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【学び65冊目】戦略策定概論 企業戦略立案の理論と実際

〜戦略ってなにか知っていますか?〜

戦略を唄う本はとても多く、枝葉の具体論の部分が書かれていることが殆どです。そのため大きいコンセプトの部分で、戦略とは何なのかを理解しておらず、具体的な部分から作りこもうとしてしまう戦略立案担当者が多いです。

定義の部分から明確にし、大きい所から小さい所へと移っていくのが理想です。

戦略の定義
→「競合優位性を活用して、定められた目的を継続的に達成し得る整合的な施策軍のまとまり」

英語の戦略にあたる「Strategy」という言葉は、軍事用語でしたが、今ではビジネスのコンテクストで使われるようになっています。上の定義を分解すると、戦略が戦略と呼べるための必要要件、十分要件が隠されています。
逆に言えば、今から挙げる要件を含んでいないものは、戦略とは呼べず、仮にそれを戦略と呼ぶとしても、「良い戦略」とは言えません。

①目的
「定められた目的を〜」の部分の目的です。戦略の上には、定量的な定量的な目的が存在します。それがまさに、予算です。(更にその上に理念、ミッションといったものがあります。)戦略はその定量化された目標を達成するための施策軍なのです。

②施策

戦略は実行する組織や人員がいなければ、それは戦略とはいえません。KGI,KPIというを経て、実行段階の「具体的な行動」と結びついているものでなければ、ただの希望、期待に過ぎないのです。

③競合

繰り返しになりますが、戦略とはもともとは、軍事用語です。戦略の概念として、敵の存在が前提としてあります。
また、殆ど戦争をしない「自衛隊」ですら、仮想敵国の想定があって初めて訓練をすることができるのです。
市場を一つの企業が独占しており、ほぼ寡占状態であったとしても、潜在的に参入してくるであろう企業、直接的には事業がかぶらない企業等も、「競合」として意識するべきなのです。今の地位に甘んじていると、あっという間に今売れている製品や商品は代替品に、取って代わられてしまいます。

経営にはネガティブ思考が必要だという本質がありますが、具体的な次元で見ると、この「競合の意識」というものも、その一部です。マーケットインが騒がれているため、顧客の視点には徐々に敏感になってきた日系企業ですが、
まだまだ、「競合」の観点が足りないまま、戦略に盛り込んでしまい、「ノー天気なポジティブ思考」になってしまいがちです。

ここまで挙げた①〜③が、良い戦略であるための必要条件です。ただし、必要条件であってもこれだけでは、十分条件ではありません。これらに加え、さらに三つの十分条件が、先の定義には隠されています。

④整合性

戦略は具体的な行動の部分とリンクしている施策軍でなければいけないことは、先に上げましたが、最終的には一貫性を保ち、狙いに向かって「統合」されていくものでなければいけません。

施策の集まりであって、それがそれぞれ独立した「島」として存在するのではなく、あくまで一つの「大陸」があり、そこの中で、施策という区画があるだけです。

戦略の前提として、課題をまず明確する必要があるのは当然です。課題を明確化するためには、事象に対して、なぜを徹底的に繰り返す「分析」行為が必要です。いわゆる、どんどん細分化させていく作業がこれです。そして、細かく細分化したものを今度を「統合」させていくことが必要です。一度分析で、散らかしたものをくっつけていくために必要なのは、「フレームワーク」です。

戦略は、枝葉の実行の部分では様々な手法をとりますが、狙いの部分で必ず統合されることが必要なのです。

⑤優位性
競合にはない自社の強みが発揮されている必要があります。
一倉定さんもいうように、会社は苦手なことで勝負してはいけません。
構造的に、競合との差別化ができるような施策群であるいことが、良い戦略であるためには必要です。

⑥持続性

戦略目的を短期的に目的を達成すればよいという訳ではありません。会社はプロジェクトの連続でなりたっているわけではないのです。長期的な軸で、戦略目的を達成し続けることができるものであるかどうか、常にチェックする必要があります。戦略が良いうちは、チェックをしなくても、実行だけできていれば上手く行きます。ですが戦略が上手く行っているからと言って、チェックすることをしなければ、戦略の有効性が無くなったとたんにどうすればわからなくなってしまいます。

持続性を持たせるには、常に弁証法を使い、有効性を検証し続けることが重要です。

戦略は細々とした枝葉の部分から作るのではなく、大きいコンセプトの所から、徐々に要件ごとに分解して、徐々に細かい所に決めていくものです。コンセプトの部分から理解するのを助けてくれる1冊です。


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