「工作」「工学」の「工」は、板に錐で穴をあけているところの象形文字だという。板の表面と裏面を繋ぐ。
──「工学」とは、「工」の字義の如く、科学と生活を繋ぐ学問です。
上手いこと言うなと思った。
では「技術」の定義はと言うと、これが難しい。「職業・家庭科」の時代の定義は、労働手段体系説のような「生産技術的定義」が主流であったが、「技術・家庭科」の時代の定義は、意識適用説のような「生活技術的定義」が主流になった。
個人的には「技術」と聞くと「職人技」を思い浮かべてしまうが、「技の英訳はtechniqueで、技術の英訳はtechnologyだ」と反論される。いや、technologyは「技術学」「工学」の英訳では? いっそのこと、「職業」「産業」に傾いた「生産技術的定義」の英訳でindustrial technologyではどうかと思うが、それは「技術」ではなく、「技能(skill)」だし、「工業」以外の産業が除外されてしまうという。
戸坂潤の技術論を簡単に言えば、「技術には生活技術と生産技術という二重性があり、1つにまとめて定義するのは難しい」という理解でOK?
※科学技術庁「「科学」と「技術」、「科学技術」について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kagaku/kondan21/document/doc03/doc36.htm
※柴﨑一郎「科学とは何か? 技術とは何か?」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soken/117/4/117_KJ00005854410/_pdf
※大阪教育大学「技術と教育について知りたい人のQ & A」
https://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~gijutsu/qa2.html
1980年に出版された、アメリカの未来学者のアルビン・トフラーの著書『第三の波』(The Third Wave)は世界各国で大ヒットした。
この本の中で、トフラーは人類はこれまで大変革の波を2度経験してきており、現在、第三の波が押し寄せてきているとした。
・第一の波「農業革命」(農耕の開始。日本で言えば、稲作の開始)
・第二の波「いわゆる第一次産業革命」(動力革命)
・第三の波「情報革命」
である。人類史という観点では、「火の使用」「二足歩行と道具の使用」も大きいと思うし、蒸気機関や内燃機関といった原動機や電動機の発明の前には、畜力、風力、水力の利用もあったはずだが、言い出したらきりがない。
たて続けに第四の波「IT革命」(平成12年(2000年)、「Windows2000」が発売され、「IT革命」が流行語大賞に選ばれた)、そして、2020年の今は、第五の波「AI革命」で、将来的には第六の波「ロボット革命」が来るという。技術革新のスピードが速すぎる。人類は、なぜ生き急ぐのか?(命が永遠のものであれば生き急がないが、有限であるので、「少しでもいい生活をしたい」と技術革新に執着するのであろう。)
世界史の授業では、「波」ではなく、「産業革命」(industrial revolution)となる。
・第一次産業革命:機械化。蒸気機関と水力。
・第二次産業革命:大量生産と電気。
・第三次産業革命:ITと自動化。
・第四次産業革命:CPS
industrialを「産業」と訳すものの、工業中心で、「稲作の開始」(農業)や「宅配(トラック輸送)の普及」(商業)は入ってこない?
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秋の夜長は、思考にふけちがちである。とはいえ、
──人生は短く、芸術は長い。
思考対象を絞らねば。
※人生は短く、芸術は長い。:古代ギリシャの医聖・ヒポクラテスの言葉。原文はギリシャ語でὁ βίος βραχὺς, ἡ δὲ τέχνη μακρὴ.であり、ラテン語訳はVita brevis, ars longa.である。τέχνη(テクネ)はテクニックで「技術」、ars(アルス)はアートで「芸術」であるが、ここではどちらも「医術」を指している。「医術を学ぶには長い月日を必要とするが、人生は短いので怠らず励め」という意味の言葉である。