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vol.106「誰にでも特技はある:『就活支援活動』つづき。役目は『視点に気づかせる』こと。」

先般から、「誰にでも特技・とりえはあるもの。自分自身に置き換えてみると、『人の話を 反応しながら聴いて 内容を整理する能力』がそれに当たる」という切り口のお話を何度かしてきました。
①メンバーとの1on1面談、②いわゆるクレーム対応 に続く第三の場面が、採用活動(正確には就活支援活動)です。

自社のリクルーターとして、または出身大学に呼ばれて、就活のお手伝いを何年かにわたり注力してやったことがあります。結果、他の企業を選んだ学生さんが「無事に入社式を経て配属されました」と1年後に連絡をくれたり、「今まで受験した中でダントツの熱さと親切さでした」と御縁がなく不合格になった学生さんから御礼をもらったりしていました。
「利害関係が消えて気を遣う必要のなくなった企業の人」にポジティブなフィードバックがあるのは、他社(他者)との差異化、一定レベルのサービスを提供できていたからだろう、と評価(棚卸し)しています。


◆企業研究を、一緒になって考える。

前回お話したように、学生さんがどの企業を選ぶかはコントロールできない要素だから、企業が採用活動でできることは「好感度をひたすら上げること」です。

その学生さんが他の企業(「採用」の観点からは競合)を受けると教えてくれたら、対策を一緒に考えます。
ある業界のA社が本命候補だとしたら、同業他社のB社やC社との違いはなにか。強みはどうで、魅力は何か。つまり業界分析、企業分析をやる。

ケース①本命:赤レンガビール 仮想他社:太陽ビール ※架空の企業です

・赤レンガビール、太陽ビール それぞれの社史は把握できているか
・直近のシェアでは太陽ボールが伸びている。赤レンガビールは業界2位が続いている。赤レンガビール本命でいいのか。それはなぜか
・「赤レンガビールのCMの、ここは変えたほうがいい」部分を挙げられるか
・「太陽ビール が赤レンガビールより優れている点」は何があるか。説明できるか
・赤レンガビールの、人事部門以外で、で働いている人と話す機会は作れそうか
・そもそもなぜビール業界なのか。ビール(お酒)が好きなのか。何に期待しているのか

◆「模擬面接官」の役を買って出る。

採用活動(正確には就活支援活動)をしていた当時、今よりスマホや各種アプリは少なかったけれど、学生さんは就活生どうしで活発に情報交換をしていました。「御社は『リクルーターがめちゃ親身な会社』として情報共有されています」と教えてくれた学生さんがいて、大笑いしたことがあります。

就活生どうし連携する中で、ハードルが高いのが「面接の練習」です。難しいのは面接官役。企業で働いたり、採用活動/リクルーター活動に関わったことがあるのとないのとでは、まったくリアルさが変わるからです。したがって、OBとして母校に呼ばれたときなど、「学生さんの志望する企業の仮想面接官役」をすると、非常に喜ばれます。

ケース② 本命:やまと航空 仮想他社:北極航空 ※架空の企業です

「なぜ航空業界なのですか?(危険だとは考えないか等)」
「他にどんな業界の志望度が高いですか?」
「企業を絞るときに『共通のものさし』は何か教えてください」
「北極航空は定時就航率●年連続1位です。なぜ当社なのですか」
「入社して、希望される職種に選ばれるとはかぎらない。どうしますか?」
「北極航空の面接と仮定して、当社と比べての志望理由、同社の魅力を挙げてみてください」
「当社を利用されたことはありますか?改善提案をしてみてください」
 

◆まとめ。

「一緒に企業研究」も、「仮想面接官」も、目的は「視点に気づかせること」です。いじわる質問をする、圧迫面接をする、ではなく、「こんなことを聞かれることもあるのか~」と、感触をつかんでもらう。
学生さんが就活をはじめた時点での"カン違い1位"は、「面接では『御社が第一志望です』と言わねばならない、良いことしか言ってはいけないという誤解」です。時間の限られたなかでは、まずそこを疑似体験してもらうようにしていました。

ポイントは、どちらのケースでも「経験と想像力を総動員する」こと。社会人歴数年の人が持っている、「働く」とはどういうことで、企業側はこういう視点で人を見てるよ、みたいな視点は、学生さんには持てない。人間はまったく知らないことを想像できないからです。
本命企業のことを調べて、経験と想像力をフル活用して、演じきる。学生さんにとっては大きな価値が生じる。結果的に、ものすごく感謝されます。


採用活動は、実質上、就職支援活動である。OBOGとして頼られたら「いかに相手の役に立つか」を考える。先輩風を吹かせた説教や精神論は1秒も要りません。

自社にとっては好感度が上がる。学生さんは就活というものに対する視点、枠組みのレベルが上がる。受験した企業からすれば、アンマッチ(限られた面接の時間で掘り起こしそこねる)が減る。
誰も損せず、傷つけず、三方佳しです。

就活支援については、守秘義務に抵触しない範囲で、抽象化して、またシェアしてみたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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