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vol.070「誰にでも特技はある:がら空きのポジションを見つける。無ければつくる。『好きで 得意で 求められる』役割」


引き続き「『立場』として仕事をする。『個人』を切り離す。結果、精神的に健全でいられる」「例えば顧客との厳しい交渉、俗にいうクレーム対応などの場面でも役に立っている」お話をします。

顧客との交渉について、少し詳しく整理した、後編です。
当然ながら職務上の守秘義務があるため、抽象化して、または多少の脚色を加えて書いています。


5.持ち帰らない。

「無意味に持ち帰らない」ということも大切なアクションです。
大企業の中間管理職は優秀な人が多い。良い大学を出て良い会社に入り、管理職になっているくらいですから、(いわゆる)勝ち組か負け組かでいえば勝ち組。それまでの人生で、勝った回数(成功体験)の方が多い人たちです。言い換えると、大人になってからまともに怒られた経験が少ない人たちです。
したがって、お客様のクレーム対応は比較的苦手な人が多い。「お客様は神様」とまでは言わないが、「口答えしてはいけないものと思ってる。怒られ慣れていない。ましてや、部下の見ている前で怒鳴たくない。
なので、そもそもお客様対応に行きたがらないか、行って、宿題をもらったらそのまま持ち帰ってしまう、ということが多いように思います。

だけど前述したように、持ち帰っても解決できない宿題を受け取ってしまうと、時間だけが経って、結局交渉相手にも迷惑がかかります。こちらも落差で2倍の圧力で怒られることになる。天空から俯瞰すると誰もハッピーになっていません。「意味なく持ち帰らない」ということは、そのぐらい重要なことです。

6.「自分のせいだ」と思わない。

前編の「対等に振る舞う」とも関わる観点ですが、「自分の責任だと思わずに対応する」ことです。
こう書くとなんだか無責任に思える、誤解を招きそうな表現ですが、重要なのは事態を終結すること。交渉役を担い、こちら側の組織内を整理して、双方が合意できる決着に導くということです。
「立場」と「個人」を切り離すという話を繰り返ししていますが、安定したメンタルで交渉に集中したほうがいいに決まっている。「自分の責任ではない過去に起こったことであって、自分はそれを解決する役割をたまたま担っているのだ」と開き直るということです。悪びれない、卑屈にならない、というのは交渉の大原則です。

大企業で仕事をしていて、交渉の相手も同じように大企業の場合、トラブルの原因が単発で短期間だとは限りません。提供している商品やサービスの品質、プログラムでいえばバグのようなこと。または契約条件で当初、甲乙で合意しているけれども、いざ例外的なケースが起こったときに条件が定められていなかったような場合。いずれも、「着任前どころか、ずっと以前に原因が埋もれていた。それが今たまたま表に出た」ということだって起こります。その時に悲惨な心持ちで、「これを全部解決しなければならない」、自分のせいだと思っても仕方がないのです。
繰り返しになりますが、仕事としては自分が責任を持ってゴールまで運び切る立場で仕事をします。特に、たとえ事後報告であっても、部下に対して逆上したりはNG。

でも精神的には、目の前で起こっているその厄介ごとと自我を切り離して、健全な精神で取りかかる。「これは別に俺のせいじゃない。1ミリも悪くない。むしろ解決したら褒められるやつ。全員からお礼言われるやつだ」ぐらいに考えて、ゲームのつもりでやる。そういった感覚のことです。

7.がら空きのポジションを見つけて獲りに行く。無ければつくる。

以上のような、いわゆるクレーム対応、または顧客との交渉について、実践に即したリアルな研修、あるいはテキストは、真面目で有能な大企業では、あまり整理されていないように思います(※業態による。たとえば一般消費者向けのコールセンター等では細密なマニュアルがあると想像)。書き物として整理されたものがないから、交渉や対応が上手な人は、最初から上手。要するに個人のセンスでやっている。
そして、触れたように、特に管理職以上になると、「クレーム対応が苦手」「できれば避けたい」人が大半です。

この構造を踏まえて、クレーム対応(顧客との難解な交渉)を回避しないようにすると、組織の中で自分の希少価値が非常に高くなる。ドラクエでいうレアキャラ(めったに仲間にならないモンスター)になれす、と、あるとき気がつきました。
それ以降、チームの中で、普段はメンバーに任せておく=言葉を選ばずいうと省エネ運転で自分の仕事に集中しておく。トラブル、お客様のお叱りや折衝が発生したら、同行して連れて行ってもらいます。他のチームの案件であっても、困っていそうだったら、申し出て一緒に交渉しに行く(←めちゃめちゃ感謝されます(。
そういった機能・役割が、業務分担表には書いていないけども存在する。ニーズがある。
意図的に、そのポジションが取れる。もしくは、がら空きである。勝手に作って、定義できることを発見しました。

8.「好きで得意」を磨く御利益(ごりやく)。

尊敬する師匠から教わった概念で、「好き・得意・世の中から求められる の3つの円が重なり合う部分で、自分の持ち味を磨けばよい」というものがあります。

私は顧客との交渉が、社内の他のどんな業務よりも好きなほどです。また 社内では今のところ「自分が一番 上手い」と自己評価しています。任命されるか立候補するかして、解決すると、感謝もされる。「好き・得意・求められる の3つを満たした仕事」ということになります。

トラブルが起こっていると聞くと、「なになに?何のトラブル?一緒に行こうか?」と申し出たら、メンバーから「いや、大丈夫です」「必要な時は声をかけます」「動かなくていいです」とたしなめられることもままあります。「クレーム対応が得意というか、もはや趣味だよね」という人物評を、複数の上司から言われたこともあります。自分のプロフィール欄に特技として「顧客交渉・トラブルからの決着」と書いたりもする。

「立場」として仕事をし、「個人」を切り離し、その中から特技を磨いていく。それが大多数のやらないことであれば、自分の希少価値が自動的に高まります。
結果として、組織内に居場所を確保しながら生きていくことができる。平時に、自分のペースで、自分のやりたいことに費やす時間シェアが増えます。
おすすめのアプローチです、というお話でした。

追記:特に「トラブル時の顧客交渉が得意(平気)」は、「自分では、苦にならないので1の労力でやっていること」を、「苦手な人からみると5か10ぐらいの量で感謝される」という非対称構造が起こりやすい。とてもお得なカードです。


引き続き、iPhoneの音声入力で原稿たたき台を作成。ChatGPTで誤字脱字の修正を行っています(※)。
「原稿なしで話す練習」を兼ねているので、話の骨子や順序は変えずにアップロードします。

※共有:
この手法=①音声自動入力→②AIで誤字脱字修正、は Voicyパーソナリティ 大手町のランダムウォーカー さん(『毎日10分間の数字で考える習慣』)の放送を聴いて、そのまま真似させていただいたものです。


「自分はいままで何をやってたんだ?」という感じで、すごい時間短縮とストレス低減。
目ざましい業績を挙げている人とそうでない凡人の違いの一つに、「時間の使い方」(行動の優先順位づけ)があって、これなどはその典型例だと思いました。
ランダムウォーカーさん、ありがとうございます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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