vol.160「ハリー・ポッターと炎の授業:師事するなら、全部はとうてい理解できない人。」
政近準子さんの主催する学校「メタファッションジャパン(通称MFJ)」で学んでいます。2021年1月の「0期」から、通算4回めの受講です。
今回のテーマは「ハリー・ポッター」でした。
※トビラ写真 右は、MFJ 中川ディレクターの「屋敷しもべ ドビー」。振りきった特別プレゼン、単に外見装いにとどまらない似すぎてて、ものすごい衝撃でした。詳細は文末 政近校長のnote記事ご参照。
◆「恐れ」は自らが作り出した幻想。
課題に取り組まなかったからと何の罰があるわけでもないのに、課題をやりきろうとする。対面でもなければ怒鳴られるわけでもない。会社の上司や雇用主でもないのに、叱責されたら真剣にリカバーを考える。
この現象は学びの師たちが共通して引き起こすものだ。彼ら彼女らは、相手の脳内に幻想を見せるプロフェッショナルでもある。人は、自分の脳が創り出した幻想や迷い、恐怖と戦っているのだ。
だから、一流のプロの、本気度の高いセミナーに入学すると、「手厳しい指摘を受けるのではないだろうか」という不安がよぎる。毎回起こる。「次の授業の日が近づいてきた」「宿題がろくにできていない」「ほかの受講生はすごいアウトプットを準備してるだろう」「自分だけ恥をかくんじゃないか」と、一種の恐怖のようなものがせり上がってくる。
このとき、先生という強敵=その場を支配する神と対峙しているようにみえて、じつはその向こうにいる自分と戦っている。自分という闇、自分という怪物と格闘している。自分自身を騙(だま)すことは、いちばん難しいことの一つだ。さぼったかどうか、手抜きしたかしてないか、自分では知っているからだ。
◆ストレスがかかるから、伸びる。
出される課題は当然ながらストレスのかかるものばかりだ。
「自分の答えを発表して他の人からコメントをもらう」ことはもちろん、「他の人の作品に投票して点数や順位をつける」「誰かの答えにコメント(指摘)する」ことがすでにストレスのかかる「問い」になる。
答えもコメントも政近さんにすべて見られているとわかっているからだ。「先生は唯一神に思える現象」だ。
このストレスが、人数☓人数=対角線の数だけ発生する。授業がはじまる前から、事前課題にうんうん頭をひねっている段階から、とても負荷がかかる。強制ではないと明言されているのに、みんな課題と(そして自分自身と)格闘している。
この一人ひとりを見ているフォーカス度、網羅するパワー、執着心が、政近さんはずば抜けている。教室はSNS上の閉じたルームで運営されるのだけど、そこでのみんなの投稿にいちいちコメントを入れる。書き込まれたコメントに、それよりずっと長いコメント(知識的な修正、視点の提供、問い)を入れる。1対1ならまだわかるけど、1対20とか1対30で、かつそんなコミュニティがいくつも同時進行しているのだ。
信じられないほどで、ちょっとほかに似た人を思いつかない。
◆「このままじゃ変われないよ」と指摘する学校。
政近さんが何十回か指摘しているのが「みんな、圧倒的に勉強の量が足りない」こと。勉強が足りない。時間を割いてない。「できるかかどうか」ではなく「やっているかどうか」。
「感動しにきたの?」「変わりたくない人はこの学校にわざわざ入らないでしょ」と問う。
「エネルギーをいただきました」「勉強になります!」と、口では言う。「どうすれば結果が出せますか」「私、変わりたいんです」と手を上げる。だけどその後で、実行する日人、継続する人、量を追う人は、少数派なのだ。
ひとつ言えるのは「とほうもなく親切なことを教えてくれている」ということ。勉強したほうがいい、少しでも早く気づいて、とどうにかして伝えようとしているのだ。
◆「メタ視する」ということ。
学校のメインテーマ「メタ」を検索すると、「自分の認知を認知する(メタ認知)」「複数の視点から同じものをみる(メタ視)」などと出てくる。
Zoomの画面越しにプレゼンし、授業終了後に装いを写真提出して、ほかの受講生からのフィードバックを受ける。「他者にはどう見えているか」を知る。自分のプレゼンを録画で視聴しなおして、「ああ、画面の向こうからはこう見えてるのか」と理解する。時間軸を移動して、授業中のその時間に戻る。
課題テーマが、レベル1で「ハリー・ポッター」。それを終えたら上級コースで「ハリー・ポッター」。同じテーマだったことは、考えてみるとものすごく練り込まれた"罠"だった。
一回目の「ハリー」で出しきってしまったと思ったのに、アイデアを捻り出す必要に迫られる。
「自分のために必要な服」から「自分自身が自分を超えたいと思っている何か」へとハードルがあがる。
「同じテーマでもう一回やるの?」という疑念、不満反発、困惑、恐怖。インスタントでアイテムを手に入れようか、という邪念。
そんな自分の姿、心の動きを、自分で直視する。これがすでに「メタ視点」の一種だと思えている。
「ファッション」のトッププロで、かつ言葉をあつかい紡ぎ出す点でも(異常なレベルの)プロ。そこでさらにメタ、心理学、哲学的な観点で、半永久的に追究している。
繰り返しになるけれども、「学ぶなら、いま全部はとうてい理解できない相手」だと確信させられる。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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