音色と彼女のとても明るく伸びのある力強い歌声で、一聴しただけで魅力に取りつかれるにちがいない。

惚れた。

同年の「キリマンジャロ」というアルバムもよい。少し幻想的なところもあるアンサンブルも美しいし、聞きやすい。

今年の2月に、Pan African でも記事が組まれた。

これによれば、本名は向山恵理子、2003年か2004年に東京でケニアの音楽に魅せられ、バンドのメンバーとともに現地を訪ねる。アニャンゴはルオの言葉で、朝に生まれた女の子、という意味らしい。首都のナイロビで習うだけでは飽き足らず、ヴィクトリア湖そばのルオ族のコミュニティに住み込んで、ニャティティ演奏の第一人者のもとで修業し、2005年についに初の女性ニャティティ演奏家として認められたとのことだ。2006年には日本で最初のライブ演奏をしたということで、2009年リリースの "Nyatiti Diva" からこれまで 7枚のオリジナルのアルバムが出ている。

Pan African Music でも今年9月に記事があがっていた。

迂闊にも、これまでまったく知らなかった。これからは、自分のアンテナの感度をもっと高めておかなければならないと感じた。


それにしても、今年7月から毎週木曜日に投稿している「Heavy Rotation」と今年9月から毎週金曜日に投稿している「世界の歌姫たち」シリーズは、書いてみてよかった。

少しあやふやだったエピソードや略歴、あるいはディスコグラフィを調べ直したり、まつわるミュージシャンを見直したり、ながらく忘れていて名前を思い出せなかったミュージシャンを再発見したり、今回のアニャンゴのように新しい世界との出会いのきっかけになったりなど、書いている内容そのものの質はちょっとアレかもしれないが、私自身は、とても楽しく書いている。

世界の歌姫シリーズはフランスのフランソワーズ・アルディから始まって世界を西から東に一周まわってきた。2回目をアメリカにしたのは例外だったが許してほしい。そのとき、どうしてもカーリー・サイモンについて書きたかったのだ。

今、またヨーロッパから中東に来たところだ。来年の2月か3月になるだろう、世界2周目を終えてフランスに戻った後に終わる予定にしている。最後にまた、番外編(日本の歌姫たち)の2回目をして締めくくるつもりだ。


■ 注記
(*1) たとえば、オマール・ソーサの "An Eastern African Journey" で、似た外観の竪琴を見ることができる。共鳴胴の形と構造が異なるように見受けられるし、縦に構えて演奏するスタイルが異なるようだ。

インタビューの動画を見ると、Olith Rutegoという名の演奏家で、ケニアの「オコド」という楽器だということだ。

オコドの構造は、Facebookに楽器を作製しているビデオが上がっていたので知ることができる。
Olith Ratego crafting his instrument named after his …
https://www.facebook.com/sven.kacirek/videos/477658782789238/


■ 関連 マガジン

1. 好きでよく聴いているミュージシャンを紹介。毎週木曜日に更新中。ギタリスト多め、たまに懐メロ。

2. 愛している女性シンガーに特化したのが、我ながらベタな名前だと思うが「世界の歌姫たち」。こちらはさらに愛している思いのたけのみの記事ばかり、週一、毎週火曜日に新しい記事を書いている。懐メロ多め。

3. いずれも、耳もあまりよくないし、知識も少ない、語彙力もない、なので、基本YouTubeやSpotifyのリンク貼り付けと「好きだー」「愛している」というだけの記事ばかりになっているし、そうなっていく。

私本人が楽しく書いていることだけは間違いない、それだけは伝わるだろう。

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