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【ゼノブレイドDE】絶望と希望の果てに残された世界【ネタバレ感想】

【この記事はネタバレを含みます】

ゼノブレイドディフィニティブエディション
2020年5月29日ninntendoswitchにて販売
販売元 任天堂
開発元 モノリスソフト

・ゼノブレイドDEってどんなお話?
・設定から考えるストーリーの特徴
・システムから考えるストーリーの特徴
・キャラクターから考えるストーリーの特徴
・まとめ

ゼノブレイドDEってどんなお話?

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かつて巨神と機神の2柱の神が争い、骸となり大地となった。
その大地に様々な種族、生物たちが暮らすようになった。
主人公シュルクは巨神の足元であるコロニー9で生活をしていたのだが、
ある日機神界から機神兵の大群から襲撃され、幼馴染であるフィオルンの命が奪われてしまう。シュルクたちはフィオルンの敵を討つためにコロニー9をあとにした。

設定から考えるストーリーの特徴

ゼノブレイドといえば「神が争い、骸となり大地となった」という強烈な設定が目を引く。土地を人間の身体のパーツで表現しているために、現在地から目的地への距離感のイメージが付きやすい。大地を神の骸とする独特の世界観に多くのユーザーが驚きワクワクしたはずだ。

神=大地という設定から一歩踏み込んでみる。

巨神界と機神界2つのコミュニティにおける「神」の捉え方に違いがあって面白いなぁとプレイ中に気付いた。

巨神界(ホムス・ノポン・ハイエンター)における神とは、ザンザのことではない。ザンザを知る存在はハイエンターのごく一部に限られている。あくまでも巨神界にとっての神とは巨神のことである。そしてそれは、

・大地
・死後の世界
・エーテルの源泉

の3つで構成されている。

死後の世界とは「巨神から生まれたものは巨神へ還る」というホムスのしきたりに従い、亡くなった遺体は巨神の大地に埋葬する文化があるため。死後の行きつく先という認識が強い。

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死後の肉体は、大地に還り、エーテルエネルギーは巨神へと流れる。エーテルとは全生命体に必要不可欠なエネルギーという表現が近い。これについてはメリアがシュルク達と出会ったときにエーテル欠乏症を引き起こしたことからもわかるとおり、周囲のエーテル濃度が生命維持に必要なことがわかっている。その他にもガソリンや電力としての資源エネルギーとしてエーテルを使用しているシーンも描写されている。そして生活に密接なエーテルは巨神から流れている。

一方、機神界(マシーナ)における「神」とは、

・指導者
・親

のイメージが強い。これはマシーナに寿命が存在せずに、メイナスから直接知性を譲り受けたからだ。絶対的な指導者であり、生を受けた親である。そしてザンザが機神界へ乗り込んだ際にはメイナスが身を挺して機神界を守った。その事実があることも大いに影響し、機神界にとってのメイナスは絶対だった。ただし、機神界盟主エギルは同胞を蹂躙された怒りによりメイナスの言葉に耳を貸さなかったが。

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メイナスは機神の魂であって機神ではないのだが、マシーナにとっては精神的な拠り所であったことは間違いないだろう。

破壊を前提としたザンザ、調和を前提としたメイナス。両者の諍いは避けられなかった。それぞれが生物に知性を与えたのだが、ザンザは巨神の餌としての自己完結型の動機であったのに対し、メイナスは違った。知性を与え、発展して自らの意志で未来をつなげていってほしいと託した。最終的にはシュルク達が遺志を継ぎ、神のいない世界を望むという結論に達する。

各々の種族の思想からわかる神への考え方の相違。それがストーリーの土台となっていることがわかる。

システムから考えるストーリーの特徴

本作の核となっている「キズナグラム」というシステムについて触れていきたい。

キズナグラムは大きくパーティ内と各コミュニティ内に分けられる。

パーティ内に関しては共に行動したり、プレゼントをあげたり、各ロケーションで2人っきりで会話イベントをこなすことで仲が深まる。キャラクター同士のキズナを深めると冒険を有利に進めることが可能となる。

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一方コミュニティ内に関してはNPCのサブクエストをこなすことで、各街の信頼を得てこちらもゲームが有利に進めることができる。具体的には隠しスキルが解放したり、レアな素材を物々交換できるようになったりと恩恵は様々だ。数百に及ぶサブクエストをコツコツとこなしていくと冒険を有利に進めることができるため、プレイヤーはサブクエスト埋めに時間を費やすこととなる。

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興味深いのはサブクエストによっては結末が複数用意されているものあり、クリアの仕方も1つではないものも存在する。プレイヤーの選択によって人間関係も変化していくために軽はずみな決断ができないという緊張感が発生する。これがとても面白かった。他人の人生に深く関わることはそれだけ責任が発生する。

上記のキズナグラムは最終局面でストーリーと上手く絡み合う。
それは第三のモナド=人々の意志ということ。
人の役に立ち、人を導いた結果、最後の場面でシュルク自身が第三のモナドを生み出してザンザを打ち負かすことにつながった。
これに関しては正直プレイをしていないと単なるご都合主義の展開と思われそうな可能性が孕んでいる。
しかし、広大なフィールドを歩き回り、人々と出会っていくとそれぞれに悲しみを抱えて生活していることがわかってくる。そしてサブクエストを通じて人の悲しみを解決したり、心の整理を手伝ったりと、プレーヤーはこの世界の現状を徐々に理解していく。

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数多のサブクエストという体験を経て、ラストに「モナドは人々の意志」だったということを知り

「これまでのサブクエストで人々の心に寄り添ってきたことがここに集約されるわけかぁ」

と感動を覚える。この感動体験はゼノブレイドでしか味わうことができなかった。

キャラクターから考えるストーリーの特徴

「悲しみの果てに未来はあるのか」


これは本作のキャッチコピーなのだが、本作のキャラクターの不遇さは際立っている。プレイアブルキャラクターである7人の不幸さたるや(唯一リキは不幸な描写が薄め)。家族をはじめ親しい人を失う悲しみに包まれている。

私は一人印象的なキャラクターを挙げるならばコロニー9の「デジレーン」という少女を推したい。

彼女はゲーム冒頭ではシュルクのことが気になっている女の子くらいの情報なのだが、ストーリーを進めていくと彼女の父親が行方不明であることが判明する。実はその父親は過去に自分達が撃破したゾードというボスキャラだった。

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デジレーンと会話していくと「あれ?こないだ倒したボスが親父だった?」と気づいたときのその罪悪感たるや。しかもデジレーンは父親がまだ生きていると信じ続け、シュルク達は真実を告げることはない。

あえて着目せずにプレーヤーが気付くかどうかくらいの情報で留めておくあたりの演出が憎い。当時私は衝撃を受けた。

まとめ

いかがだったでしょうか。

JRPGとして相当の高評価だった「ゼノブレイド」はまごうことなき良作でした。

今回の感想をまとめると

・種族によって神の捉え方が違う
・キズナグラムがラストにつながっている
・NPCそれぞれに物語が存在している

の3点になります。

もっとお気に入りのストーリーのことだとか、ラスボスのことだとか、テレシアの悲しい成り立ちとか、もっと語ろうと思えば語れるのですが心の中にしまっておきます。

ゼノブレイドのストーリーについて「自分はこう思った」などの感想があればぜひコメントに残してもらえると嬉しいです。

それでは。










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