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伝説の4一銀
伝説の一局は、対局している棋士と解説で生まれると思う。
一昔前だと、理解できない謎の手が出てから
【なんだ、これは!?】とザワめく。
今はAIが先に答えを見せてくれる。
ただ、プロじゃないと、その示された答えが“人間にとってどれほど差しやすい手なのか”が分からない。
今回、解説の藤森哲也五段、及川拓馬六段の解説が伝説の素晴らしさをより際立たせた。
プロが見えない一手。
プロが驚いて熱く説明してくれるからこそ、“そんなに凄い一手なんだ”と理解できる。
【57手目】
(長く検討した後…)
神の一手
藤森「ほぉー…こんなん、読めますか?」
「すごい、読んだっすねぇ…」
及川「でも、これはほんの一例ですよね。本当はもっとたくさんの量があって…」
藤森「この膨大な変化を両対局者は頭の中でフル回転で読んでいると」
及川「まず、4一銀って発想にないと、ここまでたどり着けない」
藤森「4一銀は、神の一手でしょ」
及川「これ、またでましたよ」
藤森「これ、人にはなかなか見えない類の手ですよね」
及川「ですね。そう思います」
藤森「8四飛車って、この飛車を取ったあと、寄せがあるかどうかってのを考えるじゃないですか。あの場面で決めに行くっていうのが、ちょっと…ね」
及川「発想にないですよね。あそこで銀を渡して詰め路をかけるっていう…ね、なかなか思いつかない」
プロにも見えない一手
藤森「常識的には飛車を取る。当たり前ですよね」
及川「はい。当たり前です。勝ちそうですから」
藤森「飛車を取って、先手(藤井)が厚そうという感じがする中で、4一銀という、いきなりタダの所に銀を捨てる手が(AIの手で候補に)あがってきてまして、それを指すかどうかっていうのが、大注目。
これ、4一銀打ったら……、これは信じられないけどなぁ」
及川「局面を全て把握してるってことですよ」
藤森「神。読み切っちゃったってことですよ」
藤森「打つかしら。この場面で、次の一手、めちゃくちゃかっこいい手があります、と聞かれたら、4一銀を読みますよ。でも流れの中で見たら、どう見ても8四飛車を取りますから」
及川「思いつかない。辿り着かないよ。そこにたどり着くには、8四飛車が難しいことをまず、分かんなきゃいけないです。それで勝ちが見えないから《何かないかな?》で、4一銀ですから。まず、8四飛車で勝ちそうだから」
藤森「(8四飛車の)他の手があると思えないもん」
及川「だから、当然の一手をそのまま打たずに長考するのは大事ってことですね」
藤森「ここで4一銀ですよ。皆さん。プロが見えないですから。見えないし、1秒も考えない。見えても考えない」
スーパーサイヤ人の手
及川「もし、これで4一銀打ったら、7七同飛車成と【飛車と歩を交換した石田さんとの有名な、あの将棋に匹敵する凄い手】だと私は思います」
藤森「これ、凄いよ?!解説がないと見てる人、何やってるかわからないと思うんですよね」
及川「まず、(AI)ソフトの読み筋が出てないと解説しない手ですよ」
藤森「スーパーサイヤ人の手でしょ、これ」
及川「ははは」
藤森「見えない。普通の人には動きが速すぎて見えない」
及川「局面を理解しないと見えない」
藤森「われわれ、凄い局面に遭遇しました」
4一銀を打つ人に勝てるのか
藤森「普通に興味があります。ただただ、そこまで見えちゃうのかって」
及川「終盤力がどれくらいのもんなのかってね」
藤森「終盤が強いっていうのは、みんな分かってるじゃないですか。藤井さんが終盤とてつもないって」
及川「それが具体的にね、見える局面な気がするね」
藤森「でも打つ?……4一銀打つ人に、将棋、もう勝てないでしょ」
及川「…はは。そういう気持ちになっちゃいますね」
2人「……(少し沈黙)」
藤森「ここで4一銀気付くプロ棋士います?!」
及川「神が降臨しないと見えないと思います」
その後もずっと、4一銀打つかなぁ…とボヤく解説者。
この解説で、いかに凄い一手が指される可能性があるのか理解し、“藤井さんならやるんじゃないか”と期待が膨らむのである。
そして、結果的に藤井二冠は4一銀を指して75手で勝利を呼び込んだ。
でもね、あの長考の時間に藤森五段と及川六段があれだけキャッキャウフフと4一銀を「見えない見えない人間には見えない。見えちゃうの?」って解説してくれる「助走」があったから打った瞬間に「ひえー!!」って感動できたから解説者って大事!!
— すこぷう財団 (@seed15123791) March 23, 2021
《プロ棋士のコメント》
人間は▲4一銀打っちゃいかんだろ...
— 勝又清和 (@katsumata) March 23, 2021
【第34期竜王戦2組準決勝・藤井聡太二冠-松尾歩八段】
— 読売竜王戦【公式】 (@yomiuri_ryuo) March 23, 2021
難解な終盤戦。午後8時、藤井二冠は約1時間の長考の末に▲4一銀とタダ捨ての妙手を放ち、控室はどよめきに包まれました。
広瀬八段は「参りました。ここに至る思考が常人ではありません」と称賛しています。#竜王戦#藤井聡太#松尾歩 pic.twitter.com/GNn9nWxxvu
▲4一銀を指せる人類がいるなんて😱😱😱😱😱😱😱
— 遠山雄亮(将棋プロ棋士、棋士会副会長) (@funnytoyama) March 23, 2021
強すぎる🤭🤭🤭🤭
タラレバ検討会の収録が終了して控室に戻ってきて、リアルタイムで4一銀をみてしまいました。汗
— 飯島栄治 (@eijijima) March 23, 2021
凄くないですか?を遥かに越えています。今日は良いものを見れたと思いました。
41ギンミエナイ。ニンゲンダモノ。
— 武富礼衣 (@ReiShogi) March 23, 2021
【インタビュー】
藤井二冠「序盤から積極的に動かれて、取り込まれて失敗してしまったかなと思ったんですけど、かなり激しい展開になってしまって最後まで際どい将棋だと思って指してました」
インタビュアー「控室では驚きもあったんですが。4一銀と打った手が」
藤井二冠「他の手が詰め路になっていない気がしたので、詰め路を続けるなら4一銀かなと思いました」
いやぁ、歴史的な一局を見せてもらいました。
お疲れ様でした!
【ネットの報道】
藤井聡太二冠が強すぎて4一銀とかヤバすぎてもうこんなんフィクション絶対勝てるわけないんで『りゅうおうのおしごと!』1巻をKindle Unlimitedで0円にしました。タダでいいから読んでくれ畜生!https://t.co/McCL5DJ2fy pic.twitter.com/sYTf83ndrm
— 白鳥士郎 (@nankagun) March 23, 2021
馬を作られながら飛車と金銀の2枚換え、ただでさえ駒損になる変化。一刻も早く飛車を取りたいと(人間なら)思ってしまう場面で、さらに銀を捨てる▲4一銀。
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) March 23, 2021
しかしその銀の効果で相手玉が悪形になり寄せが加速する。これが最善手。
もう人外。
負けました。#藤井聡太 #4一銀 #神の一手 #竜王戦 pic.twitter.com/zo99HebCqq
— 白鳥士郎 (@nankagun) March 23, 2021
👆笑ってしまった
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