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【WORKS】M HOUSE-2/増築のハードル

【プロジェクト概要】
築55年の壁式鉄筋コンクリート造住宅の増築と改修
用途:一戸建ての住宅
設計:鈴木隆介一級建築士事務所
竣工年:2023年
掲載:新建築住宅特集2023年5月号

1.既存について

改修前全景。奥が壁式RC造、手前は増築されていた木造小屋(木造小屋は今回解体)

既存は昭和44年に竣工した「壁式鉄筋コンクリート造2階建て、床面積106㎡」の住宅でした。
今回25m2分の木造棟を増築しており、10m2以上の増築には確認申請が必要(防火・準防火地域では面積に関わらず必要)となるため、増築の確認申請をしています。

昭和44年の竣工から現在までの間に建築基準法は改正されているため、既存には現行法規が適用されていない建築物(既存不適格建築物)ということになります。(法改正の際に現存する建築物には規定を適用しないという法がある=既存不適格建築物)

「既存不適格建築物」に増改築等を行い、確認申請を提出する場合、既存部分を現行基準に適合させる必要がありますが、それには多額の費用や物理的な困難を伴うため、一定の条件に適合させることで、制限の緩和を受けることができ、増改築が行いやすくなります。

2.増築のための条件(施行令137条の2)

制限緩和のための条件には、いくつかのルートがありますが、以下今回のプロジェクトにおいての条件3点を簡単にご説明します。

2-1.増築部分の床面積が既存部分の床面積の1/20以上~1/2以下の間であること。
2-2.既存部分と増築部分は構造的に分離させること。(エキスパンションジョイント)
2-3.耐震診断によって構造上問題ないことを確認すること。

2-1,2-2は設計事務所が検討をし、2-3.は専門の構造事務所に依頼をします。

3.耐震診断

既存構造体調査の様子
既存躯体破壊試験のためのコア抜きサンプル

耐震診断にあたって、既存の構造体を抽出し、それを破壊試験にかけて強度を調査しています。
試験の結果、現況法規で必要な強度の約3倍の強度を保有していることが分かりました。既存は構造体がモルタルで保護されていて、構造体が風雨にさらされない状態であったことが理由のひとつとして考えられます。
試験と構造計算の結果、既存が構造的に問題ないことが確認できたため、増築の確認申請をすることが可能となりました。

<耐震診断の費用>
今回の規模で約60万円でした。ただし、条件によって費用は変動するため都度見積が必要となります。

【WORKS】MHOUSEの記事第二弾は以上です。ご覧いただきありがとうございました。
次回は
・設計内容
について説明予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。

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