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vol.086「目的なく喋りださないこと。言語のアスリート、矢野香さん。」

矢野香さん、新著『最初の15秒でスッと打ち解ける 大人の話し方』を読みました。

矢野さんは「他者からの評価を上げる専門家」(同書前書きより)。
業界分野にかかわらずビジネスパーソンに必須の視点「常に意図を持って話す」「印象はマネジメントするもの」をはじめ、多くのことを教えてくださった、プレゼンテーションの師匠です。
また、好きになる先生の共通点「ステージ上と降りた後で、態度が変わらない」「メニューに値段がない」「具体的で細かい」「即答する・断定する・保留しない」にあてはまる人でもあります。

◆一流のプロの共通点。

ある分野のトッププロの共通点として、上で挙げた以外に「著書の、ポイントだ!と思ったところを抜粋すると、ほぼ目次になってしまう」というものがあります。変な言い方になりますが、逆にいうと「目次を立ち読みするだけで役に立ってしまう」。注:本はお金を払って買いましょう!
矢野さんは特に、私がもっとも興味関心の強い「言語」「プレゼン」を扱うプロなので、読んでいて響く箇所、まだまだ改善が必要だと思う箇所、のヒット回数がものすごく多くなります。

トッププロのもう一つの共通点が、「行っていることが重層的で複合的で、一言でうまく説明ができない」。
矢野さんの場合だと、言語だけでなく話し方。話し方だけでなく視覚情報。髪型や服装だけでなく眉の動かし方。瞬きをするかしないか。身体のとめ方。手振りの使い方。両手を広げる幅。
専門家として取り扱う範囲が広く、かつ細かい。仮に「ひとつの山」に例えるとしたら、山頂の高さ 稜線の数 尾根の形 谷の形、、、「山の全貌がなかなか捉えづらい」という感覚です。

それを『他者からの評価を上げる専門家』と一言で表した矢野さん。
「自分のことだから、分析できて当たり前でしょ」と思いたくなるけど、そんなことはない。同書にもあるとおり「自分のことは自分が一番わからない」ものです。矢野さんがいかにご自身をも観察し、繰り返し言語化して「言葉の勝ち抜き戦」をして、「自分という商品」を磨いておられるかがわかります。

◆「計画無しに口を開くな」。

同書から、特に重要だと考えた項目、実行可能で効果が高いと思う項目を挙げて、カテゴリ分類してみました。※「付箋した全箇所リスト」は文末に付記します。

① とにかく「短く話す」
・15秒は会話の一単位。1ターンで15秒以上話すと長すぎる
・話は1分以内。すべて一気に話そうとしない。

② 目的は「伝わること」
・「自分が言いやすい言葉」ではなく、「相手にとって心地良い言葉」を使う。
・やる気やモチベーションは相手の目には見えない

③ "目盛り"を極限まで細かく設定する。
・「お待たせしました」と言いながら一度その人の前まで近づく。
・相手と自分の間には何も置かない(メニュー、ナプキンホルダー→取り除く)
・オンラインでの打ち合わせはリアルの3倍うなずく

④「相談」「頼みごと」は信頼ポイント獲得
・「図々しいお願い」で憧れの人との距離感を縮める。
・自分の弱点で貢献する。

⑤ クレーム対応のコツ
・言いづらいことこそ「目を見て」言う
・深く1回うなずくことで真剣さが伝わる。
・事実のみを話すことが信頼される第一歩。
・初期対応では状況を漏れなく、そのまま実況中継すること。

⑥ 目上の人との関係構築
・はじめのうちは自分の意見を求められてから言う。
・聞き上手は要約がうまい。
・複数のコミュニケーション手段を組み合わせて親しくなる。

⑦「自分の喋り」を聴きなおす
・話癖を直す方法:①周囲に尋ねる②会話を文字起こし③イメージタイピング。
・話上手になる最速の道は「モノマネ」。

⑧ 「沈黙に耐えよ」
・強調したいことは「7秒の間」を置く。

⑨「計画無しに口を開くな」
・意味のないことは言葉にしない。【一番目の、そして最大の教え】

矢野さんの教えを突きつめると、
(1) やれることは全部やりなさい。「こう教わった」「周囲はそうしてる」は関係がないですよ
(2) 目的なく喋りだすのをやめなさい。できないのなら黙ってたほうがまだマシです

に集約されると思っています。

ストイック、といえばいいのか、ぜい肉のない、ずっと何か自主練メニューを考えて改良している人。
「言語のアスリート」というのが、矢野さんに対する最大の印象です。

◆自分の主観で言いきる大切さ。

前述のカテゴリ(①~⑨)は、私が勝手につけたものです。

「インプットしたときはアウトプットしたほうがいいよ」は、偉い人たちが多く指摘しています。
アウトプットのやり方として、
・じょうずに要約する。それを読むことで、概略がまんべんなくつかめる
・主観で強調・省略する。勝手に分類する。読んでも元の内容は正確にはわからない
の2通りあると思っていて、後者をやると、考える習慣、言語化するスキルが鍛えられると感じます。

「読んだ本の大胆な要約(後者)」は、比較的とりかかりやすい。元のソース自体が、高いレベルでテキスト化されてるからです。

主観でリスクを取って言いきること、言い換えると自分の意見を表明することは、本当に重要だと思っています。

◆ご参考:『大人の話し方』付箋 全箇所

(付箋 全箇所 ここから)

●15秒は会話の一単位。1ターンで15秒以上話すと長すぎる
・「国語的な正しさ」は絶対ではない。
・文末に「ね」をつける。相づちは「深く1回」。「まばたき」は控える
・「悪い報告です」と結論から言う。
●話は1分以内。すべて一気に話そうとしない。
・食事は相手と同じものを頼む。
・同じ温度の飲み物を注文する。

・眉毛を上げれば親近感がわく。眉は息を吸うと上がる。
・「お待たせしました」と言いながら一度その人の前まで近づく。
・相手と自分の間には何も置かない(メニュー、ナプキンホルダー→取り除く)
●相談内容を「予告」しておく。
・前置きは不要。「教えてください」とストレートに切り出す。
●お礼は「人前で」立てる。本人がそこになくても。
●その場だけでなく、事後報告でもお礼を伝える。

(ここから音声入力に変更)

●「図々しいお願い」で憧れの人との距離感を縮める。
・クローズドクエスチョンで積極性を示す。
●イエスかノーで答えられる問いを発する
●「質問」ではなく「確認」する。
・「でも」の代わりに「お言葉ですが」。
●言いづらいことこそ「目を見て」言う
・痛い人にならないため下調べをする。
・聞いてほしい時こそ聞き役に徹する。
●表情だけでもコミュニケーションが成り立つ。
・「驚き顔」はあらゆる場面で有効。

●聞き上手は要約がうまい。
・はじめのうちは自分の意見を求められてから言う。
・相槌は声の大小・強弱・速さ を変えてみる。
●深く1回うなずくことで真剣さが伝わる。
・オンラインでの打ち合わせはリアルの3倍うなずく
・メモすることは「きちんと聞いている」ことが一番伝わるアクション
・時計はしっかり見ると好印象
・第ゼロ印象を意識する。

●事実のみを話すことが信頼される第一歩。
●やる気やモチベーションは相手の目には見えない
・必ず一次情報で話す。必ず数字で話す。
・「いま私にできることは何ですか」と聞く。
●初期対応では状況を漏れなく、そのまま実況中継すること。
●強調したいことは「7秒の間」を置く。

●事前に相手の情報を集める。「最新情報」「人脈」「経験」。
●自分の弱点で貢献する。
●他者評価で「自分の商品」価値を知る。
・初対面では下調べしたうえで1つだけ質問を考える。
・前回会ったときの話をする。

・苦手な人と打ち解けるには「実験記録」を活用する。
・やりたいことを周りに公言し、応援者を増やす。
●複数のコミュニケーション手段を組み合わせて親しくなる。
●意味のないことは言葉にしない。
・「相手の話に対する意見を保留する」という姿勢を示す。

・お辞儀は頭の下げ方ではなく、頭の止め方がカギ。
・話しながらお辞儀をしない。
・名刺交換では相手の目を見続ける。
・3大タブー言葉「了解」「なるほど」「参考になりました」
●「自分が言いやすい言葉」ではなく、「相手にとって心地良い言葉」を使う。
・「私たち」の範囲を考えて敬語を使い分ける。
●弱みを強みにする言い換えを考える。
●話癖を直す方法:①周囲に尋ねる②会話を文字起こし③イメージタイピング。

・相手の話題を探す。
・一番後ろの人に視線を合わせる。
・自己紹介のあいだは まばたきしない。
・緊張するのはその場を大切にしている証拠。
●話上手になる最速の道は「モノマネ」。
・人に会う前には、全身鏡で全身をチェック
・自分のことは自分が一番わからない。
●「大人の話し方という鎧」で自分を守る。

( 付箋箇所 ここまで )


「付箋箇所すべて」の●印は、「ほぼ目次になってしまう」への対策として「特に響いたもの」につけた結果、「半数についとるやないかい!」となった"ダメな例"です(苦笑)。好きな先生だと、「すごい素晴らしい」と感じる確率も高くなる、「ファンバイアス」もあるものと考えています。

「常に自分の意見を持つことの重要性」については、記事をわけてまた書きます。最後までお読みくださりありがとうございます。



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