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「生徒会でもない、ただの生徒の僕が校則改正に取り組む理由」

「みんなのルールメイキング委員会」中高生メンバーの藤田崇都(しゅうと)です!

僕は今高校3年生で、「男子のむさ苦しい長髪は禁止」という校則を見直す活動と校則改正の制度改正を行っています!

僕自身の髪型は短髪で、この校則によって困っていることなどはありません。そんな僕がこの校則を変えようと思ったきっかけを今回はお話したいと思います!

■ 「男子のむさ苦しい長髪禁止」と戦ったTくんとの出会い

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僕は毎日学校の廊下にある自習スペースで受験勉強をしています。

ある日「きみ、いつも勉強しててすごいねぇ」と
話しかけられたことをきっかけにTくんと僕は友だちになりました。

僕の学校には「男子のむさ苦しい長髪は禁止」という校則があるのにも関わらず、Tくんは肩に髪が付いてしまうほどの長髪姿であること、それでいて堂々と学校内を歩いていることに疑問を抱きました。

「その髪型って校則違反だよね?どうしてTくんは注意されないの?」
「じつはさ…」

と、Tくんは自分がLGBTQ+のなかに該当し、短髪にしたいときもあれば、長髪にしたいときもある思いや、「体育の時は髪を結ぶ」などの制限で特例の許可が下りたことを教えてくれました。
(僕自身、LGBTQ+という呼び方自体が、シスジェンダー{セックスとジェンダーが一致している人}を普通とし、LGBTQ+に該当する人を異端とみなしている感じがして、あまり好きな表現ではないのですが...)

そしてその許可が下りるまでに、保護者を含め担任・学年主任・教頭などと何度も三者面談を繰り返したのだそうです。

やっとの思いで許可を得たにも関わらず、Tくんは「長髪の男子だから」と言う理由でジロジロ見られるのがすごく嫌だと思っていることも僕に話してくれました。

僕はこの話を聞いて、
「校則」が生徒に無意識な偏見をつくりだしているんじゃないか?と感じ、この校則が存在していることに納得ができなくなっていきました。

この校則が変われば、彼も彼のように苦しむ人も救えるし、多くの人の偏見も壊せるかもしれない!そして僕は校則改正に向けた活動を主導することに決めました。

僕は行動力だけには自信があります!笑
校則改正を思い立ったその日のうちに生徒会に意見書を提出し、校則改正の第一歩を踏み出しました!

「これで校則を変えられるぞおおおおおおお!」
しかし、行動力があっても校則改正はそう簡単にいくものではありませんでした…。

■行動力が武器の僕、でも校則が変わらない本当の理由

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生徒会に意見書を提出すると、まず生徒会顧問の先生から言われた言葉が…

「校則変えようとしてるの?無理だと思うよ。今まで前例はないし、手続きは面倒だし、生徒会側も今年中に取り扱うのはスケジュール的に厳しいね。それでも変えようとする?」

(え、やばい…いきなり否定されちゃった…)

「…はい!僕が変えます!」

「あ、そうなの?分かりました。」

しかし、先生がおっしゃっていた事は事実でした。
実際の校則改正までの手順は以下の7ステップです。

【1】生徒会へ意見書提出
【2】 生徒会・先生で取り扱うべき問題か話し合う
【3】2で取り扱う事が決まれば、評議会(各クラスの級長・生徒会役員らが集まる月1の会)で協議
【4】3で取り扱うべき問題となれば、生徒総会(年に数回しかなく、緊急生徒総会を実施する場合、生徒会や職員会議でスケジュール調整)で意見書提出者が発議
【5】生徒総会で可決すれば、職員会議で取り扱われる
【6】職員会議で可決
【7】校則が改正される

たしかにこの制度では、生徒も先生方もめちゃめちゃ大変で時間がかかります。Tくんも先生に「校則を変えたい」と相談しましたが「(改正のコストが大きいので)現実味がない」と言われ特例を認めてもらう形になったのだそうです。

現実的に厳しいというのもありますが、そもそも「校則を変えにくいプロセス」にしていることに僕は疑問を感じました

だってこれじゃ、、校則を変えようとしてもハードルが高すぎて諦める生徒が多いから校則は変わらないんじゃないか…?

そう思った僕は「本当は校則を変えたいと思っている生徒はたくさんいる(はず)」という仮説をもって、僕は生徒の考えと実態を知るべく、任意の校内アンケートを実施することにしました!

■ 生徒へのアンケートで見えてきた、びっくりな結果

僕はLINEの友だちを漁ったり、他のクラスに乗り込んだりしながら必死にアンケートを集めました。結果、2日間で全校生徒960人中おおよそ3分の1にあたる、319人からの回答を得ることができました。

(以下アンケート結果です。)

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学校生活に疑問やおかしいなと思うことが「ある」とこたえた人が51.7%(154人)、ないとこたえた人が48.3%(165人)という結果になりました。

疑問に感じている人も、感じていない人も半数という結果に僕は結構驚きました。

絶対みんなおかしいと思ってるはずだ!変えたいと思っているはずだ!と思っていたから、ちょっとこの結果をみて悲しい気持ちにもなりました。

でも!校則を変えなくても問題ない人もいるが、半分以上の人が何かしらの校則が自分に合わないと思っています!

じゃあ、校則が合わないと思っている人はどんなところが合わないと思っているのか?次はそれを聞いていくことにしました。

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これらを集計していくと、髪型に関する疑問が68件、制服・服装に関する疑問が26件とこの2項目が多く、その他学校の設備に対する疑問など、多くの種類の回答が見受けられました。

髪型や制服に関して「なぜその校則があるのか」という疑問をもつ人が多く、つまりその校則が制定された背景を知らない人が多いってことだなと思います。

そういえば、僕が先生に「なぜツーブロックが禁止なのか」と尋ねたとき、「なぜ存在するかはわからない」という回答を受けたことがありました。

昔からある校則であれば、今の先生方もなぜその校則があるのか分からない人も多そうです。先生・生徒が校則の制定理由・内容を理解しきれておらず、共通認識が持てていない校則がある可能性が高いなと思いました。

つぎに生徒が違和感を抱くルールに対してどのくらいの人が行動を起こそうと思ったかを調査しました。

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校則などに疑問を抱く人の中で、約9割の人が行動を起こさなかったことが分かりました。一方で約1割の人が行動に起こしたことも分かりました!!!!

約9割の行動を起こさなかった人達は仮説として、問題意識である「校則を変えるプロセスが複雑・コストがかかる」だったり、「そもそもルールを自分で変えようと思うくらい困っていない」などの理由があげられるんじゃないかと考えました。

ただ、ここで驚きなのは約1割の十数名の人はこれまで校則を変えるために行動を起こしたことがあることです!!!!!

なのに校則が変わっていないということは、みんな僕のように何かにつまづいているんだと思いました。校則を変えようとした十数人の人たちには後日インタビューをしたいと思っています!

気を取り直して、次はなぜ9割の人が行動を起こさなかった理由を調査しました。

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127件の回答の中には、「行動しても何も変わらないと思うから」という節の理由が45件、「自分は困っていないから」という節の回答が16件と、この2つの内容の回答が多くありました。

「行動しても変わらない」という考えは、個人の意識の問題と、校則を変えるのが非常に困難である制度の問題があるのではないかと考えました。

アンケート結果を踏まえて、「行動しても変わらない」と回答した何人かの友人に、「なぜやっても無駄だと思うか」と問うたところ、「面倒くさいから」「校則改正までのプロセスが長すぎるから・複雑だから」と言っていました。

実際に「校則改正までのプロセスが複雑だ!」という僕の体感と同じことを友だちが思っていて、実は考えが一致していることも分かってきました。

僕はこの結果から、校則の改正がされたことがないのも、校則を実際に変えようと活動する人が少ないのも、個人の意識が原因というよりかは、「校則を変えにくい制度」に問題があるんじゃないかと思うようになりました。

■ 僕がこれからやっていくこと

■ 校則を変えた前例をつくりたい
僕は校則改正を目指して活動するまで、だれも行動に移していないだけで本気で校則を変えようと思ったら校則を変えるのはそこまで難しくないだろう。と考えていました。

しかし、前述したように、校則の一つを変えることは容易なことではありません。時間の面でも労力の面でも膨大なコストを要します。

ここまで僕が本気なのは、Tくんや同様に悩む人を救うためだけでなく、僕がこの活動をしていく中で、「前例がないから」という言葉を生徒からも先生からもよく耳にしたことから、僕が前例となる必要性を感じているからです。

今後「学校をより良い場にするために校則を変えたい」という後輩が出てきたときに、彼らが僕の前例をもとに変えていけるようにしたいんです!

■ 反抗ではなく対話をしなくちゃいけない
しかし、校則を変えるまでのハードルが高すぎる現状があることも事実であり、このままではいつまで経っても校則の見直しは身近なものにならないのかもしれません。

僕はこれまで校則を守らず反抗することでしか「その校則は僕らに合っていない」ということを主張できませんでした。でも、いくら理不尽な校則であっても、先生に反発しルールを破っていた僕を見た先生が、校則改正を進める僕に協力してくれないのも無理はないと思いました。

そして、先生と対立していては先生と生徒の間で合意形成するのは難しいと考え、現在活動している校則を見直すことはできないと考えました。

だから、先生や生徒含めて校則を見直す話し合いの場が必要だと思っています。

そのためには僕一人が「ルール(校則)を変えるためにこういうルールが必要だ!」と、生徒会や先生に提示するのではなく、生徒と先生はもちろん、OBやOG、保護者など、学校関係者を巻き込んで定期的に議論を行い、熟議した上で「ルールを変えるためのルールのあり方」を模索していきたいと考えています!

学校の校則は生徒を対象にしただけのものではなく、先生を含め、学校関係者みんなを対象としたものなので、みんなにとって学校をより良い場にする必要があります!!

本格的な僕の校則改正に向けた活動はこれから始まります!

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みらいの校則

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