あなたが消えた夜に | 中村文則 | ☆☆☆
中村文則、初めて読みました。
人気がある理由が、ちょっと分かった気がします。
登場人物の適切な人数
私には多かったなぁ。頭があんまよくないので、多すぎると、あれ、この人誰だっけ、ってなっちゃうんすよね。
めぐみを巡る人たちの物語、と一言で片付ければそう言えるんですが、それにしてもいろいろ複雑なシーンが多かった。もうちょいシンプルなものが良かったなぁ。
いや、これ、私が頭悪いっていうのを如実に表現している所以ですけどね。
冗長表現
特に第三部。手記という扱いなので心のすみっこまで洗いざらい文章として綴る部分なんでしょうけどね。
そういう点では、あそこまで冗長に攻めると、 感情に重厚感が生まれるんですね。そこまで、彼女のことを、というような。そしてそれは人物たちの気持ちを、文脈だけではなく、その厚みとして訴えかけるような気がしたなぁ。
展開
冒頭を読む限りでは、いわゆる 刑事物で、犯人を追い詰めるところでの攻防が描かれるものだと思っていました。というか、私が勝手にそう思い込んでいたのかもしれませんけどね。
後半は精神がやられてしまった人たちの話で終始しました。前半からは全くもって想像のつかない世界で、そういう意味では度肝を抜かれた展開でした。
すごいね。こんなの、私には到底思いつきませんよ。
そしてそういうところが、この人が人気のある所以なのかな、と思いました。
フォントの使い方
普段は普通の明朝体なのに、強調したいところは太字のゴシック体でした。
なんだろ、ここ、賛否両論あると思ったんだよなぁ。なんでそう思ったんだろう。
私が思うに、物語の強弱って自分で描くものだと思うんですよね。
そこを、あえて強調されるというか、そういう、強制力みたいなものは、私にはtoo muchでした。
自分で、自分の価値観で、強調する部分を選びたいな、と。
ストーリーについての感想
上述しましたけど、途中まで、サスペンス系の展開で面白かったです。次、どうなるの?!ここからどうなっちゃうの?!みたいなものは、いつどんな作品を読んでもワクワクしますよね。
今回もそんな感じでした。
けど、途中から、犯人側というか、物事を起こす側の視点になった時に、 精神的にやられてしまった人の 目線になり、そこから、言い方が難しいんですけど、なんでもあり感というか、そういうのが見えてしまい、極端に言うと私は白けてしまいました。
冗長的に恨み辛みを述べるとことか、わかるんですけどね、ストーリーに厚みが出るようにも思いましたので一概には言えないですけど、私にはちょっと大盛りすぎたというか。
さじ加減って難しくて、それこそ人の価値観というか考え方に依存するようなものだから、そんなところに正解なんてないんでしょうけど、私にとってはちょっとお腹いっぱいでした。
ただ、ストーリーの 構成についてはものすごいものを 感じましたので、他の作品も読んでみたいと思います。
終わり。
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