デザインのために数学を

「数学」は義務教育を受けている人なら誰しも触れたことのある学問です。
ちなみに数学と算数の違いは下記のような定義らしいです。

「算数と数学の違い」
数字を扱う学問という事に変わりはありませんが、2つの教科には次のようなプロセスの違いがあります。 数学とは数および図形についての学問の総称ですが、小学校で習う「算数」と異なる点は、「答えに至るまでのプロセス」が重視される事です。 計算すれば解ける「算数」に比べて考える力が求められます
by調べるネット https://www.siraberu-tool.net/difference/75.php

さて、話しの始めからネガティブ全開で申し訳ないのですが、私は数学にあまり良い思い出はありません。
学生時代はなんとか頑張って取り組んでおりました。しかし、1問解くたびに躓いていたため、本気でいらいらして宿題を解いている最中にペンを叩きつけて1本駄目にしたこともあります。個人的に人格クラッシャーな教科だと思っています。

さて、そんな私が今回読んだ本がこちら

デザインのための数学

まさかの数学です。

気持ちとしてはデザインのため‘に’数学です。
しかし、いつもは苦手な数学もデザイン向けに歩み寄ってくれていることを期待し、読んでみました。

自然の形

美しい形は基本的に自然物からきています。しかし自然は美しくデザインをしようとした結果、美しい形になっているわけではありません。
ではなぜ美しいのか。人間が作ろうとすると難しい球の形を、水滴はすぐに作ることができるのはなぜか。蜂の巣はなぜきれいな六角形をつくるのか。

なぜだと思いますか?
私は重力か何かの力で抑えられてそうなっているのかと考えましたが、自然は省エネルギーで形を保とうとする性質があるようです。

そのため球は表面積を最小にするためにあの形になります。実際に球と同じ体積のサイコロを開いて平面にすると球のほうが表面積が小さいです。(ちなみに猫が冬場丸くなるのも表面積を小さくして熱を逃がさないようにするためだそうです。)

また蜂の巣のハニカム構造は円を敷き詰めて、間に出来る空間を埋めていくと六角形ができます。このように場所を自然に節約した結果、六角形ができました。

これだけでもそうなのかー!自然ってすげー!効率厨!!という気持ちになりますが、更にこのハニカム構造は斜めに力を分散させるため四角形より強度が強いそうです。『形態は機能に従う』を地で行く自然、恐るべしです。

また本には球が美しく感じるのはシンメトリーがあるため、大仏の顔が美しく見える角度は白銀比がある、ピラミッドにも黄金比が隠されている、などよく知っている美術品や日常のものを、数学的視点に当てはめて見る事例が沢山書かれていました。

昔読んだ教科書よりも具体的な例を出してくれて、視覚的に理解しやすかったため、スラスラと読めてしまいました。もともと数学は理解がしずらいだけで、興味がないわけではなかったので、久しぶりに苦手が克服できた気がして嬉しかったです。(もちろん数学の理解が克服できたわけではないので、小難しい公式が書かれた部分はすっ飛ばして読みました)

数学とデザイン

そういえば、デザインを学んでいるとよく数字が出てきていました。比率や形を作る時、寸法などなど。モノをつくることは好きですが、本当に数字は苦手なのです。黄金比や白銀比を覚える時は楽しさもなく、必要なものとして割り切って覚えた記憶があります。

しかし思い返せば、数学とは数字を扱い、正解にたどり着くまでのプロセスを大事にしながら答えを求める学問です。
対してデザインは視覚表現を扱い、正解にたどり着くまでのプロセスも大事にしながら答えを求める学問です。

縁遠い学問だと思い込んでいましたが、扱うものが違うだけで思考する部分が大事という点に共通項があるのがとても面白いと思いました。
相変わらず数学は苦手ですが、今回の本のお陰で数学に対しての認識が変わりました。
今後デザイン方面から数学にもう一度触れてみたいと思います。

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