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自然災害と農業

東京が梅雨入りしましたね。

今年は早いところでは例年よりも1ヶ月早い梅雨入り、っていう地域もあったみたいです。季節が、気候が少しずつずれてきているような気がします。

毎年、梅雨の季節、そして台風の季節になると何か落ち着かないのは、大雨によって日本のどこかしらで大きな被害が出るからだ。

近年、大雨による災害が増えた感覚がある。それは単に自分が農家さんと深く付き合うようになって意識するようになっただけなのか、それとも本当に増えているのか…。

「100年に一度」「今まで経験したことのない」

こんな言葉を毎年聞いているような気がする。
(もはや100年に一度ではないではないか…)

ここ数年、お世話になってる農家さんも立て続けに大雨で被害を受けた。

愛媛県宇和島市でブラッドオレンジを栽培されている児玉さんは、2018年西日本豪雨で。
長野県千曲川沿いでりんごや桃、杏などを栽培されている「やまさ農園」の関さんは2019年台風19号で甚大な被害を受けた。

児玉さんはブラッドオレンジの他、様々な柑橘類を栽培されている。関さんはりんご、杏、チェリー、桃、洋梨など幅広く栽培されている。
お二人とも個性的でいつも素晴らしい果物を届けてくれている。
大好きだ。



どちらにも復旧活動に行かせていただいたが、被害現場は想像以上に酷くて言葉を失った。

「えっ、こんなに酷いの…。」




実際に経験したことはないが、テレビで見た津波の後みたいだ。 
宇和島の柑橘ジュースの加工場は完全に水に浸かり、廃棄される瓶詰めジュースが山積みになっていた。泥を洗えば問題なく飲めるんだけど売り物にはならないらしい。もったいないし、せっかく美味しくできたのに…。虚しい…。民家や柑橘の倉庫には大きな岩がいくつも突き刺さっていた。とてもじゃないけど人の手だけでは無理だ。

長野の関さんを手伝いに行った時も、まずは自宅の復旧からだった。

「園地どころではないのだ…。」


畳を一枚ずつ剥がして洗い、床下の泥をスコップで掻き出す。
こんな悲惨な被害が毎年どこかで起こってしまう。



農業は自然と共にあるお仕事。決して自分の都合では休めない。自分には想像できない厳しい仕事だと思う。生産者さんとお付き合いを始めた当初、大事に育てられた旬の果実に触れられることにとても喜びを感じられた。でも付き合いが長くなると、こういう災害を目の当たりにして単純に喜べない。梅雨や台風の季節が来ると不安になる。

いい食材を使わせていただくだけの関係じゃなくて、
パティシエと農家の付き合い方ってもっとないかな…。


農家さんが困ったときこそ力になりたいし。

例えば年間定額契約にして、その年が豊作だろうと不作だろうと生産者さんにはある程度の安定したお金が入る。(大きな企業はやっているのかな?)
良いものができたときだけお金を払い、不作だったらいりません、ではちょっとバランスがおかしいし、不安定だから働き手も減ってしまう。味は美味しいのに形が揃っていないだけで廃棄なんて絶対ダメだ。

食材を使う料理人、パティシエと生産者がもっとお互いの事情を理解し合い、コミュニケーションをとっていけば捨てずに済む食材がたくさんある。
(ちょっと熱くなってしまった…。みんな分かってるんだけどね、なかなかうまく行かない。流通の都合もあるし…)

 これからも自然災害は続くだろう。でも農家さんはそれとうまく共存していくしかない。だからこそ使う側の責任というのをもっと考えていこうと思う。

重い話になっちゃったから最後に。
実際に被災された生産者さんに会いに行くと、案外あっけらかんとしていて明るいのだ。前向きに考えていてあまり悲壮感がない。

「いらないものも一緒に流されちゃったから良かったよー」


って笑ってんの。もう…。

一方的にこっちが悲しむのもダメってことか。こういうポジティブで前向きな人達だから惹かれるんだ。


宇和島のボランティアセンターには歌手のさだまさしさんが励ましに来ていた。

握手してもらったよ。
(結構、ミーハー)

後から知ったんだけど僕のおかんはさだまさしさんの大ファンらしく、

「今度会ったら伝えといて!」

って、会えるか! そんなに何度も‼︎

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