春風亭昇咲(落語家)

落語家。春風亭昇太一門。 公益社団法人落語芸術協会所属。

春風亭昇咲(落語家)

落語家。春風亭昇太一門。 公益社団法人落語芸術協会所属。

最近の記事

十月の昇咲

私は、笑顔が苦手である。 落語家になって、7年。 職業柄、宣材写真など写真を撮って頂く事もしばしば。 そこで、必ずといっていいほど言われるのが。 「昇咲さん、少し笑いましょう」 「昇咲さんだけ、ちょっとスマイルプラスでお願いします」 「昇咲さん、何か最近嫌な事でもあったんですか?」 などの文言である。 こちらは満面の笑顔をしているつもりで、それを言われるから厄介だ。 先日、学生時代の同じバイトの友人から「結婚するから式に来て」との連絡があった。 私は大学時

    • 九月の昇咲

      カチッ… いつもより秒針の音が大きく感じ、ふと視線を上げると同時に、私は時計の中にスルスルと吸い込まれていました。 めくるめく速さで進む、長針と短針の勢いに飛ばされぬよう必死に意識を保ちながら、脳裏に浮かんだのは、これまでの自分。 幼稚園の時、周りが「戦隊モノ」や「ウルトラマン」にうつつを抜かす中、私は「踊る大捜査線シリーズ」に夢中でした。 中でも、1番好きなキャラクターは、いかりや長介さん演じる「和久平八郎」。 「正しい事をしたければ、偉くなれ」 当時、6歳の昇

      • 八月の昇咲

        お世話になっております。 落語家の春風亭昇咲です。 以下の文章は、8月31日(水)に行われた神田明神でのルート9 スリー落語会にてお客様にお配りした内容と同じ物です。 ご来場頂きまして、本当にありがとうございます。 夏の終わりが近づき、まだまだ落ち着く兆しの見えない世の中でございますが、今日も私が稽古する古典落語の中の登場人物たちは、そんな世の中の事など素知らぬ顔で、どこか楽しげに過ごしております。 そんな彼らが羨ましくもあり、少し妬ましくもある今日この頃です。 さ

        • 昇咲、「冬美さん」との関係を語る

          まず、この文章を読む女性読者の中に、もし昇咲の事を恋慕うものがいるとするならば(身に覚えはまるでない)、謝っておこう。すまない。 今回は昇咲の人生を語る上で、欠く事の出来ぬ存在「冬美さん」というパートナーについて書いていこうと思う。 別れは突然やって来た。 仕事から帰ると彼女は、人知れず泣いていた。 冬美はいつも活発で、きっかけを与えれば、ここぞとばかりに踊り出す。そんな、天真爛漫なやつだった。 正直、そんな彼女を見るのは初めてだった。 ただ、聞いたこともないよう

          昇咲、人生を語る

          最初に声高らかに、読者諸君に宣言しておく。 昇咲は、決して嘘をつかない。 そして… この文章を読んで、得られる物なんて何もない。 とどのつまり諸君には、 日常生活において、常識的な人間が成すべき事をすべてやり… もう何も人としてやる事が無くなった後に、このエッセイを読んでほしい。 何しろ、私が皆さんに… 『何かを教えたり、伝えたりする事』なんて出来やしない。 そもそも… 昇咲の人生には、『厚み』がない。 今日まで、極端に厚みのない人生を送っており… 誇

          昇咲、人生を語る