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「テーマソング」ネタバレあとがき

はじめに

さる2022年11月6日、横浜産貿ホールマリネリアにて行われた僕ラブ35にて、自分も本を出させていただきました。
その中で行われた、第三回ちかりこオンリー。
ちかりこ好きとして、オンリーに本を出せたこと、同じちかりこ好きの同志と新刊を交換したり、お話をすることが出来て、本当に楽しかったです。

自分は本を2冊出させてもらいました。一冊はpixivに投稿した作品の一部を加筆修正したまとめ本、もう一冊は完全新作となる本です。
今回は、その完全新作である「テーマソング」のネタバレあとがきを書こうと思っています。
内容的に、読んで下さった方向けの内容であり、自分自身の備忘録・自己満足的要素も強いです。
もし、読んでない方がたまたまこのブログに辿り着いた時には、「一体何のこっちゃ」となるかと思いますが、こうしてこのブログの目に留まったのも何かの縁ということで、もしよければ自作品をお手に取っていただければ幸いです!(ダイレクトマーケティング)。

ちなみに、まとめ本はこちら↓

書こうと思ったきっかけ

サンシャイン劇場版で、幼少期の千歌は梨子と出逢っていたとされる描写があります。
ここは、色々と解釈が分かれる場面で、実際に出逢っていたと解釈できるし、心象世界(想像上)の話だとも解釈できます。
自分としては、どちらの解釈でも美味しくいただけるタイプなのですが、それでもどちらかといえば「出逢っていた派」なので、一度は、それを元にした話を書いてみたいという思いがありました。
で、出逢っていたと仮定すると、そこからアニメ版に至るまでに色々な疑問が浮かびます。昔、出逢っていたけど、高校生時点で思い出さなかったのは何故か、とか。そのあたりを軸にしながら話を膨らませていきました。

下地に敷いたもの

話の要素を色々考えていき、ぼんやりと「二人がお互いのことを覚えていないのは、思い出したくない記憶だから」、「千歌が梨子のために頑張る話」など、何となくのアイディアを拾っていきました。が、やっぱりぼんやりとしたイメージだけで、具体的な中身が見えてこない。そんな時、ある二つの作品に触れて、物語の中身は固まっていきました。
一つはポルノグラフィティの「テーマソング」という曲です。
そう、この本のタイトルと同じです。というか、この曲からタイトルをお借りしました。
この曲、聴いてもらえれば分かるんですが、書かれてる内容が本当に千歌ちゃんそのものに思いまして。
あまりにも千歌ちゃん個人を歌っているように感じた勢いから、いつの間にか歌詞や曲から物語を考え初め、そこから、何かに向かって懸命に走っている姿の千歌ちゃんが頭の中に浮かんできて、「何故走ってるのか?」「どこに向かっているのか?」と、想像したイメージから逆算して話を膨らませていきました。

もう一つの作品は、名作映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)」です。
どこがやねん、と読まれた方は思うかもしれませんが、個人的にはBTTFのエンタメ性を参考にしました。
これまで何度かBTTFを見返しているのですが、本当に面白い。自分は時間モノが大好きってのもあるのですが、物語として本当によく出来ている。
夢に臆病なマーティ、怪しげな科学者の友人ドク。タイムスリップする車に、ひょんなことから乗り込み、そこで自分の父親と出逢う。けど、自分が両親と結ばれるきっかけを邪魔してしまったがために、自分の存在が危ぶまれてしまうーー
本当によく出来た話だと思うんですが、個人的にBTTFの凄いと思う所は、容赦なくトラブルが発生する所。本当に色んなトラブルが発生して、そのたびに機転を効かせて解決していくのですが、「よくそんなトラブルと解決策を思い付くな」と心から関心しました。同時に、自分がいかに予定調和な話しか書いてこなかったか、という気付きにもなりました。
自分としては、話を書く以上、テーマ性もエンタメ性も両方を高いレベルで成立させたという思いがあったので、今回はそこを自分なりに目指したい、と考えました。
そんなこんなで、色々と考えながら話を構築していきました。

メモとプロットっぽいもの

まぁ、色々書いてきた中で使ったり使わなかったりした内容もありますが、こんな感じで話を構築して書き進めていきました。

メチャクチャ悩んだところ

上に上げた何となくのプロットにもぼかして書いてますが、千歌が梨子の所に向かうことを決意してから、沼津駅に辿り着くまでのトラブルと解決策が全然思い浮かばなくてメチャクチャ悩みました。この部分は、物語の中盤で大切な場面の連続でもあるので、もう本っっ当に悩んだ。
この話を執筆するにあたり、何度か中断を挟んでるのですが、その理由はこの中盤をどうするかで頭がパンクしたから。
いや、実際には、アイディアはあるにはあったのですが、本当にこれで良いのか?と決めることが出来なくて悩んだ、といった方が正確か。
自分の理想としては、BTTFの、電流を当てて現代に戻る一連の流れをイメージしていて、立て続くトラブルと迫るタイムリミットにどう立ち向かうのか、みたいなものをやりたかったので、このアイディアは本当に「そこ」に向かっているのか、と不安でした。他にもっと相応しいアイディアがあるんじゃないか?…と。そう考えると、もう本当に決めることが出来なかった。全然、作業が先に進められなくなってしまった。
創作において「アイディアを生むことよりも、決断することの方がとんでもなくしんどい」ということをこの話を通して学びました。
こうしてアイディアは何となくあるものの、それに自信が持てなくてウダウダと夏場まで引っ張ってしまったのですが、その時、ジャンルは違うけれど創作経歴抜群の友人と会う機会があり、そこで色々と話をしていた時に、「案外残された時間はあまりないよ(要約)」ということを言われて、背筋が凍りました。確かに残された時間を改めて確認すると、自分の執筆ペースを考えると結構怪しいタイミングになってて、この時、やっと自分にスイッチが入った感覚がありました。もう、悩んでる暇はない、と。
そこからはもう、全部決断決断で進めていきました。「ここまで考えて良い案が浮かばないんだったら、これ以上考えたって仕方ない」と割り切って、作業を進めることが出来ました。実際、このマインドは本当に大切だと思います。思えば、今年の春先から何となく書き進めてた分、創作する時間もまだ余裕があると錯覚していた部分がありました。感覚というのは本当に恐ろしい…。

話の構造的な部分でいうと、沼津に行く途中で、トラブルに見舞われ、その時に果南、曜、亜金(オリキャラ)と出逢って解決していくのですが、読者のテンションがその時その時でばつーんと切れてしまわないか、という不安もありました。
千歌が沼津駅まで駆け抜ける構図のように、読者のテンションも駆け抜けていけるようなものにしたいなと思っていたのですが、今の自分のレベルではこれが限界だ、と割り切って書きました。その分、ラストのさんさん通りから沼津駅までの流れに焦点を当てて、BTTFのシーンを強くイメージして書きました。まぁ、これで良かったのか、という疑問は未だに残ってますが、少なくとも当時の自分にとっては、精一杯のものを出した実感はあります。

完成してみて

今、こうして改めて読み直してみると、「ここはこうした方が良かったな」とか色々反省が出てくるんですが、この話と長く付き合っていた分、愛着も凄くあります。それに、自分が「こういう話を読んでみてぇ」と書いた話なので、自分好みの話なんです笑
また、びくびくしながら入稿をして、実際に本となったものを手に取った時の感動は忘れられません。
小説を書き始めた時は、ぼんやりコミケとかで本出せたらなーと思っていましたが、その夢が叶って本当に嬉しいです。
また本を作りたくなる気持ち、めっちゃ分かる。

今は、他の方の同人誌を読み漁ったり、ゲームしたりとサボってインプットの時期に入ってますが、また今回の経験を元に、楽しく話を書いていこうと思います。

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