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「好き」の因数分解 | 最果タヒ | ☆☆☆☆

タイトルのことはほとんど何も考えず、この人の本をいつかは読んでみたいと思っていて、やっと借りることができました。

やっと、っていうとまるでこの本が超人気があるように見えますが、確かに私の住む市内では新入荷扱いでしたが、それでも順番待ちするほどの予約が入っているわけではありませんでした。

多分、私が最果タヒさんを知ったのは、稲垣吾郎さんが夜中にやってた、本の番組でした。あれにゲストとして出ていて、出ていてっていうのは正しくなくて、彼女はカメラの裏にいて、声だけで参加していました。
その時は、名前を知ってるくらいで、あまり多くのイメージを持っていなかったんですけど、みずみずしい感性、って言っちゃうとずいぶん安っぽく見えちゃいますが、みんなが一度は意識するけど思いとして残さずに通り過ぎてしまうようなものを、きちんと言葉にできる人だな、っていう印象でした。

で、この本。

自分が好き!というものをとことん突き詰めて考えてみて(ここが因数分解と言われる所以だね)、結果出てきたものをここに書き記すような話でした。

文章はあまり多くなくて、割と薄い本なので、さらっと読めちゃいますが、いやいや、これはぱぱぱっと読み切っちゃうものじゃないな、と思いました。
きちんと、彼女の言っていることを脳みその奥のほうに響かせ、その刺激によって私が思い描く風景、言葉、匂い、音、それらを楽しむ本だな、と思いました。

要約できるかわかりませんけど、私としては、彼女の感性から出てくるアウトプットを思いっきり肺の端っこのほうまで吸い込んで、自分の中で息を15秒止めて、ゆっくり吐き出す時に出てくる、自分の感性を楽しむような、そんな感じがしました。

彼女は、周りが「良いからこれ、受け取ってみて」って言われる空気、音楽、思考、そういったものを歓迎しないタイプなんですねきっと。それが、彼女の個性を際立たせているんだけど、それって実は多くの人が持っているもので、だけど社会で目立たずに、いい感じに均して生きていくために目をつぶっているものたちを、言語化してくれているから、そこに共感する人が多いんだと思う。私も、グサグサ突き刺さりました。
分かるわ!みたいな。

あとアレね、上にも書きましたけど、みんなが無意識に通り過ぎてしまうようなことをきちんと意識して、記憶に留めることができる人なのかな。そこが、私の中ではとても強い印象として残りました。

他のも読んでみようかな。もっと彼女に触れたい。

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