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【学び㊲冊目】バランス・スコアカード経営実践マニュアル

【バランス・スコアカード(BSC)とは】

1990年代初頭に米国ハーバード・ビジネススクールのカプラン教授と 経営コンサルタントのノートンの氏により開発された、複雑な経営を①財務、②顧客③業務プロセス④学習・成長の4つの視点から見ることにで、経営状態を管理し、戦略を策定、実行していくために用いられるフレームワークです。

画期的な開発であったので、多くの企業で(日系も含め)導入が相次ぎました。その一方で、実践段階の情報が乏しく、BSCがこれといった効果を発揮せずに終わってしまう企業も少なくありませんでした。

BSCプロジェクトを成功に導くためには、正しい知識と、戦略の立て方が必要です。

この本では、BSCがプロジェクトのキックオフから運用までに携わり、成功に導いてきた経験者が、プロジェクトのフローをまとめ、段階ごとに解説することにより、ボトルネックになりうる部分を洗い出していきます。

【カスケードの難しさ】 

運用前の、BSCの構築段階の部分の話です。まず、カスケードの前に、戦略マップの作成(4つの視点それぞれの戦略目的を作り、因果関係ごとにつないでいく)、そしてスコアカード(戦略マップ達成のためのKPIなどを取りまとめたもの。)への落とし込みが必要です。そして、組織に浸透させていく(SBU⇒機能部門⇒のがカスケードです。

BSC導入の失敗事例の多くが、実践段階での失敗と言われていますが、私は、この浸透させていく段階でのボトルネックを解消しないまま、実践にもっていっていることで、従業員間でのシナジーが生まれず、結果としての失敗がほとんどなのではないかと考えます。

どんなに素晴らしい目標、KGIがあっても、結局戦略というものは従業員の実行なくしては、何もなしとげることはできません。

カスケードが失敗することの理由として、スポンサーシップが取れていない、もしくは弱いこと、推進チームを立ち上げていない、もしくは弱いことが考えられます。

新しいプロジェクトを社内で公表する時、誰が先頭に立つかによって、社内への浸透度は大きくことなります。(経営者が好ましいです)そして、その影響を下へ(マネジメントから個人へ)、横へ(他事業部、部門、部署間の浸透拡大)広げていく役割を担っているのが推進チームです。

BSCプロジェクトに限った話ではないですが、プロジェクトの先導者に誰を指名するかにより、勝負はほぼ決まってくるのです。

【ITとの組み合わせが必要なのは当たり前。じゃあ何が必要なの?】

戦略マップ実行のためのKPIの設定、成果の吸い上げ、KPI再設定を繰り返し、PDCAを円滑にまわしていくためには、コミュニケーションの活性化している状態であることが前提条件です。先に述べた、推進の原動力が誰になるか、という問題はもちろん重要ですが、人と人とのコミュニケーションだけでは、限界があります。

この本は、15年も近く前に書かれた本なのでIT化の必要性が強調されています。ですが、今となっては、IT化など当たり前で、もはや企業のメインの関心事ではなくなってきています。今、企業の関心事は、IT化を進めたことによる副作用をどう軽減していくか、いわゆる、「内部統制」とやらではないでしょうか。

BSCの戦略マップの部分などは、経営の重要な情報が含まれており、それこそ外に漏れたら大変なことになります。2020年代に、BSCプロジェクトを進める場合は、一緒に内部統制を高めていく方法も考えていかなければなりません。


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