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"「貞観政要」がやさしく学べるノート"読書感想文

「貞観政要」がやさしく学べるノートを読んだ。上に立つリーダーが持つべき姿勢や注意点を、中国の歴史から学びながら生かした、屈指の名君と言われた、唐王朝2代目の太宗李世民の話。人の上に立つものは一度は読むべき本。

1.成功体験を捨てて、学んで変化すべき

「房玄齢は昔、私に従って天下を平定し、つぶさに艱難をなめ、九死に一生を得て今日あるを得た。その立場からすれば、創業こそ困難であると考えるのも、もっともなこと。一方、魏徴はわたしとともに天下の安定を図りながら、少しでも気持ちを緩めれば、滅亡の道を歩むに違いないと心配している。だから守成こそ困難だと答えたに違いない。」そして、太宗は続けます。「創業の困難はもはや過去のものとなった。今後は共に心して守成の困難を乗り越えていきたい」と。

房玄齢は早くから太宗のもとで創業の苦しみを体験していた側近にも関わらず、太宗は敵陣営からスカウトされた議長の声を取り込んでいる。会社で言えば、信頼ある気心知れたメンバーの声ではなく、新しく入ったメンバーの声を採用するようなもの。これは非常に難しい。

戦乱の時代にあって、馬上で天下を取ったとしても、馬上で天下は納められない。

という言葉があるように、天下を取る方法と、納める方法は違うのだ。これは売れるセールスマンが、いいマネージャーとは限らないというのに近いだろうか。

晩年に近くなり、天下取りの視界がひらけてきてから、家康は儒学者の藤原惺窩を招いて、「貞観政要」の教授を受け、さらに後の惺窩の弟子の林羅山を江戸に招いて、儒教の取得に勤めています。

天下を納めるには変化と学び直しが必要なのだ。会社経営も同じようなものだ。これまでの自分の成功体験はアンラーニングしなければ納められない。

2.上に立つものはまず我が身を正せ

源が澄んでいれば、自然と流れも澄み、源が濁っていれば、流れも濁ってしまう。組織の上に立つものは部下の手本となるような言動をしなければならない。

己を修められる人が、人を治められるという。この表現は確かにそうだ。例えば会社のビジョンが社内に伝わっていなければ、自分が体現できているのかどうかを問うべきだろう。

身の破壊を招くのは、その昔自身の欲望が原因であり、いつも山海の珍味を食し、音楽や女色にふけるなら、欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。肝心な政治にも身が入らなくなり、結果、人民を苦しみに陥れるだけとなる。それは人民の怨嗟の声となり、やがて反乱を企てる者も現れてくる。

私欲に溺れると、周りを苦しめてしまう。私欲の追求により、周りの人を苦しめる構図になっているときは、気持ちの溝が深まっていくので注意だ。

彫刻にこれば農事がおろそかになり、織物にこれば、それだけ女どもに負担がかかります。奢侈に走るのは滅亡を招くもとです。漆器ならまだしも、いつしか金、ついには玉で食器を作るようになりかねません。ですから争臣は必ず初期の段階で苦言を呈し、末期になると、あえて諌めたりはしません」

私欲の雪だるまは、些細なことから転がり始める。こう言ったものに注意を払うべきだし、そう言ったことを指摘してくれる人が必要。

3. 諫言してくれる人が周りにいるか

その昔、殷の紂王が初めて象牙の箸を作ったとき、箕子という重臣が、「象牙の箸の次は玉の杯、玉の杯の次は、もっと珍しい宝が欲しくなる。さらには乗り物を飾り、宮殿を飾り、止めるすべがなくなるに違いない」と言って嘆きました。

トップの異変にいち早く警鐘を鳴らしてくれる存在は貴重だ。

部下の諫言を引き出すためには、普段から組織の風通しを良くしておくこと、そしてトップ自身が部下の意見に喜んで耳を傾ける懐の深い人間であることを示しておく必要があります。

そのためには、メンバーと信頼関係が築けなければならない。ちなみに、部下が諫言をしてくれているかで信頼関係がわかるもの。

「君主を説得するのは難しい。その難しさとは、相手の心を読み取った上で、それにこちらの意見を当てはめる難しさである。

上に立つものは忘れがちだが、部下が上司に諫言をすることは難易度が高いし、そもそもリスクが高い(昔なら殺されたり、今ならクビになったり外されるリスクがある)。

「臣下のものは絶えず君主の言動に注目しているのだから、自分は常に畏れの気持ちを抱いて、謙虚に振舞いながら、なおかつ天の意志と人民の意向に適っているかどうか、厳しく自分を戒めてきた」

だからこそ、このような姿勢を保たなければいけない。

三つだけ要素をピックアプしたが、自分の中に練り込みたい内容でした。



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