【毎日更新8】バイト時代の黒歴史と友人の結婚式
私は、笑顔が苦手だ。
落語家になって、8年。
職業柄、宣材写真など写真を撮って頂く事もしばしば。
そこで、必ずといっていいほど言われるのが。
「昇咲さん、少し笑いましょう」
「昇咲さんだけ、ちょっとスマイルプラスでお願いします」
「昇咲さん、何か最近嫌な事でもあったんですか?」
などの文言である。
こちらは満面の笑顔をしているつもりで、それを言われるから厄介だ。
先日、学生時代の同じバイトの友人から「結婚するから式に来て」との連絡があった。
私は大学時代、都内の某大手映画館のオープニングスタッフとしてバイトに採用され、日本一を目標に掲げる現場で働く事が決まった。
その映画館はアツかった。社員の熱が。
バイトであるにも関わらず、研修期間が1ヶ月くらいあり、研修初日に配られた会社のマニュアルは赤本くらい厚かった。
「菅原君は背が高いから」という謎の理由で、ポップコーンを売る担当に任命された。
その映画館には決まりがあり、研修期間の間、毎日朝イチで「笑顔チェック」をするという恐ろしいしきたりがあった。
2人1組で向かいあい、お互いがお客様に見せてもいいと思える最高の笑顔を出せたら、次の研修に進めるというものだ。
私は、映画館オープンまでの1ヶ月間、1度たりとも笑顔チェックに合格したことはなかった。
毎日居残り。最終的には社員の人と居残りで特訓させられ、笑う練習をするだけで時給を貰うというよく分からない日々を送っていた。
オープン初日。準備万端。
「いよいよ初日。ここにいる1人でも欠けたら営業は出来ない。さぁ、いこう!」という支配人のお言葉。いざ全員で、映画館のフロアへ。
「菅原君だけは、もう少し笑顔の練習してから行こうか。」
1人欠けても、営業は出来てました。
そんな「笑顔チェック」で、毎日ペアを組んでいた友人が結婚する。会うのは6年ぶりくらい。
ちゃんとおめでとうと言ってあげよう。
とびっきりの笑顔で。
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