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スタディサプリを校内で普及させるぞ作戦〜動画コンテンツの本質的弱点と紙コンテンツとしての新しい捉え方〜
僕は私立高校で英語の教員をやっています。ありがたいことに結構楽しい教員生活を送っています。
英語の教員をしながら学校のICT化担当もしています。今日はWebサービスの校内普及に関する文章です。
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導入したけど使ってる?
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コロナの影響で各学校で様々なICTツールやWebサービスが導入されたと思います。
ただ導入したは良いが、教員も生徒もなかなかそれらを使ってくれなくて困っているという学校も多いと思います。
自分の学校も正直まだまだの部分も多いのですが色々と実践したこともあるので文章を書きたいと思います。
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スタディサプリを導入してみたが
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様々なICTツールやWebサービスが導入されましたがその中にスタディサプリと言うWebサービスがありました。
超メジャーなサービスですが、一応説明すると、各生徒のデバイスで授業動画を見ることの出来るサービスです。
僕自身も導入以前から個人的に利用しており、「非常に便利だな」と思っていたサービスでした。そのため学校でも簡単に普及するかなと思ったら意外にもあまり普及しなかったんです。
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動画授業のクオリティーに教員が満足できない
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普及しなかった理由は色々あると思うのですが、まずは動画授業のクオリティー問題があると思います。
「この動画授業のクオリティーあまり良くないね」と授業の質に関して不満を持つ教員が多かった気がします。
たしかに教員からすると「もう少し解説があっても良いかな」とか「これには言及しようよ」と思う瞬間もあるんです。
ただ、対面授業とは違って時間的な制約があることを考えると個人的にはかなり良質なコンテンツだと思ってます。
教員としては自分の専門分野でもあるので、あまり認めたくないという問題もあるのかもしれません。もないのかもしれません。
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何百万人を対象とした授業参観
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でも良く考えてみると、スタディサプリの先生たちって、何百万人を相手にした授業参観をやってるのと変わらないんです。これスゴくないですか?
スタディサプリのクオリティーを教員が疑問視をしていたとしても、逆に「先生の授業を見させていただいて良いですか?」って聞かれたらかなりの確率で断る教員が多いのではないでしょうか。
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教育用ビックデータ
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リクルートの方と直接話す機会もあるのですが、スタディサプリの授業動画は絶えずアップデートされてるそうです。
リクルートは採用で有名になった会社ですがもうすでにIT企業になっています。そのためアップデートするのに参考となる教育用ビックデータを持っているようです。
使用者からのアンケートなどのフィードバックもあると思いますが、それよりも印象的なデータは「使用者がどこで視聴を止めたのか?」だったり、「この問題を解くのに何秒かかったのか?」などのデータです。
そのくらい詳細なデータを使って授業動画をアップデートしていくならばそのクオリティはどんどん高くなっていくと思います。
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こっちの方が楽ですよ作戦
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話が脱線しました。
スタディサプリの普及率がなかなか上がらず困っていたわけです。
そこで「この動画良いですよ作戦」から「こっちの方が楽ですよ作戦」に切り替えました。「動画のクオリティーはちょっと・・・だけど、楽ならいいか」と思ってもらうような工夫をしました。
テスト作成・宿題チェックなどスタディサプリを利用すると非常に楽なんです。
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到達度テストの利用
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スタディサプリには到達度テストという生徒の基礎力を測定するテストがあります。生徒がそのテストを受験すると苦手分野が特定され、その生徒に必要な動画がレコメンドされるというテストです。
自分の学校では長期休み明けに「確認テスト」というテストを行っています。教員は毎回そのテストを作成していたわけです。
教員の方々はわかっていただけると思うのですが、学期初めはかなり忙しいんです。その中でテストの作成・印刷・採点・点数チェックは教員の大きな負担になっていました。
色々あって自分の学校では確認テストの代わりとして到達度テストを利用し始めたんですね。
導入にあたって反対意見も多くあったんですが、実際に導入してみると教員の負担がかなり軽減されたんです。それから到達度テストに対する反対意見はほぼ無くなりました。
モノゴトを進めるのは「理念」では無く「負担軽減」という「利益」であるということを強く実感した出来事でした。
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「知らない」から「嫌い」問題
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「負担軽減」がきっかけとなって教員の使用率は上がって行きました。それと同時に教員対象にスタディサプリの操作に関する課題を設定したのも良いかもしれません。
ICTに関する問題の多くは「知らない問題」が大きな原因になっていると思います。「知らない」という感情と「嫌い」という感情はかなり近い部分がある。
だったら「知って」もらえさえすれば問題は解決するはずです。「0→1」は大変ですが、「1→10」はそれに比べて楽です。
そこで、スタディサプリの操作に関する課題を教員に出して期限までに行ってもらうことにしました。
教員の使用率はこのようなこともあり少しずつ上がって行きました。でもそれよりも大きな問題があるんです。
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あれ? 生徒が使ってくれない
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生徒にスタディサプリを渡して少し経ってわかったのですが、生徒は思ったよりもスタディサプリを使ってくれません。これは焦りました。
このままではせっかく導入してもあまり意味がないので生徒になぜ使用しないのかアンケートをアンケートを取ってみました。
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動画はかったるくて見る気にならない問題
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生徒に調査をしてみた結果、「動画はかったるいので見る気にならない」という声が上がりました。
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紙教材というアダプティブ教材
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「動画教材がかったるい」という声を聞いて、「なぜそのように感じるのかを掘り下げて考えて見ました。「どうして生徒は動画教材を長いと感じるのだろうか」と。
そうして考え付いたのが、「動画は誰が見ても同じ時間だ」ということでした。
20分の動画教材って誰が見ても20分なんですよね。偏差値が70の生徒が見ても20分だし、偏差値が50の生徒が見ても20分です。
そう考えると紙教材って生徒の学力に応じた時間の使い方をすることが出来るんだなって思ったんです。
紙教材であれば学力が高い生徒は素速く課題を終わらせることが出来ますし、その教科が苦手な生徒であればじっくり時間をとって学習することが出来ます。
そういう意味で紙教材ってある意味アダプティブなんだなと思いました。
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スタディサプリを紙コンテンツとして捉える
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とは言え生徒の使用率を上げる必要があります。「動画はかったるくて長い問題」を何とかして解かなくてはいけません。
そうなった時に思ったのは「そもそもスタディサプリって動画コンテンツなのか」という疑問でした。いや、間違いなく動画コンテンツではあるのですが・・・・
実はスタディサプリは授業用のプリントがプリントアウト出来るようになっています。
ってことはスタディサプリは「動画コンテンツ」であると同時に「紙コンテンツ」でもあるということです。
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動画コンテンツと紙コンテンツのハイブリッドな使い方
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それだったらスタディサプリを生徒が利用する時に以下の手順を勧めてみるのはどうでしょうか?
①まずは紙コンテンツを生徒が解く
②紙コンテンツを見て解けなかったところを動画で確認する
「スタディサプリなので動画を見なくてはいけない」では無く、紙コンテンツとしての使い方を中心として、解けない部分を動画で確認するという使い方をすると生徒の「かったるい問題」も解決することが出来そうです。
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リクルートにお願い
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この使い方をする際にリクルートさんにお願いしたいことがあります。
スタディサプリにタイムスタンプ機能をつけてもらえないでしょうか。
現在の動画は15分くらいの単位で分かれています。その動画の分割単位を問題レベルにしてもらえると嬉しいです。
そうすれば生徒の動画利用率も高くなると思いますし、そのタイムスタンプを押した回数で教育用の詳細なデータが取れると思うんです。
よろしくお願いします。
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色々書いてきたが
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色々書いてきましたが、自分の学校では少しずつスタディサプリの使用率が上がって来ています。
今後、自分が考えなければいけないのは、スタディサプリの宿題と平常点の兼ね合いなどのルール策定の部分です。
引き続き頑張ります。
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