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vol.097「顧客交渉のキモ:『最重要人物を見つけて攻略する。攻略法は当の相手に教えてもらう』」

誰にでも、特技、取り柄はあるもの。
「『立場』として仕事をする。『個人』を切り離す。結果、精神的に健全な状態をつくる。たとえば顧客との厳しい交渉、俗にいうクレーム対応などの場面にも適用している」ことは、そのひとつです。

以前の投稿で、トラブルの起きたお客様との交渉、いわゆるクレーム対応のポイントについてシェアしました。
対等に振る舞う、逃げない、言いにくいことを言いきる、断る・持ち帰らない、最重要人物を倒すことに集中する―。

このうち「最重要人物を倒す、攻略法」について少し補足してみます。一言でいうと「隠れたキーパーソンを見つけて、正解を教えてもらう」です。

◆「隠れたキーパーソン」を探す。

法人同士の交渉では、先方も何人か交渉の場に出てくることが多いです。
真ん中に座っている役職の一番偉い方がそのまま最重要人物ということもあるし、出席者のなかに真のキーパーソンが隠れていることもあります。
以下では、「隠れている場合の探しかた」についてお話します。

①うなずいている人

こちらからの説明を聞きながら、時々うなずいている人です。
説明しながら先方の出席者を観察していると(非常に重要!)、当方の言い分の主張=相手にとって必ずしも受け入れがたい内容であっても、うなずいていることがあります。利害関係(採用されるか)は別にして、「言っていることは一理あるな」と思っている場合がほとんどです。

また、交渉相手の主張を聞いてうなずいているということは、この状況を客観的に見ている。内容をかなり正確に理解されていると思って間違いありません。
なので、この後も続く交渉の中で「この人に納得してもらえれば、社内を説得していただけるかもしれない」とか、「場合によっては個別に連絡を取ってアドバイスをもらってみよう」とか、内心で7当たりをつけることができます。

②笑っている人【重要】

トラブルの報告書であったり、交渉条件を提示して説明したりしていると、深刻な場面のはずなのに、話を聞きながら時々にやっと笑ったりしている人があらわれます。
同じく陰のキーパーソン、個別に助言をお願いしたら情報をもらえる人であることが多い。「うなずいている」と同じく「笑っている」とことは、この状況を客観的に観察している。いわば"見物している"に近い状態です。
交渉は、スポーツの試合、格闘技の試合と同じです。試合の途中経過を知りたかったらスコア係に聞く。試合の流れを変えたいならレフェリーを味方につけるのが一番です。企業同士の交渉で、裁判になった場合は別にして、レフェリーは存在しないので、その代わりになるのが「相手側の中にいる、この状況を客観的に眺めている人」です。

もう一つ。その事案の直接担当者の方は真剣で、お怒りの表情を浮かべているとしても、相手の中に笑っている人がいるということは、今回のトラブルが修復不可能なものではない、と想像できます。

うなずいている人・笑っている人を見つけたら、その人を攻略しにかかる。
こちらの主張が一定程度、合理的だと、内心で受け入れられている。もしくは先方の受け止めが最大級の深刻さではなくて、解決の糸口が十分にあることを示してもいます。

③最後に質問してくる人【最重要】

説明を終えて、質疑タイムにうつり、終わろうかというとき、最後に手を挙げて質問してくる人がいます。陰のキーパーソンである確率が(非常に)高いです。
共通点は、既におわかりかと思います。ここまでの交渉をずっと黙って聞いていた人、つまり「客観的に観察している人」です。また質問をするのは、役割がなく出席しているだけの人ではなくて、この件に関心がある。または「最終的な判断や、交渉の決着を いわば仰せつかっている人」である可能性が高いです。

◆ダンジョン突破のコツを当の相手に聞く。

④「この後どうなるのか」確認する。

ロールプレイングゲームで、いちばん手強いイベントのひとつは「強いモンスターの出没する 長い洞窟(ダンジョン)を突破すること」です。ダンジョンを攻略するのに絶対に必要なのが、「地図」です。
攻略本を買ってくるか、ネットの攻略サイトを見るか、洞窟の中を行ったり来たり全滅したりしながら自分で作るか。とにかく地図を手に入れます。

企業どうしの交渉もまったく同じです。会議の最後か、もしくは退出してエレベーターホールに向かうまでのタイミングで、「御社内では、このあと どのようなエスカレーションをされるのですか?」と、淡々とずばり聞きます。
「誰それ本部長の判断になります」「何々が確認したら収まると思うのですが」「現時点では目処が立たない、交渉が続くと思うよ」、そういう見通しを、当の相手に教えてもらうわけです。
トラブル発生でお叱りをいただいている相手に聞くのは、一見変に思えるかもしれませんが、ロールプレイングゲームの洞窟や魔王のお城と同じで、クリアするルートを見つけるには「その洞窟やお城を作った人」(RPGなら魔王側。企業どうしなら交渉の相手)に聞くのが一番確実です。

⑤「譲れないポイント」をはっきり言う。

逆に先方から、こちらのエスカレーションやこの後の判断がどう動くのかを聞かれることがあります。前回も触れたように「言いにくいことを言いきる」「持ち帰れないものは持ち帰らない」を徹底することが大切です。
「何々の条件だけは、申し訳ないのですが弊社としては譲歩ができません。あくまで契約書を正として主張することになります(この点は決着がつくまで、半永久的に争うことになります)」のように、曖昧にせずはっきり言いきる

重要なことは、先方もどうにかして解決したいと必ず思ってるので、変数(パラメーター)のうち固定できるものは固定することです。「交渉相手(当方)が何は譲る気がないか」がわかれば、社内で検討するときに、条件を絞りやすくなります。

事例 ※イメージです
先方の最重要役職者の方から「これ、弊社が訴えるって言ったらどうなるの」と聞かれたら、「御社が原告で 弊社が被告になります」と答える。「御社が訴訟を起こす自由 を弊社が止める権利はありません」「言い換えると『訴えるぞ』と言われたからといって、『とっておきの切り札』を隠し持ってたりしません。態度を変えることは残念ながらないです」と補足説明します。
相手の方は、血相を変えて激怒するなんてことはなくて、「だよね」とうなずくか笑うかする。ここでも「先方にとっては有利でない主張に対してうなずく人、笑う人」の法則が働いて「この方を相手に交渉を継続すればいいのだな」と確認することができます。

以上、いくつかある特技のうちの、いわゆるクレーム対応、顧客との交渉におけるコツ。「最重要人物、もしくは隠れたキーパーソンを見つけ出して攻略するにはどうしたらいいか」というお話でした。
ご参考になりましたら嬉しく思います。



今回もiPhoneの音声入力を使って書いてみました。少しパソコンで誤字脱字を整えて投稿しています。(なので口語体的、より説明的な文面になっていると思います)
iPhoneは、すこしゆっくり、はっきり喋ると、かなり正確にテキスト化してくれます。原稿本体部分で3,000文字弱ですが、いちからタイピングするより、投稿までの時間が短縮できます。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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