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君がいないと小説は書けない | 白石一文 | ☆☆☆☆☆

白石一文さんの本は4冊目、かな、その中での星5は初めてだと思う。
読み進めるにつれて面白さが高まっていったのが一番の印象です。

このタイトルからして、君って誰だよ、っていうのを考えながら最後まで通して読んだような気がします。

最初の頃はどっかのおじさんが、自分の昔あったことを軽くお酒飲みながら話しているような感じで、あんまり小説のような感じがしなくて(帯にも自伝をにおわせるような書き方してたし)、正直これ最後まで読み切れるかな、、と思ってました。
実際150ページくらいまではそうだったんじゃないかなと思う。

だんだん、面白さを増していった理由の一つに、彼の考える死生観が随所に描かれていて、それを読むたびに私の人生観が考えさせられたからです。

つまりこの本は、私にとってただの小説ではなくて、人生観という哲学にまで影響を及ぼしていたんです。白石一文さんは、そういう意味で参考になる人だなと今回、特に強く感じました。

人生について、、、人生って刺激を求め、エキサイティングなことをして楽しむべきという考え方、が、もしかしたら私が考える人生観で優先されていた気がします。
だから休日には何かしないとつまらない、みたいな。走ったり、自転車に乗ったり、家族でキャンプ行こうぜ、サッカー観に行こうぜ、とか、何かを埋めようとしていたのかなぁ。

人生は長くて退屈でひどく空しい夢、だとしたら、そんなん鼻をほじってでもできるぜグヘヘ、いやでも良く考えてみ、それすげぇ難しいんだぜ、普通に笑って過ごせる人生を保つのって、背景には計り知れない努力があるからさ、って話。
これって幸せな人生を送るために必要十分な条件なのかもしれない。
それプラスで、上記に書いた、家族で何かしようぜ、とか自分で何かしたい、っていうのは人生に刺激を与えるものなのかもしれないよな。

冒頭に書いた、君、って誰だよ、の話。
私はこれ、ことりのことかなと思いながら読んでましたが、彼を取り巻くいろーんな人との関わり合いがあって小説が書けると考えました。
ことりがいなくなって、小説を描くことを軽視していたみたいなことを書いていましたが、それも一つだけど、40歳くらいになったら小説を書き始めればいいという考えを持っていた点を考えても、それまでに知り合った人たちと出会ったからこそ得られた経験が土台としてあるはずで、それも重要なものでしょ、と思ったからです。結果には必ず原因があるよね。

長くなってしまった。


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