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vol.139「快適な場に居座らない:目の前の相手は自分。」

仕事、会社と家以外に第三の場所を持つといいよという意味で、サードプレイスという言い方が しばらく前に流行ったことがあると思います。
前回、サードプレイスは複数持っておいて、定期的に移動したほうがいい。なぜなら居心地が良くなり、つい長居して牢名主みたいになるリスクがあるから、という話をしました。

続きで、もうすこし分解してみます。


◆「一つところで極める」は限りなくハードルが高い。

いわゆる「サードプレイス」に、何かの勉強だったり、ボランティアをして参加する。そのうち、周囲から認知され貢献もできて、居心地が良くなってくる。自然と在籍年数も長くなります。

そうすると、自分の成長度合いが 鈍化していく。どんな分野でもそうですが、60点を80点にする労力よりも、90点を93点にする労力のほうが大きい。漸近曲線みたいものがあって、成長の角度がだんだんゆるやかに、線で描く平らになっていく。一つの場所で極める、というのは非常に難易度の高いことです。日本人は、というとくくりが大きすぎるけど、「一芸に秀でる」「一つの道に打ち込む」を尊しとする価値観ってあるといます。私ははっきりと反対派で、「限りなく困難だから、軸の違う複数の能力を持つ」が正解(正道)だと考えています。

また、長く居るデメリットのもう一つ、周囲から見ていわゆる"老害"のような存在になるリスクがある。「場に貢献できる量」より「負の影響を与える量」のほうが大きくなるということです。個人レベルでみても、得られるもの(学び)より失うもの(評価評判)のほうが大きくなります。

◆共通するのは「自分のアピールを優先」していること。

著書を読んだり講演を聞いて、「この先生すごいなぁ。もう少し学んでみよう!」と思って、そのコミュニティ、サロン的な場に参加する。当然、いろんなキャラクターの人がいます。
いわゆるセミナージプシーで何か所も回っている、という人もいれば、長年その会にいて世話役のようなことをされてる方もいる。明らかに座談の中心で会話も豊富で、発信、発言量が多い人がいる。学校の部活でいえばセンタープレイヤー、エースです。

中には「自分は長くいるのだ・先生ともかなり近しい間柄なのだ」ということを、言葉の端々に感じさせる人がいます。私はそういう人が好きではありません。セミナー講義時間中に講師の先生から質問を振られて返す時の馴れ馴れしさ、先生の呼び方、別の受講生との会話に参加する 等など、「計算された図々しさ」みたいなものを感じてしまうからです。
他人を見る目が厳しいので、その手の行動全般が嫌いで、距離を置くようにしています。

または、ちょっと斜めに構えて、発言や回答がすこしひねくれている(と感じる)人。周りのメンバーもそのスタイルをなんとなく承認して、この人はそれで売っているみたいな空気がある。同じく苦手な、あまり好きになれない人です。※伝わるでしょうか。わかりにくいですよね。

2つのケースに共通するのは、意地悪な言い方をすると、どちらも「その場に貢献することより、自分の存在を認知してもらうことを優先している」ことです。「自分の都合に周りを合わさせていること」です。

◆重要なのは「自分はどうか」と考えること。

自分のアピールを優先する。つまり「自分の都合に周りを合わさせている」。上で挙げたどちらのケースも、もちろん極悪人ではありません。けれどあまり性質が良くないと思っています。周りが気を使って合わせたり、愛想笑いをしたり、手を入れたりする。その時間と労力、エモーション、リソースを薄く削りとっているテイカーだからです。

なぜそういう情景を見て内心でイラっとするのか(私はイラッとするほうです)考えてみました。
「自分はそうなりたくない」のと、「そういう要素が自分にもあると分かっている」から。自分にもそのケがあるなと、薄々感づいてるから。パラレルワールドの、または枝分かれしたひとつの近未来の「自分の姿」を見出だしているから。

人にとって、一番見たくないもののひとつは「リアルな自分の姿」です。だからよけいにイライラしたり腹立たしく思ったりする。
他人よりもかえって家族のほうが、ひとつまちがえば憎み合ったり、部外者に説明のできない微妙な関係になったりするのも、「リアルな自分の姿」、一番見たくないものだからだと想像しています。

他者を観察してもいいけど、自身の戒め、参考にしないのなら意味がない。
重要なのはいつでも「自分はどうなのか」です。


「大切なのは自分はどうなのか」、言うは易し 行なうは難し の典型ですね。ただ、「身の回りの五人の平均が自分のレベル」というように、出会う人は自分を映す鏡だと思ったほうがいい。
尊敬する師の言葉を借りると「目の前の相手は自分」です。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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